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私の王子様は年下イケメン男子  作者: 京都花漣澪
3/5

相合い傘から始まる果てしない恋の道!? 3

「で……もう一度言うけど、遅れるから早く行ったほうがいいよ?」



 私が促すように言うと、大宮くんは首を横に振る。



 それはつまり、いやだ、って意味だ。




「伊従先輩、何言ってるんですか。転んで痛いんですよね?」



「うん、痛いけど……」



 すると、大宮くんはなぜか厳しい顔をした。



「伊従先輩を置いて先に行くわけないじゃないですか!」



「……い、いいから、早く!」



 こうしている間にも、時間はどんどん過ぎていく。



 もう、チャイムがなる時間か……。



 完全に遅刻だ。



「ほら、ここに乗って下さい」



「え……?」



 大宮くんが指差した先には、自転車の後ろ部分だった。



 つまり、二人乗り……。



 恋愛小説ではよくある、あれだ。



 運転している彼にしがみついて、ドキドキして、胸がキュンとするあれでしょ!



「……む、無理に決まってるでしょ!」



 私と大宮くんが二人で自転車に乗っているシーンを想像してみる。



 ……似合わない!



 ……驚くほどに似合わないと思う!



 私が叫んで断ると、大宮くんは私の制服の袖を引っ張ってくる。



「これから歩いていったら遅くなりますよ!僕が飛ばしますから、乗って!」



「大宮くん……!」



「なんですか?」



「無理に決まってるでしょおおおおおっ!」



 通行人がギョッとしてこちらを振り返るくらいの大声で私は叫ぶ。



 そして、そのまま大宮くんを置いて走り出した。



「伊従先輩っ!」



 大宮くんがそう叫ぶが、無視だ。



 今はもう何も考えずに走る!



 こんなに風が気持ちいいと感じたのは、初めてかもしれない。



 今の私は多分、後先考えずに夢中で走っている。



 だけど、一つだけ思っている。



 私が大宮くんと一緒に自転車に乗って、走ったら……心臓が破裂すると。



 それくらい、恥ずかしいんだよー!



 そんな風に、叫びたいけど、今は走れ!



「伊従先輩、今のあなた、なんかよく分からないけど、かっこいいですよ!」



「そうでしょう、そうでしょう!」



 すると、大宮くんが乗った自転車が私の横を通り過ぎていった。



 速い、とても速い。



  あっという間に置いて行かれてしまった。



「はぁ……っ、はぁ……っ!!」



 あー、もう力尽きた。



 学校まであともう少しと言うところで、私は体力の限界に達した。



 そりゃあ、全力で走ったんだから当然だ。



 もう、大宮くんの姿は見えない。



 私は全身が痛むのを感じながら、必死に歩く。



 ……なんであんな馬鹿なことしたんだか。



 自分でも、さっぱり意味が分からない。



 かっこつけたかったから、だったりしてね。



 なんじゃそりゃ、なんで今……。



 多分、大宮くんとの噂が流れることを恐れたから、だな。



「伊従先輩」



「……っ、大宮くん!?」



 学校の入り口の、門の前には……自転車を降りた大宮くんがいた。



 先に校舎に入ったんだな、って思ったら、そこにいたんだ……。



「行きましょう」



「……んん、んー……!」



 もう私は、反論することもできなかった。



 仕方なく、大宮くんと一緒に歩き出す。



 これで、大宮くんファンたちにあれこれ言われるのが確定した。



「ほんと、疲れた……」



「伊従先輩が突然走り出すからですよ」



「それは分かってる、だけど……」



 私は最後の力を振り絞って大宮くんの顔を見る。



 そして、ちょっと睨んだような顔をする。



「なんで先に行かなかったのよっ……!なんで私を待ってたの……」



 大宮くんの足が止まる。



「言ったじゃないですか。僕は伊従先輩を守るって、言いました」



「……っ!」



 その言葉が、私の胸に突き刺さる。



「だから、見捨てて教室へ行くことなんてできませんよ」



「……だったら、なんで自転車で先行ったんだか。待っててくれてもいいのに、置いて行ったよね?」



「伊従先輩が走り出したんじゃないですか。僕はつられて、ですよ」



「ふーん……」



 そして、しばらく歩くと、階段が見えた。



 大宮くんは二階、私は三階に教室があるので、ここで別れることになる。



「伊従先輩、また今度」



「じゃあね……」



 大宮くんと別れると、ある一つの問題が浮上してくる。



 もうチャイムはとっくに鳴っている。



 つまり私は、確実に遅刻する。



 遅刻した人がノコノコと教室に入っていいのだろうか。



  それに、今気がついたが、私は宿題を終わらせていない。



 先生から怒られるだろう。



 しかも、遅刻までした。



 だと言って、教室の前でずっと立ち止まるわけにはいかない。



 私は恐る恐る、扉を開ける。



 ガラガラーーッ。



 その音に気がついた生徒たちが一斉に私の方を振り返る。



「伊従、遅いぞ。早く座りなさい」



「……はい」



 先生にそう言われ、トコトコと歩いて自分の席に座る。



 そして、授業は再開した。



 一限目は嫌いな数学だ。



 教科書とノートとペンケースを出し、ノートに計算式を書いていると、気づいた。



 ……そう、何かがおかしい。



 いつもの、クラスじゃない。



 異様に私を見ているのだ、皆が……。



 地味な私が注目を浴びることなんて、今までには一度もなかった。



 だが今は、じろじろと見られている。



 そして、また気がついた。



 クラスの一部の女子の目がとても鋭く、私を睨むような目をしていたのだ。



 ……理解した。



 その一部の女子は、大宮くんファンなんだ。



  ってことは、バレたんだ……。



 昨日、相合い傘で帰ったところか、今日、二人で話しているところか。



 どちらにせよ、一限目が終わったら追及してくるだろう。



 もちろん、恋愛がなんだとか、そんなものは何一つないが、端から見たらそう勘違いされてもおかしくない。



 一限目は、睨むような目線が私に突き刺さり、とても居心地が悪かった……。



          ★



 意外にも、一限目が終わった後には話しかけてこなかった。



 二限目以降も、何もしてこない。



 案外恨んでるとかないんじゃないか、と思ったが、違うようだ。



 休み時間に、私の悪口を言っているのを見つけた。



 詳しくは聞いてないが、いつもの「伊従さん今日も一人だよね……」よりも激しいものだと思われる。



 ともあれ、何もしてこないなら普通に家に帰るか。



 椅子から立ち上がった瞬間、女子の一部が私に詰め寄ってきた。



 ……やっぱり、来たんだ。



 どうやら、何もしてこないわけじゃないらしい。



「ちょっと伊従さん」



 一番最初に声をかけた女子の顔と声には、明らかに怒りがあった。



「……何?」



 知っているが、あえてそう答えておく。



「はぁ?」



「それはあんたが一番分かってるんじゃないの?」



 女子の一人が、私にビシッと人差し指を向けた。



「あたしは見たわ。昨日の放課後、晴斗と伊従さんが仲良さそうに二人で傘に入っているところをね!」



 それを、見られたんだ……。



「あんた、晴斗と付き合ってんの?」



「違う」



 即答する。



 それは、誤解をとかないといけない。



 私も、大宮くんも、互いに恋愛感情はない。



「嘘だ」



「……嘘じゃないから」



 これでは嘘だ、嘘じゃないの言い合いになる。



 確実に誤解をとく方法を考えないと。



「じゃあ、付き合ってもいないのに、なんで二人で一緒に、相合い傘で帰ったわけ?」



「そうそう。それを教えてよ」



 なんと答えればいいのだろう。



 ……嘘をつくより、全部正直に言った方がいいか。



「それは……」



 私は昨日あったことを全て正直に話した。



 私の話を黙って聞いていた女子は、私の話が終わると、一斉に言った。






















 











 


 




 










 






















 

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