閑話1 女神達の命名者 〜 命名者:家帰って夕飯(天丼)取ってくる 〜
短編とおなじでごんす
※主人公不在
きがつくとめのまえにとってもおっきなワンワンさんがいたよ。
なんだ、これはゆめかにゃ?
ワンワンさんがこちらをにらみつけて、うなっている。ぐるる。
「わんわーん!」
ゆめのようにおっきなワンワンさんにだっしゅてあしをだっこ、わ! すっごいモフモフだよ! すっごいモフモフだよ! わーいわーい!
「わんわーん! わんわんわーん! あはははは!」
「あっはは! わーんわんわんわん!」
「わわわわわーん!あっはっは!」
モフモフにりせいをてばしてやせいかしたハルはきのおくままにモフモフしたよ。
ちなみにわんわんいってるのはハルだよ? にゃんにゃん!
「あはっ! わんわーん! わんわーん?」
きがつくとワンワンさんがおなかをみせていた。
うわぁ! おなかフカフカだわんわーん!
「わんわんわおーん!」
みわくのフカフカにみいられたハルはまたやせいかしていたみたい。しょうりのおたせびなんだよ! おーん!
なんかいきもたえたえでものいいたげななきごえがきこえたのはいつだったのかな、わすれちゃった……、とくにはんのうもせずにモクモクフカフカたのしんでいたら、ワンワンさんがひめいをあげたあとに、ピクピクけーれんしていた。
ありゃ、やりすぎちゃった?
ワンワンさんがしたをだしてしろめむいてるよ。
こりゃ、ダメだね。つぎいってみよー!
「やりすぎちゃった、ごめんね。あとハルはハルってなまえだよ」
へんじがない、ただのしかばねのよーだ。
しょーがなくちかづいたら、きゅうになきだしておそろしげなめでハルのてもとをみてるワンワンさん。なんだろう、っててもとをみたらむいしきにわきわきさせてたみたい。こわがらせちゃった?
「だってかわくておっきくてモフモフで、カッコよくてくろくてフカフカなんだよ? ちかたないよね」
わんわんとこうぎのこえをあげている、わからずや!
「あることをしよーめいしてやる! このフカモフすきるでっ!」
ワンワンさんがキューンキューンとなさけないこえをだした。こうさんみたい? ざんねんだなー、しょーめいしてやるのにー。
おっきなオオカミがよーじたいこー? だっけ? をしてる。きゃんきゃんいってあおむけでジタバタしてる。
「でもなーこのゆめさめないし、もっとモフモフしたいなー。むしろおきるのとかどうでもいいからモフモフだよなー」
え? なまえ? なまえほしーの? なんかいみあんのー? まいっかー、んー? ん! そーだ! おめめがくろっぽあたこんいろだからネイビーでどう? どう? きにいった? きにいっちゃたの? んふー!
え? こんどはちがほしいの? なんで? うーん、もー! しょーがないなー、まいっか。みぎてのひとさしゆびにハルのやえばでちをだしてつけてワンワンさんのまえにたって、ハルよりおっきなかおののまえにゆびをだす。ちなみにワンワンさんはずっとあおむけでした!
「どーぞ!」
そーいったハルのゆびのちをペロリとなめて、ワンワンさん、オオカミ・ネイビーひとことほえた。
というところでハルがおきたくなったみたい、ゆめがおわるよー!
というかあるじってなんのことなの? へんなゆめだなー。きっとめーせきむだよ? どっとはらい。
視点変更
ハルが天丼取ってくるといって意識を失った。文字通り意識がどこかに行ったのだ。
言ってて意味がわからなくなるが、アレは急に馬鹿なことをして周りをよく騒がせる。
と、ハルが倒れて慌てていた女神ヘルブラウがこちらに気がついた。
「いえ気付いてはいました。ずっとハルさんの後ろにいたようですね」
気づいていて無視していたのか、ハルしか目に入っていなかったと思っていたが、……おい、なんで目を反らした。
「いえ、その……気付いてはいたのですよ? ただハルさんが、ハルさんが」
そう言ってクネクネしだした、なんだこれは……ハルと出会ったばかりなのに、もう堕ちているのか? このチョロビッチ駄女神が!
「ちょろびっち駄女神!? どう言う意味がわかりませんが酷すぎます!」
そうだな、こんな小学生、いいとこ中学生にしか見えないハルに欲情しているんだ! ショタコンも追加だ! ショタコンチョロビッチ駄女神め!
「びっち? え、ビッチって色々な殿方と、そのしているって意味ですか!? してません!」
何かで調べだして弁解しだした、カマトトぶってるのか?
「だ、だって殿方どころか誰かとお話ししたのはハルさんが初めてですのに! ちなみにあなたが二人目です!」
な、なるほど……随分と可哀想なやつだな。
「憐れまないでください、あなたなんて……あなたなんて、えーと? ボロマントガイコツすとーかー? じゃないですか!」
なるほど、キサマなどカマトトショタコン処女ビッチチョロぼっち駄女神で十分だ!
「なが!? 長いですよ!」
知るか、ちなみにワタシはストーカーではない。物心つく前から見守っている。観察者とか選定者とかもっと厳かな感じの者だ。
「え、うわぁ……」
カマトトショタ…………長いな!? 誰だこんな長くしたのは! おのれ駄女神! とばっちりだとかなんとか、聞こえるが気にしない。
ワタシはハルの対の存在だ。ん? ああ、ハルは特殊ではあるものの人間として生まれている(今は雑種とか訳のわからん事を言っていたが)。いろいろと面倒な事情があるから割愛するがな。
まあ、ワタシの姿を見ればわかるかもしれないが、これは死の象徴だ。ハルが生でありワタシはその死だ、本来生は死を恐怖れ、死は生を憎悪み、互いに命を奪い合う形になるはずだったのだが……。
あれはワタシを見るなりトモダチになってと言うのだからな……。フフ、思わず逃げ出してしまったよ。それ以来顔を見ることができなくてな……。
うん? ああいや、そうだよ。うむ、わたしも大概チョロいということだよ。ふむ、ああそうだ。惚れたのも名をもらったのもワタシが先だぞ? ワタシはシキ。色と書いてシキだそうだ。ハルを青と読めばシキを色と読み、ハルを春と読めばシキは四季と読むのだそうだ。フフ、嬉しくて思わず気絶してしまったよ。
なに? 羨ましいだと? キサマの名はハルとヘルに青という意味のブラウだろう? ある意味では二つともハルのもじりではないか、ハルが二つ? くっ、羨ま、いやいや隣の芝生は青いというが……いや、たしかに青いな……。
ん? 顔見れないのにどうやって話していたかだと? たわけめそもそもワタシは喋れないぞ? む、聞き捨てならないぞ、大切なワタシの名が騙りだと!? 駄女神キサマ! そうか、いいだろう教えてやる。
まずハルが前を向きワタシがその背後を取る、そしてハルが前を向いたまま後ろに話しかける、ワタシが身振り手振りと首肯で反応する。どうだ! ……なんだ、何か言いたげな目じゃないか。言って見るといい。
「それは……ほとんどすべてハルさんが負担していますよね」
そうだな! 加えて言えばワタシは普通の人間の目にはうつらないからハルが常に独り言をする形だったな! フッハッハ! 死にたい……。
「別に止めませんが……そもそもあなた、生きているんですか?」
……ハル曰く、『自分で考えて、自分で動けるのなら。そしてそれを自身が認めるのなら、どのような形でだって生きている』のだそうだ、だからワタシはきっと生きているのだろう。ハルに出会うまでのワタシは生きていなかった。ワタシはハルと出会うために生まれたのだ。なに?『わたくしはハルさんと出会うために生きていました』だと? パクリも大概にしろこの(前略)駄女神が!
なおも言い募ろうとしたが、ピシリと亀裂の入るなうな音がした。
音の出所を探ると、すぐに見つかった。だか、
「き、きゃー! ハルさんが! ハルさんが!」
駄女神に取り合うまでもなく意味はわかった。
倒れていたハルの身体に、魂魄にも亀裂が走っているのが見てとれる。亀裂から血と魔力が漏れ出ていると。
まずい、まさか今になって────
「ハルさん! 今助けます! えい!」
駄女神の手から光が出て、ハルに向かい……ハルの身体を粉々の灰にして、その魂魄をバラバラにしてしまった!
駄女神ィ────!
「き、きゃ────、ハルさぁ──ん!」
駄女神が涙目になっていたが、気にしている場合じゃ────
「治って! 直って! 癒って!」
駄女神の手から光という名のビームが連続で照射してハルの身体と魂魄に追い打ちをかけている。
駄女神ィィイイ────!
バカが! なおすのが苦手ならもうやめろ! そして新たに創り直せ! それぐらいの力はあるんだろう!
「はっ! そうですね! わたくしは創るのが専門でした! ありがとうございますっ! え?」
ワタシに礼を言ったと思えば変な声を出す。──とはいえ声が出せていたなら、ワタシもそうだったかもしれない。
ハルの残骸から黒い霧が立ち昇るのが見える。ワタシはアレを知っている。そもそもハルの身体と魂魄に亀裂を入れていたのがアレだ!
ワタシは知っていた、ハルの身体があれの殻になっていた事を。
ワタシは知っていた、ハルがどうした人から嫌われているのかを。
ワタシは知っていた、アレがなんなのかを。
ワタシは知っていた、アレが、殺せない事を、滅ぼせない事を。
ワタシは知っていた、アレが滅ぼした世界の事を。
「滅ぼした? 殺せない? いったいなんなのですか?」
今は説明してる場合じゃない! ワタシが時間を稼ぐ、だからハルの器!
「は、はい、わかりました!」
アレが纏まろうとしている、アレの下にはハルの残骸がある。このままアレに奪われてたまるか!
『我は半身たるハルの身体、ハルの魂魄、ハルの死、それをもってここに顕れん! 我が名はシキ、推して参る!』
ハルの残骸が光となりワタシの元へ来る、ワタシの骨の身体が闇となりハルの光と混ざり合い、融合する。わたしノいしきガとケテはるトまジリアウ。なかバしンデイルわたしガしんニいキテイルわたしニかキかワル! 新シイわたしニナル。
体に重さがかかる、地面を踏む感触がする、先の言とは逆に身体が軽く感じる、胸に妙に重さを感じる。力が湧き上がって来る。いまならなんだって出来ると思ってしまう。それに酔いそうにならワタシに驚いてしまう。これが真に生きているという事なのか!
「シキさん!」
水を差すような声に顔をしかめつつ振り向く、自分が意識せずに表情を作っていることに驚いてしまう。
「な、に!」
自らが声を出せることにやはり驚いてしまう。うむ、練しいや、集中してしまえば心を読む暇もないと考え言葉で話すようにしよう。うん。
「何ではありません! ハルさんの身体と魂魄を使ってしまうなんて! ハルさんの器をどうするのですか!?」
あ、やばい。
「がん、ばれ!」
「もう! 頑張りますよ! まわりの残り香とか残留思念とかをなんとか集めまくってどうにかしてみます!」
「うん」
アレに顔を戻す、アレは山のような大きさをもつオオカミの姿をとりこちらを憎悪しみの篭った青黒い眼でワタシを睨みつけ唸り声を上げる。
ここでは女神に近すぎる、距離を稼がなくては。
何度か手を開いては握り、その感覚を確かめる。受肉して強くそして近くなった死の力を握り拳に強く込める。
数歩走り、感覚をつかみ踏み込む足に死の力を込め、大きく離れていたオオカミとの距離を殺して瞬時に近づきソレを殴り飛ばす、追いかけて殴り飛ばし、追いかけては更に殴り飛ばす。繰り返して十分に距離を稼いだ、そう判断しオオカミを見るが大してこたえていない。なので次の手に移る。
手を開き、ヤツに向け、ワタシは唱える。
『クビを落とせ、チを啜れ、セイギの名のもとに!』
ワタシはその死を具現化し、形を与え、創り出す。
『ボワ・ド・ジュスティス!』
オオカミの上空から死の力を纏ったギロチンの刃がいくつも降り注ぎ、オオカミを斬りつける。
『クビを刈り、イノチを刈り取り、タマシイを刈り取れ!』
ワタシは駆け出しながら両手を開く、
『デスサイズ!』
両手を握り柄を掴み、オオカミとの距離を殺して斬りつけ、移動して斬りつける。オオカミが爪を振るおうと牙を剥こうとワタシは当たってやらない、ワタシには来たる死が見えるのから躱すことは容易いのだ。
だが急にそこに居てはいけないという感じがする。死の感覚がそこに立っているととても酷い事になると告げていた。
躊躇うことなく駆け出した、何度も距離を殺して移動して女神のもとにたどり着く。
「おい! なにか!?」
女神に忠告をしようとして気づいた、目の前の女が何かしている事に。
「雷よ!」
女神が遠くにいるオオカミに向かい手を振り下ろす。
音が消えた、光の柱が落ちてきた。いや太すぎるが雷だ。
「駄女神、キサマ、ワタシごと、ヤル気か!」
駄女神に顔を向けると、
「……」
目を見開いて口をぽかんと開けて、それを見ていた。
やはり駄女神だった。被害の規模が予測できなかったのか!?
5分もの間、雷の柱はオオカミを焼き続けた。
やはりオオカミは形を保ち、生きているようだが床に伏せて動かないようだ。
殺せないし滅ぼさないから封印するしかない。だがどうする? と考えたが、それはそれとして女神がアレに攻撃した事に、その意味に気づく。
「駄女神、ハルは?」
「もちろんできました。それも今までで最高の出来です」
と、駄女神がやや離れた位置を指す、そこに目を向けると……。
なんか空間が巨大な渦を巻いてるぞ!
「そもそも、何、比較して、最高の、出来?」
「人型(予定)の世界に、頑張って集めたハルさんの残骸の残骸とか残留思念の残骸とかハルさんの残り香とか集めて入れたんですよ!」
「なんで、世界に、する、必要が、あった!」
「え!?」
それは心底理解ができないという表情だった。いや、そもそもこいつは何の神だ!?
「創世神です」
嘘だろ!? なら人ぐらい創れるはずだろ!
「わたくしは世界しか創ったことがありません。大事ハルさんに一か八かの賭けなんてためせませんからね! それに今回は倒れていません! 今まで以上に力を込めましたのに!」
「今回は?」
「はい、初めての快挙です!」
手加減というものを知らないのか?
そういうと、駄女神は困ったような顔で首をかしげた。
「手抜きは、よくありません」
わかった。やっぱりコイツは駄女神だ。
と、その時空間の歪む感覚がした、倒れたオオカミの方に。
「「な!?」」
ワタシも駄女神もそちらを向くと、オオカミが浮き上がり、ものすごい速さで投げ飛んでくるところだった。ハルの? 世界(予定)に向かって。
「「!?」」
ワタシ達はなすすべもなくそれを見送り、オオカミがハルの世界に呑まれるのを見逃してしまった。
「全く愚か──そう、愚かですね」
と、すぐ側からそんな声がした。
そちらを見ると、ストレートの鋼色の髪を背中まで伸ばした青紫の眼をしたメイドが立っていた。あの位置から一瞬で移動したのか?
「ま、また人が? 3人目! ひゃー!」
駄女神は使い物にならない! なんだこいつは!?
「マスターの生体反応が消失したのでどうしたことかと思いましたが、本当に面白く愚かな事になっているようですね」
いや、この(特定個人以外には)妙に勘に触る声で話しかけてくるコイツは! というかマスターだと!?
「オマエ、ウルトラ、バイオ、レット?」
「 せめて様をつけなさい、凡骨。マスターから賜った名が穢れます」
コイツはウルトラバイオレット・オメガノイン・デウスマキナ。ハルをマスターと慕うヤツだったはずだ。
「 いえ、その名を呼ぶことこそ不遜。私のことはノインかマキナと呼びなさい」
どこまでも傲慢で悪魔みたいなヤツだ。ハル以外には大体こんな感じなのはいつものこと。いや、これでもだいぶマシな対応だったか?
「何をしに、ここへ。なぜあの、オオカミ、あそこに?」
「ふむ」
ヤツ、ノインは顎に手をやり何やら考えている様子。
「少し待っていなさい、先に用を済ませます」
「なに? 用」
こちらの言葉を無視し、エプロンの腹についているやや大きなポケットに手を突っ込み、ゴソゴソと何かを探している。
少し探して見つけたようで、手を抜き出し、人一人入るような金属の筒を取り出した。
「明らかに、大き、すぎる、どうして、入ってた! 何をする!」
「そのまま見ての通りですが──貴女には難しすぎたようですね」
呆れたように言って私から視線を切った。そして右手に持った金属の筒を持ち上げて、振りかぶって──って。
「おい!」
「ふっ!」
ワタシの声で止まることはなく、金属の筒を渦に投げ入れた。またか!?
「ふう、さて話を聞いてあげましょう」
どこまでも上から目線だな、コイツは!
まあ、いい。あまりよくないがまあいい。それよりコイツの目的だ。
「オマエの、ナインの、目的?」
「 目的、それはもう達しました」
「目的の、内容」
「内容ですか? わかりませんか?」
心底不思議そうな目でこちらを見る。
「マスターの身体ですよ、勿論魂魄も入っていますよ」
「カラダ?」
「はい。身体なければマスターが戻ってきた時に不便ですからね。無論これはお節介でありマスターならなんということはなく解決してしまうでしょう。ですが私はマスターのためにできることがあるのならその全てをして差し上げたい。可能なら全てを私に委ねていただきたい。それが……」
ノインにマスタースイッチが入ってしまった。これは長くなるな。
まあ、ノインがこの調子なら本当にハルは無事なのだろう。意識だけになっているのに無事も何もないと思うが、やはりハルだからな。
「シキさんシキさん」
「む?」
駄女神がトリップから復帰したようだ。どうかしたのか?
「ハルさんは気絶したのではなくて、意識が遠くに行ってしまったのですか?」
「今更。意識だけ、普通なら、そのまま、霧散、でもハル、だから」
「ハルさんだから、ですか? なら良かったです!」
「だが」
オオカミは大丈夫なんだろうか?
「え? あれ? ハルさんの中のオオカミさんが大人しくなりました」
まあハルだからな……。
さて、
「なぜ、鎌を構えているのですか!?」
「駄女神、ハル、世界。ノイン、ハル、身体。ワタシ、ない」
駄女神はハルに世界の身体を与えて、ノインは予備の身体を持ってきた。ワタシだけ何もしていないことに気づいた。
「だから、『死』の力、祝福」
ワタシは鎌を振り上げ、死の力を込め、振り下ろす。
「一つ、降りかかる、災いに」
死の力を込め、振り上げる。
「一つ、纏いつく、呪いに」
死の力を込め、振り回す。
「一つ、襲いくる、不幸に」
死の力を込め、振り払う。
「一つ、死を払う、力を!」
「終わり。まあ、気休め」
「いえ、良い祝福でした」
そんな言葉をかわす。
「さて、マスターの御帰還です」
いきなりノインが声をあげた。ハルの世界を見るが何も?
「ハルさん!」
いや、渦が急速に縮み出している。
「ハル!」
渦が収束した。
ワタシ達は駆け出した、なんとなく。でも、確信している。だってハルだから。きっとうまくいく。
「マスター!」
渦が光となり、ハルが立っていた。
あ、ふらついた。立ちくらみをしたようだ。
と、正面にいて顔を見るとやはり恥ずか──バツが悪いので背後に回って抱きつく。
正面から駄女神が抱きついた。
ノインは、出遅れたのか抱きついていなかった。一瞬愕然とした顔をしたがすぐに澄ました顔をして誤魔化している。
「「「おかえりなさい」」」
な ん だ こ れ
登場人物紹介
中原 青
「え、なにこれ?」
今回不在。
カンスト精神力を持つバグキャラ。
攻撃力的な意味じゃなく、シナリオブレイカー的な意味。
わりかしシャレにならない過去を持っているようだが、卓越しすぎた精神力で乗り切ってしまった。
ハーレム野郎と公言しているがハーレムをよくわかってなかったりする。とりあえず未亡人を養うと子沢山だと思ってる。
「はーくんしってるよ?」は口癖。その後に続く言葉は大体間違っている。
創世神ヘルブラウ
「お友達が増えましたー」
金髪ウェーブロングタレ目金眼トーガサンダル
ポンコツブッパショタコン処女ビッチチョロぼっち駄女神で最終決定したもよう。
ベルフラウとよく間違えそうになる。
作中では確認できないが、姿を見れば魂魄が砕け、そう神威を受ければ身体が押しつぶされ、声を聞けば魅力される。という神話生物ばりのSAN値直葬ぶりを発揮する、だからそれらに動じない主人公が強いものと錯覚していた。
手加減は甘えとばかりに火力厨。ボッチ長すぎて間合いを計らずにうっかりシキを巻き込みそうになる。
ただの回復魔法が即死魔法に変わるレベルの能力、回復しすぎて自己崩壊を起こした、的な理屈のオーバーヒール。
死神色
「顔 恥ずかし」
褐色プラチナブロンドゆるふわセミロングドクロ仮面マントビキニホットパンツ裸足
今気づいたけど、シキって名前で死の力って完全にアレじゃん。死期→シキの連想だったり? ダメ?
謎メイド ウルトラヴァイオレット・オメガノイン・デウスマキナ
「私は完璧で幸福なマスターの僕、なんなりと」
隠す気の無い正体、ぶっちゃけロボだった人。機神さん。
ピノキオとかいう木偶が人間になれるのなら、私はさらに先に行きます。とかいっちゃう人。
最強格のキャラの一人だったりする?
ロボット三原則とは何だったのか?
正直この話に何で出てきたのかよくわからない人。
ワンワンさん ネイビー
「キューンキューン」
現世界編がゲームだったとしたらラスボスポジションになるはずで、主人公が15歳の時に身体を食い破って出ているはずだったが、カンスト精神力の前には無力、屈服して服従した。その後主人公の中の居心地が良すぎたのか、面識ないくせにすっかり懐いてしまっている。
今回の事件は、主人が居ない!? 探さなきゃ! と外に出ようとして、主人の身体魂魄を殺し尽くされて、主人の敵討ちモードに入っていた。かなりシリアスしていたワンワンさん、ボコられてビリビリにして投げ飛ばされた挙句にモフモフにされた。
謎の幼女
「このあとのでばんはないかもねー」
ハルはねー、ナイショなんだよー。シーぽんがやらかしてなかったらうまれてなかったんだってー、コレもないしょないしょねー!
ホントははーくんがワンワンさんをモフモフだったけどなぜかハルになってたんだってー。
え!? はーくんおみやかつどんなの! きゃー! はーくんだいしゅきー! にゃー!