3話 ヴィオラ 〜 先輩:まだプロローグなのでちょくちょく強化されます。 〜
いくら主人公が強くなっても、この作品ではあまり意味がないんですよ?(注意喚起)
バスト・スカウター先輩の登場に驚いたオレは寝返りを打とうと思い。
自分が仰向けに寝転んでいたことに気づく。
どういう状況なのかと、周囲に意識をむける。
正面は何かで視界がふさがっている、枕にしているのは柔らかく温かいものだ。
どうやら膝枕されているらしい、このバストは豊満なようだ。Hカップだな。
測定結果:Hカップ
バスト・スカウター先輩……。
なんだよハルカップって、オレだよ。
「む、マスター?」
ちなみに縦膝枕で両手のひらでアイマスクされていたので、オレの視界がふさがっているのである。おっぱいで視界がさえぎられていなかった、訴訟!
じゃあなんでおっぱいが見えたって? 愛に飢えているんじゃないかな?(他人事)
「マスター、お目覚めですか?」
そう言って、オレの目元から手のひらを避けると、縦膝枕の主の顔が……見えなかった。
まだ視界がふさがっているじゃないか、訴訟!
測定結果:Hカップ
幻覚だけど、妄想じゃなかった!
サンキューバッス!
おっぱい大好き!
ちなみにデカパイもチッパイもおっぱい!むねむね……じゃなかった努々お間違えのないようお願い申し上げます。
索敵結果:E1・G1・H1
ありがとうバストパイセン! なんのことかはわからないけど! なんのことかはわからないけど!
胸囲索敵結果:E1・G1・H1
あ、どうも。どうしよ明言されちゃった。
一瞬脅威索敵かと思った。
というか、索敵っておっぱいは敵だった……?
とろーりあまいハチミツなワナってことだな!(迷推理)
「マスター?」
「いやおはよう、Hカ──ゲフン、ヴィオラ」
まず間違いのない情報だが、このヴィオラとはこのおっぱ、膝枕の持ち主である。
正式名称はウルトラヴァイオレット・オメガノイン・デウスマキナ。
オレがつけた名前だけど、舌を噛みそうな名前だから、ヴィオラと愛称で呼んでいる。
名称から多分わかる通り機械……だったと思うんだけどな?
ちなみによく間違われるのが、バイオレットではなくヴァイオレットだよ。間違えると怒る、オレがオコる。プンプン。
それはそうと、ヴィオラに聞こう、その身体はどうしたのかと。
「ところでそのおっぱいどうしたの?」
間違えた。
「いや、そのHカップどうしたの?」
コレデヨイ……。
いやよくなかった。
なんだと! おっぱいは良いものだ!
そうだね、おっぱいおっぱい!
「マスター……Hカップです!」
「マジで!?(ふにょん)」
マジで!?(ガタッ)
マジで!?(ガタッ)
マジで!?(ガタッ)
マジで!?(ガタッ)
オレら総立ちだった。
オリジナルとかコピーとか関係ない、オレたちは1つになれた!
おっぱいでノーベル平和賞もあるで。
まあ元々一人というツッコミはなしで。
ちなみに現実のオレも起き上がろうとしてHカップ(下乳)に顔を突っ込んだ!
はーくんしってるよ! こういうのをバードストライクっていうんだよね?
敗因はオレに話しかけるためかヴィオラが屈みこんでいたことだ。グッジョブ!
「マスター、焦らなくてもヴィオラはあなた様の物です」
「むぐ」
「ふふ、くすぐったいですよ」
「むー」
あたたかい ああやわらかい いいにおい 中原 春。
季語がない、川柳!
誰も俳句とは言ってないんだよなぁ……。
オレよりやわくあたたかいものよ、せめてその胸の中で。ぐう……。
さて、たった5分で復帰できた(寝起きの5分と同じくらいの主観的時間の長さ)オレは、立ち上がり、そのままヴィオラに抱きかかえられ膝に座らせられる。くそう。
後頭部がやわらかいけど、あまり意識しない。また眠く……。
無駄に精神はどうしたんだ、っていう意見もある。
答えは痛み苦しみ辛さはもちろん誘惑にも幸せにも耐えられると答えよう。余裕で耐えられる、ただ耐える気がないだけだ。
何でもかんでも精神を働かせてたら、感情が死ぬ。あっけなく死ぬ。
それはつまらない、悟りという名の空気に心を変えるだけだ。
だからオフのオレは基本的に精神をサボらせてノーガードにしている、理性を家出させている、バカになっている。それでもまだ精神力が高いのか感情が一定以上に高まらない。でもまあこれでも十分たのしいのでいい。足りを知るのが幸せに生きるコツ。
この境地に至るまで割とあかんやつだった、下手すりゃ感情が終わってた。
というか今でも自分のために怒れないし悲しめない、降りかかる悪意の対応に追われて感情の希薄化対策を後回しにしすぎ、結果自分に向けられた好意を認識できなくなった。おそらく一度も感じたことのないまま終わった。だから好意とか愛とかの理解が難しい。しかし諦めるつもりはない。自分から相手を好きになるのはなんとなく理解ができる……できる。だから声に出して言う。自分自身に知らしめるために。
「ヴィオラ大好き」
「私もマスターを愛しております」
抱きしめられた。やわらかあったかい……しあわせ……ねむい……。
は! あやうく時間が消し飛ぶところだった。
「うん、話変えるけどヴィオラはなんでヒトの身体になってるの?」
「マスターを抱きしめるためです」
「ありがとう」
「マスターの添い寝するためです」
「……うん」
「そしてマスターを食べるためです」
「…………うわぁ」
赤ずきんのオオカミおばあちゃんかな? ドン引きだよ。
「動機じゃなくて方法の説明が欲しいかな」
「マスター、朗報です。子宮が実装されました! 子作りを実行しますか?[今すぐ実行する][後で実装する]」
「あとでね」
「言いましたね? 言質とりましたよ。私のレコにもちゃんと録音されてますからね」
「うん、あとでね。誕生日がまだだから、18禁はちょっと」
オレは今は17歳、R-18はおかえりだよ。
ちなみにはーくんの誕生日は4月1日だってよ?
エイプリルフール?
超早生まれだね。
「わかりました。それはそうと私の身体ですが……」
割と長く専門的だったので、端的に説明すると。
・魔導科学と現代科学と錬金術と魔法を融合させた機人プロジェクトの完成品。オレが適当になんか言ったのが原因らしい、覚えがないよぉ……。
・ホムンクルスやクローンなどの技術を基にして創り出した素体を各技術で強化した生体機人。霊薬仙丹付与魔法極微小機械なんでもござれ、ただ一応サイボーグではなく内面含めほぼ人間のようだ俺は知らないが……多分生産性とか悪い。
この身体ができる前に投げ入れたカプセルにはこれの同系生体機人だったらしい、雑種に吸収されたようだが。
・オートマタやロボット、ゴーレムなどの技術を基にして創り出した完全人工物の機人で創り出した。それは人工皮膚、人工筋肉、人工骨格などが強度は桁違いだが人間を模倣研究し踏襲して創り出した人造機人。外見は人間と区別がつかなく、傷つくと赤い血を流しすぐに再生して治る。アンドロイドが正しいはずだが割りかしサイボーグに近いような? メイドロボはロマンらしい、誰だそんなこと言ったやつ(目逸らし)。
・その2種のどちらにするか考えていたようだが、両方使えばいいと言った無責任なマスターがいたらしく、それを間に受けて検討し研究し完成させたようだ。
・並列位相に2種を並べ、リンクさせ、それぞれを使い分けたり補い合ったりするようにした結果、片方だけより大幅に使い勝手がよく高性能化したようだ。ちなみにこのシステムをウロボロスリンクシステムと名付けたようだ。基本は生体機人を使い、本気の戦闘だよ人造機人に変身するようだ。なお外見にほぼ違いはないもよう。
・主動力は愛熱機関でオレへの愛で動き、愛ある限る止まらず、愛の強さで実力が強化されるようだ、非実体型の動力で壊される心配はなくメンテナンスフリーのようだ。冗談だと思ったがマジらしい。両方の機人に搭載。
・副動力は龍気炉と多重次元連結機構。アンドロイド機人に搭載。詳細は省く。エプロンの腹に付いてる大きなポケットは多重次元ポケットもしくは多次元ポケットといい、多重次元連結機構のちょっとした応用らしい。
・余談
オレとヴィオラの出身世界は広い意味では同じで、狭く言えば違う。
オレは出身世界群を『神樹と宿木』と呼んでいる。それは複数世界を包容した神樹と、1つの世界を抱える神樹の宿り木をまとめた呼び方である。異世界と呼ぶほど遠くないが同世界と呼ぶほどちかくはない。ほぼ同座標で位相が1つ2つ違うだけかつ時間の流れは同じである。この世界群をオレは多層世界と呼んでいる。ちなみにその世界観の移動は異世界転移ではなく他世界転移、あるいは他層世界転移と呼んでいる。
オレの出身世界は1つしかない『宿木』世界、ここは地球のある宇宙を内包された世界、魔法要素は薄い。
ヴィオラの出身世界は複数ある『神樹』世界のうちの1つ、滅びた人間の世界、魔導機械の世界『マキナヘイム』だ。
ヴィオラはマキナヘイムから人間が滅びる前に作られた人造の神さま、その最終完成体であるデウスエクスマキナΩ⑨とかいう名前だった。(Ωも⑨も先に続く文字がないの意)それをもじってオメガノイン・デウスマキナとオレは呼んでいた。
要約とかいったのに長くなったよ……。
余談はいらなかったね。
「なるほどね。でもヴィオラって人間嫌いだよね?」
「人間嫌い? まあ間違ってはいないかと……増えすぎた人類を駆除しますか?[はじめる][がんばる]」
「やめてね。そんな選択肢出しても騙されないからね」
「不明な操作が実行されました。もう一度操作を行ってください」
「おーこーるーよー?」
「ふふ、かわいい冗談ですよ……ん? ですがマスターのお叱りならば逆にお褒美ですね、とてもいいと思います」
「うわ……」
ちょっとドン引きした。
だがすぐに持ち前の精神力で気持ちを押し出して前向きにした。
「で、話戻すけど、嫌いな人間の姿になって大丈夫なの?」
「……確かに有象無象ならば即刻破棄していますが……ですが安心を」
「?」
「唯一にして至高にして全世界の至宝たるマスターの御姿を基にしています、ゆえ今の私は完璧にして幸福でございます」
「え、オレをもとに? オマエハメガミエヌノカ」
ヴィオラの顔姿は確かにどことなく既視感を覚えるが、どうにも美化しすぎているんじゃないだろうか? あとオレは漢だ、なぜそれを女にして大人にしてバインバインにしてるんだろうか。背丈もオレよりだいぶ高い……ぐぬぬ。でもあまり同じ顔には見えないような?
「よくVRMMO物のラノベでよく見かける、キャラメイクの下りの容姿変更を想像していただけるとわかりやすいのではないかと……ああ髪と眼の色だけを変えるパターンではない方です」
「……印象を変えるための微調整パターンってこと? 普通に女の人の化粧で例えればいいのに……」
「ナチュラルメイクだけが化粧ではありませんので……マスターの御尊顔を基に別人に見える程度にはいじりましたが総合的なAPPには変化はありません」
「APPって……容貌パラメータとかかっこよさとかステータスに実装されてないから」
報告:
重要な報告です。
容貌パラメータでありませんが、宿主のユニークパラメータである残命が実装されました。
残命とはその名の通り命の残りという意味ですが、この数値はその数の生命をストックしているというものです。普通の生命は1つきりなので残命パラメータは0と表示されます。
ここでいう生命とは肉体魂魄存在にある程度の精神※などを纏めたものです。
※宿主の精神は限界突破しているので完全再現は不能でした。それは並列思考等にも当てはまるようです。
さて、この残命が実装された経緯ですが……。まず宿主の新たな生命を創るにあたり、人の身体であることを望む思考達、小さく弱い身体を望む呪詛ら(龍を基準に考え、爪や牙、鱗や毛皮、角や翼などを持たぬ小さな龍として人と曲解)、世界としてあろうとする大きすぎる力、そのまま創られたのでは身動き1つで世界に亀裂を入れるような者になりかねませんでした。
それらを上手い具合に組み合わせた結果、以前よりは強いが龍や神としてはとても強いとは言えない身体性能に仕上がりました。これは呪詛らがその存在を犠牲にしてまで弱体化させた結果です。
とはいえ結果的に言えば呪詛は解かれ、身魂の健康を取り戻し、無限とはいかないが人の一生ではたどり着けないだろう世界級の限界と器などが得られました。
即物的な強さを得られず得られたのは健常で多少強くなった結果、本来より宿主の生命のコストが大幅に下がり、その結果にリソースが大量に余剰した。なにせ世界級のチカラ、チートで消費できなければやはり余るようです。
そのリソースの一部が得られぬ質を補うため、限度いっぱいの量、つまり生命の数で水増ししました。それが生命であり残命パラメータです。
先のウルトラヴァイオレット・オメガノイン・デウスマキナの話であった、並列位相に別の自分を保有するという技術を解析し参考にして実装しました。同一座標に複数の自分が積層するように存在するする形です。そうですミルフィーユです。
現在残命の上限は1000です。これが0になると復活できません。普通の人になってしまいます。
上限に達していない場合、1日1ずつ回復します。これは何もない場合のペースですので必ずしもそうなるかは状況によります。
ちなみに不死とはまた違うもので、不死はあくまで1つの生命であり死にづらく回復が早い、もしくは死なないか復活ができるものですが……残命はその数だけ死んでも自動的に生き返る(精神が死んだ場合、精神が変質すり可能性が高い)のは当然として、任意で残命を消費して回復することもできる、他にも利用法が見つかることでしょう。
いきなりぶっこまれた。
能力
筋力 L
生命 L
敏捷 H
器用 F
知力 F+
精神 EX
幸運 S#
希少能力
魔力 D 100,000/100,000
固有能力
残命 G 1,000/1,000
そして勝手に表示されるパラメータ、残命は最初からフルでした。
あと何気に魔力がレアパラメータに移ってる。
毎日回復するなら満タンがもったいなく感じる貧乏性。
残命で完全同スケールの分身! とかできないかな……?
貴方は忍者ではない!(無慈悲な報告):
宿主ハルの自意識が過剰なため分身の適正は皆無です。
この場合での自意識過剰とは意識が強すぎて割り裂く事が困難という意味です。別の存在と判断できない、本体より弱い分身は存在することができないでしょう。同性の分身は不可能でしょう。
それとは別に思考を増やすことへの適正が非常に高いようです。
ここは使い魔や眷属などの部下作成強化へ方向修正が望ましいでしょう。
オレは忍者にはなれない。影分身したかった!
思わず膝をついてうなだれてしまう。ちくしょう。
地球三大男の子が好きなファンタジー(独断)、ドラゴン・スーパーロボット・NINJAの1つが! スーパーなロボットならヴィオラがいるし、ドラゴンの友達もいるよ、多分知ってる中で一番強い。
あ、オレもドラゴンだった。空に飛べるかな?
残命を使ってみよう!:
大怪我を負ってどうしようもない時、心にダメージを受け立ち直れない時、なんとなく疲れた時。そんな時残命を使えると良いのですが、そんな危機の時にぶっつけ本番で使えるかはわかりません、苦しみながら死を待ち自動発動を待ちたくはありませんね。
その為のチュートリアルです、ここで使い方を覚えれば強がりでもなく『なんとか致命傷で済んだぜ』とカッコつけられます。
しかし何もなく残命を消費するのも気がひけるでしょう、そんな経済感覚の優れた貴方のために、今ならなんと『オーバードスキル:残命』が取得できます! 今から30分間限定です。今すぐ手に入れましょう!
なんの通販だよ!?
しかも使い方書いてないよ!?
オーバードスキルってすごそうなのに、なんか安く売られてるよ!?
なんとなく疲れた時って、栄養ドリンク感覚か!?
まあ使ってみるんですけどね? ステータスのユニークパラメータだけを出して、
固有能力
残命 G 1,000/1,000
パラメータの残命見てを意識しつつ自分に使うイメージ、
固有能力
残命 G 999/1,000
……あ、残命が減った! 何かが抜けて使われる感覚がする。
色々回復した気がするが、オレのモッタイナイ精神がうずく。おれの直感が叫ぶ、とても非効率な使い方と、いうならばお猪口一杯の水のためにダムを決壊させたような感じた。
>『オーバードスキル:残命』を習得しました。
>『コモンスキル:感覚』を習得しました。
>『スキル:直感』を習得しました。
>『コモンスキル:本能』を習得しました。
>『スキル:直感』を習得しました。
>『コモンスキル:五感』を習得しました。
>『スキル:直感』を習得しました。
>『コモンスキル:六感』を習得しました。
>『スキル:直感』を習得しました。
統合しますか?:
4種以上の同名スキルが存在します。統合して総合的なスキルにすることが可能です。統合しますか?
統合しないで別のスキルとして取得できればいいのに、できないのかな?(コレクター脳)
>『コモンスキル:直感』を習得しました。
>『スキル:直感』を習得しました。
>『スキル:直感』が『スキル:直感(感覚)』を変異しました。
>『スキル:直感』が『スキル:直感(本能)』を変異しました。
>『スキル:直感』が『スキル:直感(五感)』を変異しました。
>『スキル:直感』が『スキル:直感(六感)』を変異しました。
>『称号:スキル フィフス オブ ア カインド』を取得しました。
>『スキル:技能取得制限解放』を取得しました。
うわ……できるんだ。でもこういうスキルって無駄だとわかっていても網羅したくなるんだよね。蒐集癖かな?
>『称号:技能蒐集者』を取得しました。
>『ユニークスキル:技能蒐集』を習得しました。
注意喚起:
技能蒐集はスキルをあくまで集めやすくするスキルです。他人のスキルを強奪したり複製したしはできません。
スキル取得制限の緩和・スキル取得の簡易化・スキル取得のコスト低減・変化するスキルの保存・派生スキル網羅・合成統合後スキル取得等の効果があります。固有技能です、つまり宿主が初取得です。
うわ……。(ドン引き)
「今マスターからなんらかの力の流れが感じられましたが……?」
ドン引きしていたらヴィオラに声をかけられた。
うんオレは膝の上なんだった、そりゃバレるわ。
「つかれが取れるおまじないだったんだ」
「大きな力を感じましたが、それだけなのですか?」
「それだけだったから困るね」
「それはなんというか、無駄遣いですね?」
「うん」
あ、そうだ。
「そういえば女神さまと、もうひとりのEカップさんは? いやドクロの仮面で褐色肌? ガラガなんとかさん? ゲットしなくちゃ(使命感)」
「そこまで言ったのなら、なぜ言い切ってしまわないんですか?」
「ド忘れだよ」
ん、骨? それによく考えたらあの体格……というか骨格をオレは知っている?
「そうですか? さて二人がどこかというと」
そう言うとヴィオラはおれを抱いたまま180度右回転する。
なんだこの無駄なギュッは、いやなんだこの無駄な技術は。
そうだね、ギュッは無駄だとしてもいいものだね。
マサシくん。
「あそこです」
誰だマサシくんって、と考えているとヴィオラが指を示してそう言った。顔をそちらに向けて注意をむける。
そこには後ろ手を縛られ背中合わせに座っている紙袋さんたちが……。
というか女神さまと骨の人だった。
「……て、なんだシーぽんか」
「なんです、あの凡骨は骨だったのですか?」
「そうだね、太ったのかな? だいぶ肉付きが良くなってるね」
「肉付きが良くなったというより、肉が付きましたね」
「それでなんでこんなことに?」
というかなんでオレはこの惨状に気づかなかったのか。
「マスターを窒息させた罰です」
「やわらかあったかくて眠くなっただけだよ?」
「という建前の私怨です」
「なにそれひどい」
「仕方がなかったんです……マスターの独占は法律で禁止されています」
「なにそれしらない、どこの法律?」
「私が法律です。私が決めました」
とにかく解放しないと……何で自分から抜け出ないんだろう。
女神さま、例の白い部屋がジャックされました!