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異世界無限レベリング  作者: 明治サブ(SUB)
第2部「最弱スキル【収納】しか使えず通算100パーティーから追放された無能な僕が、王様になるまでに受けた86のレッスン」
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工作のお時間1「トンネル (1/2)」

「というわけで、邪魔者はいなくなった。いよいよ今日から、楽しい楽しい工作タイム! トンネル掘りを始めるよ!」


「「「「「うぉぉぉおおッ!!」」」」」


 屋敷の中庭でお師匠様が腕を振り上げると、屈強な男たちが雄たけびを上げた。

 ガタイのいい男たちが、数十人も!

 この人たちは、トンネル作りの為にミッチェンさんが集めてくれた、建築ギルドの職人さんたち。

 僕は【無制限(アンリミテッド)収納(・アイテム)空間(・ボックス)】で横穴を掘ることは出来るし、地面に石畳を敷き詰めることも出来るけど、壁や天井の舗装や光源の設置なんかは専門外だからね。


「ってことでノティア、頼むさね!」


「まったく……大人数を一度に搬送するのは疲れますのに、人使いの荒い人ですわ」


「ノティア様! この事業が成功すれば、巨大な商業圏が現れるのです! 何卒よろしくお願い致します!!」


 あはは、ミッチェンさんがノティアを拝み倒している。


「僕からもお願いだよ、ノティア」


「仕方ありませんわね。3、2、1――【瞬間移動(テレポート)】!」



   ■ ◆ ■ ◆



「【赤き蛇・神の悪意サマエルが植えし葡萄の蔦・アダムの林檎――万物解析(アナライズ)】――よし、この崖を真っ直ぐ掘ってくれ」


「はい!」


 繰り抜く高さと奥行きは、あらかじめ建築ギルドの方々から指示してもらっている。

 素人の僕が適当に掘って、崩落なんて起こしちゃったら笑えないもの。


「【無制限(アンリミテッド)収納(・アイテム)空間(・ボックス)】!」


 というわけで、事前の取り決め通り、高さ4メートル、幅8メートルの半円を、数十メートル分掘る。


「って、うわわわ!?」


 いきなりごっそりと魔力が無くなって、思わずその場に座り込む。


「あぁ、ここにはオリハルコンがふんだんに含まれているからねぇ。ある意味、風竜(ウィンド・ドラゴン)の首を狩るより大変かもしれない。――【魔力譲渡(マナ・トランスファー)】」


 お師匠様に魔力を充填してもらっている僕の横では、


「は、ははは……ウワサには聞いていたが、本当に一瞬で【収納】するなんて!」


「しかも見ろよ、この断面……鏡みたいにツルッツルだ」


「さすがは英雄様……」


 驚きおののく職人さんたち。

 そして、


「【鑑定(アプレイズ)】! ふぅむ……本当にオリハルコンだな」


 上級補助魔法で壁面を確認しているひときわ筋肉質な方は、建築ギルドのギルドマスターさんだ。


「クリス様、こりゃ下手に人間の手を入れるよりも、クリス様がくり抜いたままの状態にしておいた方が、かえって頑丈ですぜ」


「さ、様は止めてくださいよ……」


「いや、そうは言いましてもねぇ」


 恐縮しきりな僕に苦笑して見せるギルドマスターさん。


「地面も頑丈ですし、このまま行きましょう! いやぁ、用意したセメントと石材と人間が無駄になっちまったが、まぁうれしい誤算というやつですな! ただ――…」


「ただ?」


「こうも硬いと、光源を置くための窪みを掘るのも一苦労でしてね」


「じゃあそれも、僕が掘りますね」


「本当ですか!? じゃあこの図面の通りに――」


「【無制限(アンリミテッド)収納(・アイテム)空間(・ボックス)】!」


「「「「「お~ッ!!」」」」」


 等間隔に発生した窪みを見て、感心しきりな職人さんたちだった。



   ■ ◆ ■ ◆



 途中、昼食を挟みながらも、どんどんと掘り進めていく。


「これ、向こう側に貫通した途端、西王国の人たちに攻撃されたりしませんよね……?」


 東西の交易所たる『街』を運営している僕が言う言葉じゃないかもしれないけど、東西の国はいま現在『休戦中』であって『終戦』も『講和』もしてないからね……。


「その点はご安心を」


 すぐ後ろについて来ているミッチェンさんが言う。


「『街』を懇意にして下さっている大店の行商人を通じて、炭鉱街の商人ギルドとは話がついております」


「さっすがミッチェンさん! 頼りになります!」


「いやぁ、それもこれも、すべては町長様のおかげですよ!」


「それを言うなら、すべてはお師匠様のおかげです」


「あはは。クリス様ならそう仰るでしょうね。あと、私にとっては、西の森に道が出来たことを手紙で教えて下さった、謎の情報提供者A氏もまた、かけがえのない恩人ですね」


「あぁ、そう言えばそんなことも仰ってましたねぇ」


 それこそ、もう1ヵ月ほども前の話だ。


 ――――1ヵ月か。

 いやぁ、ホント色々あったなぁ……100パーティー目から追放され、やけくそで西の森に入って一角兎(ホーンラビット)に殺されかけ。

 そこで、お師匠様に命を救われたんだ。


「……ん? なんだい人の顔をジロジロと」


 僕の後ろについて、適宜僕に【魔力譲渡マナ・トランスファー】をかけてくれるお師匠様が、怪訝そうな顔をする。


「いえ。お師匠様への感謝の心を忘れてはいけないな、と思いまして」


「気色悪い弟子さねぇ。頭動かすヒマがあったら、さっさと手を動かしな」


「あはは……【無制限(アンリミテッド)収納(・アイテム)空間(・ボックス)】」


 こうして、東西の王国は、二つ目の道で結ばれた。

 争い? 起きなかったよ。ミッチェンさんの言う通り、ちゃんと西側とも話がついているようだった。

 次回、いよいよ『答え合わせ』です!!

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