39話 『再生』 〜 命名者:いつもありがとう! 大好きだよ! 愛してるよ! 〜
妙に筆が乗ったので3,000文字にパンパンサイズです。
サンキュー! はーくんだよー!
なんでかわからないけど急に感謝したくなったんだよ? 感謝感謝!
感謝のせいけんづきとか始めてみようかな? あはっ、せいけんづきを修めれば『はっさん』とよばれる日もちかいはずだよ! よしシャバに出たらふかくこしをおとしてまっすぐこぶしをつきだす練習をしなくちゃ! ありがとう!
らす
・母親発狂。
・母親・姉、やめるんだ秘密結社される。
・名を捨てた少女。
感謝の気持ちを込めてはーくんでした!
「ハル、どうしたの? え、ど、どうしたの急にありがとう、って?」
「え、え? えへへ……うん、ワタシも、大好きだよ……愛してる、ハル」
「ふぅ……うっかり成仏しそうになったよ」
「え、もう神の御許に居る?」
「は、ハル! まさか宗教にハマったの!? ダメだよそんなの、身を滅ぼすよ!」
「え、違うの? 女神さま……あ、ここ駄女神の神域なんだ」
「うん、神域じゃなくて、寝域かと思ってた」
「……えへへ、うっかりしてた」
※はーくんは創世神の信者の称号を持ってます。
「記憶操作を施すといってもすぐに完了するわけではない」
「記憶の周りとはデリケートなモノのようでボタン一つでどうにかできるようなものではない」
「前に『青』の記憶からワタシの事を忘れさせたけど、時間と共に思い出したみたいで……カグヤのところでうっかり見つかったんだけど、ワタシの事を憶えてたんだよね、えへへ」
「昔と違って言葉を話せるようになってて色々と話しかけてくれて」
「友達になって、って言われたんだよ」
「嬉しくて感動してたんだけど、反応しないから『青』が悲しそうな表情をしだして必死に頷いたよ、身振り手振りで喋らない事を伝えたけど、構わない、って」
「ワタシが! ワタシが初めての友達だって! 嬉しい!」
「もちろんハルがワタシの初めてだよ?」
「それでそれで、友達になったから名前をくれたんだ」
「ワタシの名前、『色』と書いて『シキ』、『色』がワタシの名前なんだ!」
「ただ、ワタシの名前をつけたら『青』が倒れてビックリしたよ! カグヤもすぐ駆け寄ってきたし」
「これは名付けをしたから、『青』の魔力が空になって倒れてしまったんだよね……」
「……マンガやラノベの設定じゃなくて現実の話! 名前は祝福で楔なんだよ、それがそこに在る証で、それを他から切り出して個を与え形を定める……それが名前なんだ」
「物の身体を持つニンゲンなら名付けずとも存在する事に支障はないけど、当時のワタシのみたいに物の身体を持たない霊体だと名前は存在する事を許された照明みたいなモノなんだよ! もう!」
「だから逆に名前を捨てるというのは世界との繋がりを切るようなものだから危ないんだよね」
「名を棄てた少女は母親への罪の意識もあり罰されたいと思っていたようだけど」
「それ以上に自分が異物で、世界が自分の知る世界でない事に耐えられなくて拒絶してしまったみたいなんだ」
「だから半ば自棄になって名を棄ててしまった」
「全く、これがニンゲンでなかったら危ないところだったんだよ!」
「……名前がないとそんなに危ないのか? そうだよ、物の身体があるのならともかく、名前で自分を区切られて個を確立しないと、段々世界に融けてしまうんだ……ハルくらい精神が強ければ別かもしれないけど……不死者が変質する理由の一つがこれだよ? 言っておくけど何の処理もしていない死体に憑いても効果は薄いからね? 壁に穴が空いてるようなものだから」
「あれ、話が逸れてる?」
「閑話休題」
「母親たちの記憶操作は、父親に関わってからの部分を削り、その穴を埋めたてて、あとは時間をかけて擦り込むという形で行われた」
「土地に例えると、森があるとして、その森を土ごと掘り返して除去して埋め立てて整地して基礎工事を行ったようなモノ、それから時間をかけて家を建てていくという感じだ」
「そこに少女が組み込まれたのは、記憶操作ができない『怨敵』を忘れさせた穴埋めであり、父親に殺された母親の姉の代わりでもある」
「母親たちの記憶操作は時々行われるカウンセリングという形で行われた」
「一方、気絶したまま病室に封じられた『怨敵』だが……」
「生きる為に必要だった『青』との繋がりが切れてしまい、徐々に死に近づいていた」
「正直言って助かる義理なんて無い……と言いたいところだが、『怨敵』がこうなった原因の一端がワタシにもある可能性に気づいてしまった」
「ところで父親の催眠対象に『怨敵』を入れていなかったのには気づいていただろうか?」
「それは忘れていたわけではなく、効いていなかったからだ」
「『怨敵』は記憶を失い、『生』を喪っているが『宿敵』だった、かの呪いに耐えていた『怨敵』にチンケな催眠は効かなかったのである」
「……さて、そんな妹に母親たちの精神操作を解くついでと鎌を振るったワタシだけど……」
「もしかして、万が一、あるいは──それによって『青』との繋がりが絶たれていたのだとしたら……『怨敵』の現状はワタシにも責任の一端がある事は否めないかもしれない恐れがある」
「大凡世界から『青』が消えのが理由だと思うけど、ワタシの勝手な判断が原因の可能性があるのなら、たとえ相手が『怨敵』であろうと借りは返すべきだろう」
「そう言い訳に言い訳を重ね更に言い訳で蓋をして鎌を振るい、『怨敵』に迫る死を払う」
「死の原因が絶たれていない為、現状維持の延命にしかならないが進んで解決したいとも思えないのでこれが次善だろう」
「それから時々──大体一月に一度か二度の間隔でその作業を行った」
「さて順調に進んでいたように見えた母親の治療だが……ある日から母親の様子がおかしくなる」
「お腹を気にしたり、吐き気をこらえたりしている様子が時々見られた」
「何かの病気だろうか? と様子を見ていたが、念のため鎌を二振りし病と死を払っておいた」
「それから更に月日が流れたが、母親の姿に変化が見られた」
「どうにも、お腹が膨らんできた様なのだ」
「太ったのだろうか……ただなんとなく、母親の気配に違う生命反応が混じっている事が気になった」
「母親がそのお腹を周囲に隠しているので、ただ太って恥ずかしがっているだけとワタシは判断した」
「ある日、いよいよお腹が目立ってきて他者に気づかれた様だ」
「それによってわかったのだが、母親は新たに子を宿した様なのだ」
「いつの間に……というか、ワタシには特に変わった様子は伺えなかったのだが」
「気になって『死』による確認をした……その手の調べ事は『死』ではなく『生』の管轄なので得られる情報は限られるが、『死』とって生とは、いずれ死すべきモノなので調べられない事もない」
「そして、驚くべき事に気付いた」
「宿った命とその母体の母親の両方にだ」
「まず母親についてだが……」
「どうにも概念の様なモノを宿している様で、更に調べると『生』の残り香を感じる」
「なんというか『生』の二番煎じを煮詰めた様な感じを受ける」
「……いや、そうか。母親は『青』と『怨敵』……いや、『生』達の母親だったのだ」
「……うん、ハル。なにを言ってるんだ、って尤もな意見だと思うけど、話を聞いて」
「ワタシが確認したわけではないけど、これまでの周回でも母親は『宿敵』や『生』、そしてひいては『生者』を生んでいる」
「なんで確認しなかったのかは、フェアプレイの精神……と思ってたけど多分、『生』の家に突撃して父親を見つけてしまうのを防ぐ為に精神操作を受けていた恐れがある」
「『死』が『生』の試練として機能する為……父親を見て気付いたんだけど、『死』が『生』を目の敵にしていたのは『生』が父親の娘だから間接的な復讐……いや八つ当たりだったんだと思う。父親の娘が幸せそう……生に溢れた様子なのが気に入らなかったんだ」
「だからそれより不幸そうだった『宿敵』には暴走するとまではいかなかった」
「『青』? どうなんだろ? 一目惚れかな……もしくは父親の被害者として共感を覚えたとか?」
「……って、また話逸れてた」
「母親は歴代の『生』と新たなる『生』だった『青』を生んだ」
「どうも周回の起点が『生』の出生みたいだから、そこらへんの初期化が曖昧になってたみたいで……」
「しかも到達位階に達した者が二人いたから……」
「うん、母親は、なんというか……『生母』とでも言える存在となり」
「母体に残った『生』の残滓を集めて再生した、『生』の概念の模造品とも言える力を宿していたんだ」
「敢えて名付けるなら『再生』の概念だろうか?」
「ともかく、母親はそんな力を宿していた」
友達になったとかのくだりで、シーぽんが饒舌になっています。すごく嬉しそう。




