4話 ハーレム野郎? 〜命名者:取り返しがついたのならごめ〜んね!(てへぺろ) って言われたのならデコピンで許したのに…… 〜
ライオン? すごいよね。ハーレム、NTR、BL、隙がないと思うよ。それと継子殺しもいけるよ。
「申し訳ございません」
「ごめん、なさい」
あの後、わりとすぐに目をさました女神さまがシーぽんを引っ張ってオレの前に来て横に並んだ。
そしていきなり土下座した。
「ハルさん、申し訳ございません。わたくしはあなたを殺してしまいました」
「ハル、死骸を、使って、ごめん」
なんかスゴいことを言っている。いきなり言われたらとまどうところだけど、オレはなんとなく察している。5種の直感スキルとエクストラ直感スキルが仕事しているのか。
>『コモンスキル:洞察』を習得しました。
>『スキル:洞察』を習得しました。
>『スキル:直感(洞察)』を習得しました。
>『スキル:読心(洞察)』を習得しました。
直感が6種になったね。直感スキルってたくさんあるのかな?
「悪気がなかったのはわかってる、だから許すよ……って言っても気がすまないか」
なんていうかマジメな話なんだけど、状況に集中できない。
これ神様転生のテンプレだよ。
神様土下座→間違ってお前を殺してしまったんじゃー→おら! 侘びチート出せ!! ゲシゲシ。こんな奴だ。
やめたげてよお! 大好きな女神さま達に出来るわけないだろ!
ああ……それにしても土下座ってエロいんだなぁ……押しつぶされた胸と服が伸ばされて強調されたお尻がヤバいうか(現実逃避)……あれ線がでてない……まさか女神さま、はいてない?
>『オリジンスキル:豊穣神の観測眼』を習得しました。
え? オシリ? 豊穣神? あ、オシリスか……って、なんだよこのエジプト豊穣神シリーズ! オシリスなら冥界神でいいだろ! しかもまたオリジンスキルか!
取り乱した。もういいや勢いでどうにかしよう。
近づいて女神さまとシーぽんの前に座る。
「女神さま、シーぽん。罰としておれの受けた痛み受けてもらう、それでこの話は終わりだからね! いいね?」
「え、はい!」
「う、うん」
返事を聞くと同時に二人の前に両手を突き出す、そして……
「デコピーン!」
「痛っ! すごく痛いです!」
「イタイ! イタイ!」
痛みによって二人は顔を上げる、そこでオレはさらに攻め立てる、まずは女神さまだ!
「女神さま! 俺の身体はボロボロで動くこともままならないくらいで、いつ死んでもおかしくたかったんだ! それを意識だけで持っていたらしい。だから意識が離れてすぐに容体が悪くなって放っておいても死んでただろうね。それを治そうとしてくれたのはうれしいよ! 失敗したかもしれないけど、この通り女神さまの新しい身体で元気だからさ、ありがとう女神さま。大好きだよ!」
一気に言い終えてハグする。オレ自身は身体はヤバかったことにまったく気づいていなかったけどね!
次にシーぽん。
「シーぽん! オレの身体を使ったかもしれないけど、こうやってふれあってお話しできるのがすごくうれしいよ! それにオレがこの身体になるときに呪いとかをなんとかしてくれたんじゃないかな? ありがとうシーぽん。大好きだよ!」
こちらにも一気に言ってハグ。呪いはこの身体になってから前のステータスを思い出して初めて気づいたけどね!
それといつの間にか起きてこちらに近づいていたヴィオラ。
「こっちに追いかけてきてくれてうれしかったよ、いつもありがとうヴィオラ、大好きだよ!」
ハグする。ヴィオラも抱き返してきた。
あれ? さっきと抱き心地が違うね、弾力が少し強い? これが人工機人かな?
「リベンジです、マスター!」
そう言ってキスしてきた、よかろう返討ちだ。
「んんん〜〜〜!!!???」
家族完了……口ほどにもないね! ちなみに今のもさっきのも歓迎式の全力全開のフルパワーである。ヴィオラが機人の体を手に入れるまでしたことなかったからね。2つある身体が別区分だったとしても問題ない……あ、歓迎式を受けてすぐ起き上がったのはそのため……あれ、それじゃ女神さまは?
さて残るはシーぽんか……。と、シーぽんを見るとビクリとしていた。
と言ってもむりやりはしないけど。
「罰を与えたし許したので問題ないよね? ないね!」
「は、はい」
「っ!」
シーぽんが消える。そして背後から抱きつかれた。
エクストリームルールかな?
「いえ、ハルさんと顔を合わせるのが恥ずかしいようですよ」
「このフツメンが恥ずかしいと……ふっ、おろかな……ってシーぽんつむじに顔つけて息吐きかけないで?」
やっぱりエクストリームルールじゃないか!
「きっと違いますからねー? シキさんシキさん、ハルさんと家族になりますかー? あ、なりたいけどはずかしいんですねー」
心読んで会話してるらしい、便利だね。家族歓迎式は保留らしい。まあ顔を合わせるだけで倒れたし。
「あ、そうですそうです! 家族でない男女が家族になったら夫婦っていうんですよね? わたくし達夫婦になったんでしょうか?」
「え? そうなの? じゃあ母さんや妹とも夫婦ってことに?」
というか夫婦は互いの子供作るための関係じゃないのかな? それ以外ならそのまま家族でいいのかな? よくわからないな。
「こ、子供ですか……」
女神さまは少し顔を赤らめて、それでもまんざらじゃない顔だ。マジか。
「あ、そうだ。オレ ハーレム野郎なんだって」
「なんなのですか? それは」
「よくわからないけど、かーさんが女の人と仲良くなりそうな時に、そう言うんだって、なんかオレはましょーだからって」
『はーくんは一夫一妻制ってたぶんピンとこんやろうし、みんなと家族になれば良い言うかもしれんけど、そんな単純な話やないからなー、まー刺されんよーに事前にハーレム野郎やいうんやでー。え、ハーレムってどういう意味かって? ウチに聞かんとジブンで調べーや!』
ってかーさんが言ってた。
「ハーレムとはなんなのでしょうね?」
「オレが聞いた話では石油の国あたりで余裕があるなら未亡人を養えって話だったかな? そうすると子供がたくさんできるらしい」
「そうなんですかー、不思議なことがあるんですねー」
なんて話してると、背中から声がした。張り付いてるシーぽんだ。ちなみに女神さまは俺の右隣に座って腕を絡めている。
「それ、ハーレム、違うよ。ハーレムは、一夫多妻、男が、女囲う」
「え? なんでわざわざ主張するの? 好きな人が複数人なら好きなように何人でも結婚すれば良いのに」
「男女、差別とか、じゃない、けど、男と女、違うよ。男が、たくさん、しても、誰の子か、わかる。でも、女が、誰とでも、すると、誰の子か、わから、ない、かも。それに、人間は、犬猫、みたいに、一度に、何人も、産まない、から、よけいに、むずか、しい。あと、たぶん、逆ハーは、子孫関係、難しい、女の血筋、だけしか、わから、ないかも」
犬猫って5、6匹子供産んで全部父親が違うとかあるんだっけ。
逆ハーって、多夫一妻のこと?
「ハルは、自分の、奥さんが、知らない、男の子供、産んだら、どう思う?」
「それはいやに決まってるけど」
「じゃあ、知ってる、男、それも、家族の、男、だったら?」
「そんなの……」
あれ? う〜ん……。
愛する女の子供、これは大丈夫。
愛する家族の子供、これも大丈夫。
愛する女と愛する家族の子供?
「あ──なんか、やだな」
自分が愛した家族同士なら問題ないと思ってたけど、オレは違うみたいだ。
「じゃ、ハルに、多夫多妻、無理、だから、最低、野郎」
「なるほど」
自分は好きな人と何人とでも子供作るけど、君は俺だけを愛してね? ってことか……。って女神さまさっきから黙ってるけどどうしたんだろう? なんか女神さま顔真っ赤で、フリーズしてる。免疫ないんだなあ。かわいいな、さすが女神さまかわいい。これで女神さまのこともっと好きになったね。
「オレってわりとワルいやつだったんだねぇ? 自分のために相手の自由を捨てろ、って感じで」
「ちょい、ワルの、ハルも、カッコ、いいよ」
「ありがとう」
ワルか……でもちょっと考えてみよう。そこらの境界線。
オレと奥さん。俺だけの子供産んでほしい。浮気はいやだ、いなくならないで……。
女家族と男家族。おまえなら我慢できる、お幸せに!
女家族と知らない人、オレの家族になれないなら認めない! オレから家族を奪うな!
男家族と知らない人、変な女に引っかかるなよ!
知らない人と知らない人、お幸せに。
オレは浮気は好きじゃない、子供がいるのならそのまま一緒になってもらうのが理想か。しかし女家族が男に襲われたら? 子供ができてしまったら? 一緒になれ? いいやダメだな男は殺す。家族は? もし子供ができていたら? 両方共家族。てかそもそも襲わせてたまるか!
オレと女家族、お前他に好きな男いないの? 他の男じゃなくて大丈夫か? オレは嫁にしたら離さないぞ?
オレと男家族、子供できないじゃん! おまえ女と子供作れよ、その子供抱かせろよ! え? 性的な──おまえは何を言っているんだ?
家族と他人の境界は? 家族+友達。
そもそもオレはなんで子供が欲しいのか?
オレの生きた証。オレの継承者。オレの分身。オレの家族。好きな女の分身。
分身? 分身が好きなのかオレ。
そういえば昔は忍者になりたかったな、分身の術が使えるから。
もしくは分裂ができるスライムになりたかった。
1人はいやだったから、人にきらわれていたから。
自分がたくさんいれば楽しい思ったんだ──今は脳内にコピーの思考がいて楽しいな。
独り言やモノローグが多くなったのはそういうことだった。
だれかに聞かせるような思考はそういうロールプレイだった。
オレが聞いてオレが答える自問自答だよ。
なんで自分がたくさんいればいいと思ったんだろう?
人に嫌われていたから? ちょっと違うかな。
寂しがりだから? あるけど、それだけじゃない。
自分が好きだから? 好きは好きだけど自己愛とまではいかないかな。
じゃあなんで? 同じ顔がいいのか? 近い。
そういうのは男? まわりはなぜか女ばかり。ヴィオラとかシーぽん。
オレの顔をした女なの? だいぶ近いな。
ぶっちゃけ妹だよな? それだ!
昔オレは母親に捨てられた、姉と双子の妹を連れてどこかに行った。当時唯一の家族だった妹がいなくなったことに多大な衝撃を受けたのを覚えている。茫然自失だった。先生と会っていなかったら、あのまま父親に殺されていたかもしれない。あの頃のオレは妹だけしかいなかった。
妹は家族は、妹は兄妹、妹はもう一人のオレ。オレの半身。それを奪われた心地だった。
オレの半身である妹を取り戻したかったから、オレが自身が増えればいいと思っていたのかもしれない。
それに他人はいなくなる、妹もいなくなった。だがオレならいなくならない、俺がたくさんいればいいと思った。
しかし分身はできなかった、次点の分裂もできなかった。多重人格にと思ってもそれもできなかった。
だから次に考えたのは子供を作ればいいと思った。作り方なんて知らなかった、相手が必要だったので失敗? いやそのまでの関係になったならガツガツしないかな?
と、そのままだったらシスコンとナルシストと子供願望をこじらせたナニカになってしまったかもしれない。
だが幸か不幸か、色々と刺激的な出会いが続いた、だからそんなことは考えなくなっていたんだ。
その後なんだかんだで妹に再開したが、分身願望はそのシスコンと独立さして小さく残っていて忍者好きになった、てか普通に分身したい。超増えたい!
それとも独立していつか子供が欲しいかなと思ってる。できるならたくさんがいい、血族で世界を埋め尽くしたい!
え? 母親と姉? いたね。存在しか覚えてないけど!」
と口を閉じる、途中からしゃべっていたみたいだ。
「ハル」
シーぽんが話しかけてきた。ずっと聞かれていたのかな? 右隣を見ると女神さまが涙ぐんでいた。泣く要素あったかな?
「ハル、この身体、ハルの、身体。ハルの、分身、ううん、ハルの、半身。だから、ワタシを、妹って、呼んで、いいよ?」
「あ、ハルさん! ならその身体わたくしが創ったんです! だからわたくしをおかあさんと呼んでください!」
なんか妹と母親が増えた。今何人目だっけ? これわりとよく言われるんだよね。なぜか。
獅子は我が子を千尋の谷に落とす、ってそれもしかして継子なんじゃ……。