58-2話 リメンバーはーくん? 〜 命名者:がんばった! 〜
はーくんはテンションが上がるとすこし早口になり、そのくせ普段滑舌よく流暢に喋り出す模様。
あらためまして! はーくんだよ?
あらすじ
・『中原式収納術』
・『中原式貯蔵術』
・『中原式簡易貯蔵術』
あっはっは! まるであらすじになってないね!
さて、冗談みたいな軽いノリでできた『中原式簡易貯蔵術』だけど、その使い勝手はおもいのほかよくて、もうこれでいいんじゃないかな? と脳裏を過ったけど、まだ未解決の欠点はあるし、途中で放り投げるのはカッコよくないなと思い直した。
後に魔力化したモノの魔力そのものの劣化については、定期的に物質化して再魔力化すれば、ほぼ防げると検証により判明した。これがもし未然にわかってたら、コレデヨイ……! とはーくんは開発を投げてたかもしれない。
なお『中原式簡易貯蔵術』のクーラーとはエアコンの冷房ではなく、クーラーボックスのクーラーだよ?
さて前座の筈が完全に大穴で万馬券だった『中原式簡易貯蔵術』の事は一旦忘れて。
お待たせしました。 本命である、三つ目の欠点のええと……?
はい! ド忘れしてるはーくんの為におさらい! 三つ目の欠点、それは魔力化した貯蔵対象がけっして大きくはないんだけど、なんかかさばってしかたがないことだった! リメンバーはーくん?
──と、そんな感じだったね。
そんなわけで、魔力化した貯蔵対象の──って、いちいちながいね! ええと、『魔氷』でいいや! フリーザーだし。
そんなわけで、かさばる『魔氷』の軽量縮小化を試みるのだった!
『魔氷』は知っての通り魔力である、しかしその魔力すべてが存在の構成に必須なモノだろうか? うん、何を唐突にいっているのかとおおもいかな? だいじょうぶ! べつにアタマはおかしくなってないから! ホントにだいじょうぶだからね!
オレがいいたいのは、たとえば水分! 多くの生物がその大部分を構成する要素であり、大事な要素である。しかし、それゆえに水はどこにでもあり、いくらでも代替が利く。さすがに生物から水分を抜くと生命維持に支障をきたすが、すでに死んだ生物ならその心配はない。
古くから保存というものはその水分の対策であった。水分とはモノを腐らせる微生物の活動領域であり、保存対象からいかに微生物の活動領域をなくす事が肝要であるといえた。
一番手っ取り早いのは干して乾燥させること、つまり水分そのものをなくすことである。しかしそうそう完全に乾燥させ水分をなくすことができようもなく、それにたとえ完全に乾燥していていても空気中の水分を吸収して湿気ってしまうものである。水は高いところから低いところにおちるよう、これは空気中の水分にもいえて湿度が高いところから湿度の低いところに水分は移動するわけだ……冗談だよ、空気の均一化を図る作用なので水分だからというのはあまり関連性はないとおもうよ。日本人特有の右にならえ作用とおなじようなかんじだよ? たぶんね。
そんなわけで完全に水分抜くのは困難だ! ならどうするか? 塩漬けだ。イカの塩辛というものがある、これは水分がたっぷりと残っているが保存はきく、その理由が塩だ。この塩辛の水分、実は微生物が活動領域として不適なものになっている、なぜならすでに人が住んでいるから──もとい塩がとけているからだ。この塩などがとけて微生物が住めなくなった水を結合水といい、逆になにもしない微生物の住みよい水を自由水という。水分中の自由水の比率が高いほど腐りやすいものとなり、この比率を水分活性とよぶ。
この自由水を結合水にするモノは塩だけではなく砂糖なども使われる、例としては果物の砂糖漬けだ。
なお先に例を挙げたイカの塩辛だけど、昨今の減塩ブームの影響で減塩塩辛というものが作られたが、これによって食中毒の事件が発生している。水分の多い塩辛を減塩した結果水分活性が高く──つまり自由水が多くなったんだ!
塩辛い保存食には塩辛いなりに理由がある事を失念してしまった事件で、笑い話にもならないね!
──って、なんで水分活性の話になってるんだよ! 水分の話はただの前フリで例え話なのに!
閑話休題
前フリが長くなったけど、要はこの水分の様に構成に必須でないが多くを占めている普遍的な魔力を取りのぞいてみようという話だよ。
感覚としては干物……は水で戻しても元に戻らないから違うか。ええと…….そう! 濃縮還元や凍結乾燥なんかが、イメージが近いかな?
そんなイメージで『魔氷』から普遍的魔力を取りのぞくことでかなりの軽量縮小化を図ることができた、この時点で試みは半分成功した。
だが、元に戻せなくてはなんの意味もない。そうして、軽量縮小化したそれに魔力を加え元のスケールに戻す。そしてそれを実体化した、すると──。
それは残念ながらいくらか変質していたものの、それでもほとんど原型をとどめた状態だった為、実験そのものは失敗であるものの、方向性としては正しいことがわかった。
その後、いくらか実験を重ねたことでおおまかな失敗の原因がわかる。
一つ、普遍的魔力以外の魔力を取り除いてしまった。(逆に普遍的魔力を残してしまう事もあったが、こちらは変質に影響はない。但し要練習)
二つ、元に戻す際に魔力が過不足したり、ムラがでて均一にできなかった。
三つ、元に戻す際に普遍的魔力以外の魔力が混ざった。
主にこの三つの原因によってモノの変質や劣化が生じた。
だが、それも慣れて極意を掴めば失敗する事をなくなった。
それによりこの技術は完成した。
──と、それで納得してもよかったけど、オレはあえてその失敗を掘り下げて研究する事にした。
その内の二つ目と三つ目の研究結果は軽量縮小化には寄与しなかったため説明は割愛する。(機会があればその時に改めて説明するかもしれない)
1つ目の失敗原因、それは普遍的魔力以外を取り除いた事によるものだが、果たして普遍的魔力以外は全て重要なのだろうか?
そう考えて、研究すると幾つかに分類化する事ができた。心核・根幹・枝葉・末節。後になるほど重要性は低い。
まず、心核は最も小さいが、これを取りのぞくと『魔氷』を維持できずただの魔力となる。
次に根幹、これの大きさが占める割合はそれこそモノによるが基本的に心核の次に小さい、これを取りのぞくと『魔氷』の維持が難しくなる上、実体化した際に原型をとどめないほど変質劣化する。
そして、枝葉・末節。これらは全て取り除いてもあまり影響しない、特に末節に至っては全くと言っていいほど変質劣化しない。
──とこんな感じに、掘り下げるとやはり収穫があった。敗北をしりたい。
そんな感じで、『魔氷』から普遍的魔力だけを取り除いた可逆圧縮法、これは『中原式濃縮貯蔵術』、そこから末節を取り除いた不可逆圧縮法の『『中原式圧縮貯蔵術』、さらに枝葉まで取り除いた『中原式過縮貯蔵術』とそれぞれ名付けた。
さてさてこれで満足か? と考えるとまだいけるような気がした。
だから『中原式過縮貯蔵術』からさらに掘り下げてみた。
──といっても、そこから根幹を抜くなんでことはしない。
『中原式過縮貯蔵術』とは魔氷から余分なものを取り除いた心核と根幹である、故にこれ以上の軽量縮小化は不可能だ。
そこで根幹から構成情報を抽出して、現段階では構成情報化できなかった心核とまとめて保存する、これによりほぼ心核だけの重さがなくなる。これをどうするか?
まず、一つの方法は根幹の構成情報を型紙がわりに根幹を復元し心核と合わせる復元法。
そして、もう一つの方法が根幹の構成情報を手順書に根幹を造り、魔力で複製した心核を合わせる複製法。
心核が構成情報化できなかったので、心核その物を模写して模倣して複製を造り出す、しかしやはり構成情報がないためか完全な再現はできず、同じく複製化した根幹と合わせても劣化複製にしかならないが、その分何度でも造り出せる。
ちなみに復元法は心核を消費するため一度しか造れない、そのため構成情報を型紙がわりに消費して少しでも根幹の質をよくしようとしている。
これらを合わせて『中原式目録術』とよぶ。
なんで急に水分活性などの話をしてるんだよ!




