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異世界無限レベリング  作者: 明治サブ(SUB)
第2部「最弱スキル【収納】しか使えず通算100パーティーから追放された無能な僕が、王様になるまでに受けた86のレッスン」
202/267

レッスン55「畑 (7/10)」

 ******************************

 生きたホーンラビット × 315

 生きたヒール・ホーンラビット × 32

 生きたメイジ・ホーンラビット × 21

 生きたホーンラビット・ランス × 3

 ******************************



目録(カタログ)】を【収納】日時順で並び変えると、中でひしめき合っている一角兎(ホーンラビット)たちが出てくる。


 ヒール・ホーンラビットは初級の治癒魔法が使える上位種で、ツノが回復ポーションのよい材料になる。

 エンゾたちと獲得数を競い合ったのもいい思い出だ。


 メイジ・ホーンラビットは初級の攻撃魔法を飛ばしてくるヤバい奴。

 昔の僕なら火炎(ファイア)を食らって死んでいたところだろう。


 そして、


「あ、あはは……ランスまでいるや」


 ホーンラビット・ランスというのが、全長1メートル~2メートルもあるホーンラビットの最上位種で、巨大な槍かと見まごうその巨大な角は生半可な盾を持った前衛職なんて盾ごと串刺し殺してしまうほどの強敵。

 ベテランCランクパーティーが損害覚悟で挑む相手――つまりオークやオーガ、盗賊なんかよりも上の扱いなわけだ。


 そんな大物を、生きたまま【収納】できるようになったのか、僕の【無制限(アンリミテッド)収納(・アイテム)空間(・ボックス)】は。

 スキルレベル5と言えば上級。

 この僕が、上級魔法使いとは……お師匠様と出会う前までの日々が、ウソのようだ。


「クリス君?」


「あぁ、ごめん。早く帰らないとだよね――ええと」



 ************************

 生きたホーンラビット × 315

 ************************



 の文字を、ホーンラビットの頭部をイメージしながら長押しすると、



 ****************

 ホーンラビットの頭部

 ホーンラビットの体

 ****************



 と表示された。


「お、おぉぉ……これはまさか」


『ホーンラビットの頭部』をタッチすると、


 どさどさどさどさどさぁッ!!


 目の前に、無数の――恐らく315個の――ホーンラビットの首が出てきた!!


「……ヒッ」


「ヒッて何ですのヒッて。自分の魔法でしょうに。それにしても、生きたまま【収納】できて、好きなときに〆られるとは、本当にすさまじい威力の魔法ですわね……」


「ほ、本当にだよ!!」


 ……に、人間相手にも使えるのかな?

 次に盗賊と遭遇する機会があったら、生きたまま【収納】できるか試してみよう。

 生きたまま【収納】しさえできれば、生きた状態で城塞都市に突き出すか、【目録(カタログ)】内でこ、こ……殺してしまうかという選択肢を得られるから。



   ■ ◆ ■ ◆



 結局、ヒール・ホーンラビットとメイジ・ホーンラビットはおろか、ホーンラビット・ランスすら【目録(カタログ)】の中で首を狩ることができてしまった。

 さらには【目録(カタログ)】内で可食部と非可食部に分け、可食部をスライスしたりサイコロサイズに切ることすらできた。

 お、恐ろしい……僕は木こりや食器洗い人だけじゃなく、狩人や料理人の助手にもなれるかも知れない。

 猫々(マオマオ)亭で雇ってもれないだろうか……そしたら毎日ずっとシャーロッテと同じところで働けるし。


「あーっ! クリス君、わたくしに狩りの手伝いをさせておきながら、別の女のことを考えましたわね!?」


「な、何で分かるのさ!?」


「クリス君はいやらしいことを考えると、すぐに顔に出るのですわ」


 言いつつノティアが腕を絡ませてきて、そのあまりに巨大な胸を押し当ててくる。


「誰のことを考えていたのかは知りませんが、触れない乳よりも触れる巨乳ですわよ?」


「ちょちょちょっ……いまは急いで戻らないとダメでしょ!?」


「…………はぁ、正論ですわね。はい、3、2、1――【瞬間移動(テレポート)】」



   ■ ◆ ■ ◆



 難民たちのテントに戻ると、


 猫々(マオマオ)亭の店長が屋外用の巨大なコンロに木炭を敷き詰め、肉を焼く準備をしてくれているところだった。

 お師匠様や商人ギルドの方々、あと比較的元気な難民の人たちが準備の手伝いをしている。

 シャーロッテはいない――恐らく『次代の(ミルク・)母乳(メディエーター)調停官(・セカンド)』として辣腕をふるっているのだろう。


「おう坊主、肉は狩ってきたか!?」


 相変わらずのでかい声だ。


「は、はい!」


「よぉし、ちょっと待ってろ――」


 店長がもごもごと何事かを唱えてから、


「――【火炎(ファイア)】ぁあああッ!!」


 ものすごい大声で初級の炎魔法を使う。

 豪快な詠唱とは裏腹に、木炭が丁寧に着火される――店長は料理の為に【火炎(ファイア)】を使い慣れてるからね。

 店長はコンロの上に焼き網を敷き詰め、網に油を塗り、


「坊主、こっち側が強火、こっち側が弱火だ! 肉を出してくれ!」


「了解です――【収納(アイテム)空間(・ボックス)】」


 指示に従い、強火の方にサイコロ肉を、弱火の方にスライスした肉を、それぞれ焼き編みの上に敷き詰めるようにして出現させる。

目録(カタログ)】の中で適当にやったので、部位はまちまちだ。


「「「「「うぉぉおおおおおッ!?」」」」」

「「「「「きゃぁあああああッ!?」」」」」


 周囲の難民たちから、驚きと喜びの混じった叫び声が上がった。

 老若男女、誰も彼もが飢えた目をしている。

 ……戦争が、始まる。

 いつもご覧下さり、本当にありがとうございます!

 何卒、ブックマーク登録と評価をよろしくお願い致します。m(_ _)m


 次回、難民リーダーが西王国の闇を語る……。

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