1話 女神さまの命名者 〜命名者:家にいたのに巻き込まれた〜
短編とおなじでごんす。
オレ中原 青。17歳。巻き込まれ召喚なう。
オレ氏、放課後無事帰宅。
オレ氏、まったり夕飯作成中。(ローテーションで当番、天ぷら)
オレ氏、妹からの電話に出る。(妹、美少女。母親の娘)
オレ氏、Tシャツエプロン姿で例の白い部屋に。←イマココ
あ、大丈夫です。電話に出るときは火を落とします。
「あ、あなたは!?」
なお目の前(手を伸ばしあっても触れないくらいの距離)には金髪でロングなウエーブでタレ目な美人のおねーさんがいる模様。お目々パチパチ。
白いトーガ的な服。素敵なボディラインが隠しきれていません。
ちなみに質問したのはおねーさんです。
その胸は実際豊満だった。
「そうです。オレが普通の高校生です!」
でなきゃ、こんな例の白い部屋にいるわけがないのです。
だてに普通の高校生じゃないです。
オレ女の子の部屋に入ったの初めてだ、というのが通らしい?
あ、心読んでいいんですよ。
「え? え? ふ、普通?」
イエス。イエス。オーマイゴッド。
「お、おーまいごっど?」
直訳すると『おおわたしの神よ』らしい。なんてこった。
「そんな……っ! 困ります」
なんかおねーさんが、くねくねしてる。エロい。
むぎゅむぎゅしてる。挟まりたい。
うれしそう。なんで?
なんか勘違いしてるのかな?
「おお? あなたが神ですか」
オーマイガーではない、確認である。
まあ例の部屋で鉢合わせするのは基本的に神様。
古事記にも多分書かれてる。
はいはいテンプレテンプレ。
天ぷら食べたくなってきた。
今日のお夕飯だったんだよね。
そうだ天丼にしよ。
テンドン! テンドゥン!
「はっ! そうではなくあなたはなぜここに? あ、いえ、確かにわたくしは神ですが!? って、そうではなく、わたくしの神域にいるのですか?」
目の前のおねーさん、もとい女神さまがしょうきにもどったようです。なおすぐに正気を失う模様。
あ、女神さまならオーマイゴッデスなのデス?
聞いたことないね、文化圏が一神教だから?
おのれ異教徒め、女神さまはオレのジャスティス。
でも優しい女神さまがいいです。
いや、ヤラシイ女神さまの可能性も微粒子レベルで存在する?
はーくんしってるよ? 表示がゼロでも、実際は小数点以下で計算されているって! 大丈夫! はーくんの情報だよ?
出力が小数点切り捨てってオチじゃねーか!
まあ、待ってくれ。女神さまはオレの思考を読めるようだぞ? なら……わかるね?
「あわわわわ」
思考を中断して、女神さまを見る。
女神さまはあたふたしている。ほっこりした。
みっしょんこんぷりーと。報酬はスイス銀行に振り込んでおいてくれ。
でもオレ氏、口座作ってないっうわさッスよ。
じゃあ手渡しでいいよ!(半ギレ)
うーん? なんかさっきから思考が上滑りするな?
自分と会話でもしている気分だ。
もう一人の僕的な奴かね。
そうだ、腕に鎖巻こう。
>『コモンスキル:思考』を習得しました。
>『スキル:分割思考』を習得しました。
>『スキル:並列思考』を習得しました。
>『スキル:多重思考』を習得しました。
>『スキル:高速思考』を習得しました。
>『スキル:思考加速』を習得しました。
>『称号:スキルワンペア』を習得しました。
>『スキル:スキル取得制限緩和』を習得しました。
>『スキル:並列起動』を習得しました。
>『スキル:多重起動』を習得しました。
>『スキル:関連付け』を習得しました。
>『スキル:一体化』を習得しました。
なんて思った時に、頭に声が響く。
あ、これ女神さまの声だ。
こいつ……いや、この人直接脳内に……!?
骨伝導もワンチャンあるんじゃね?
「あ、その声はいわゆる世界の声ですよ? まあ、わたくしがその世界を作ったのですけどね。うふふ」
むふー、と女神さまは自慢げに(実際自慢)胸を反らす。マーベラス。
「っ!」
なんと女神さまは恥ずかしげに胸を両腕で押し潰、もとい隠した。トレビアン。
楽しい!
いいね!
もうずっとここにいる。(混乱)
楽園はここにあった。(錯乱)
そうだ改宗しよう! ってオレ無宗教だった。
>『コモンスキル:信仰』を習得しました。
>『スキル:信仰|(創世神)』を習得しました。
「あっ」
そんな声をあげたのはどちらだったのか?
>『称号:創世神の信徒』を取得しました。
>『加護:創世神の祝福』を取得しました。
やべえ、ファンクラブ的なノリだったのに。
いや待て、この世界に実際に女神さま(かわいい)がいる……。なら話は簡単だ。
ちくわ大明神。
宗教はファンクラブだったんだよ!
な、なんだってー!
なん……だと……?
いまの誰だ?
>『称号:創世神のファン』を取得しました。
>『称号:創世神ファンクラブ会長』を取得しました。
>『称号:創世教教祖』を取得しました。
あー。
>『加護:創世神の加護』を取得しました。
えー。
祝福から加護までのスパン短くないか?
つーか、どっちかランク上だ?
そもそも両立できんの?
それ以前にスキルとか称号とか、ってゲームかよ。
などと考えつつも、女神さまをチラリ。
「やった! 初めての信者だ! それにふぁん? だって! うれしいな、うれしいなぁ」
女神さまは不思議な踊り踊った。ぷるんぷるん。
オレのHPが回復した。
ハッスルダンスじゃねーか!
サイズはFか? いやGカップだね。(現実逃避)
>『コモンスキル:認識』を習得しました。
>『スキル:鑑定』を習得しました。
>『スキル:解析』を習得しました。
>『スキル:診断』を習得しました。
>『スキル:測定』を習得しました。
>『スキル:目利き』を習得しました。
>『スキル:見切り』を習得しました。
>『スキル:スカウター(バスト)』を習得しました。
このタイミングで鑑定スキル手に入るとか……。
一番下のやつは冗談だろ? 異色すぎる。今までの漢字系等だっただろ!
異世界では鑑定スキル取得するために、合法的にセクハラできるのか?
いや、逆に考えるんだ。ガン見できないから鑑定がレアスキルだと。
ちなみにチラ見じゃだめだからな? ガン見だからな?(ゲス顔)
>『称号:創世神の秘密を明かす者』を取得しました。
>『スキル:スカウター(バスト)』は『ユニークスキル:豊穣神の鑑定眼』に進化しました。
相手が女神さまだからの経験値(?)が、高かったてオチだったのか?
まあそうだろうな。
いわゆる道場ですな。
レベル差で技が閃きやすいってか?
あと、カッコいいスキル名になったと思ったんだけど、なんか副音声聞こえなかった?
聞こえた、バスト ・スカウターだったよ。
ま、まあ土地の豊かさとかわかるかもだし? だよな?
まさかおっぱいさまは神様だった……?
ん?豊穣神でバスト? あれ? なんか聞き覚えがあるような……?
バカテスト? いや違う。
バルバトス? いや違う。
じゃあバステト? 猫の人?
それだ! しかし何故エジプトの神?
豊穣の他に多産や性愛を司ってるからじゃね?エロい。
家の守護者でもあるって、つまり自宅警備員の神さま。やったね。
それに歌って踊れる神さまだって。すごい。
ちなみに女神さまはなんかむくれている。女神さまの前で他の神さまの事を考えたから? あ、そっぽ向いた。ツーン。
どうしたものか。
とりあえず、目の前の女神さまを拝んでおこう。合掌。
神さまは身じろぎをしている……が、唐突に歌って踊り出した。いい声。ナイスな信者サービスじゃないか。
>『コモンスキル:抵抗』を習得しました。
>『コモンスキル:耐性』を習得しました。
>『スキル:精神抵抗』を習得しました。
>『スキル:精神耐性』を習得しました。
>『スキル:神気抵抗』を習得しました。
>『スキル:神気耐性』を習得しました。
>『スキル:神威抵抗』を習得しました。
>『スキル:神威耐性』を習得しました。
>『スキル:魅了抵抗』を習得しました。
>『スキル:魅了耐性』を習得しました。
めっちゃ耐性生えた。抵抗と耐性の違いって?
抵抗:それのダメージの軽減。防御。
耐性:それにかかりづらくなる。回避。
>『コモンスキル:情報』を習得しました。
>『スキル:情報閲覧』を習得しました。
>『スキル:情報検索』を習得しました。
……さてと。ステータスを見るには自分を対象にして鑑定を使えばいいのか?
いや、そもそもスキルってどう使うんだ?
ボロボロ取れてたけど、能動的に使用してないよな。
こういうのは勢いでなんとかするしかないだろ? モニターをフォーカスしてアタックオン的な?
自問自答が当たり前になってきている。これはスキルの影響のはずだが……。
元々のオリジナルを抜かして、3つばかり思考が増えてる感じだね。
並列思考、分割思考、多重思考で3つだね。
スキルにレベルとかあって、上がればもっと思考も増えるのか……?
とりあえずステータスだ、ステータスはなんだ?
ステータスがあればじっちゃんの謎は解ける。
真実の名にかけて? か?
しらべる、セルフって感じでいこうか、
>『コモンスキル:状態』を習得しました。
>『スキル:自己鑑定』を習得しました。
>『スキル:自己診断』を習得しました。
>『スキル:状態確認』を習得しました。
うお、早えよ。例のセリフ言ってないだろ!
なんだよ、成長限界と容量限界って?
能力も軒並み成長限界って書いてあんな?
スキルにレベルはついてたけど横線引かされてるな? レベルなしかレベル0か?
>『コモンスキル:知識』を習得しました。
>『スキル:考察』を習得しました。
>『スキル:推論』を習得しました。
>『スキル:研究』を習得しました。
>『スキル:看破』を習得しました。
それなのにスキル増えまくるのな?
なんかヤバくね? 俺爆発しねえかな?
イケメンでもリア充でもないからヘーキヘーキ(※:個人の主観によります)
モノローグに注釈が入った感? どうだろ、モニターの女神さま?
>『コモンスキル:思念』を習得しました。
>『スキル:託宣』を習得しました。
>『スキル:念話』を習得しました。
>『スキル:思念通話』を習得しました。
>『スキル:思念通達』を習得しました。
>『スキル:思念伝達』を習得しました。
「え? こちらにふるのですか……かわいらしいというか格好が良いというべきですか……わ、わたくしは好きですよ?」
「ありがとう」
つまるところ、総じて普通と。
「ちがいますわ!? どうしてそうなるのです!?」
オレ、自分に魅力がないことには自信があるんだ!
フツメンだしな。(ツリ目でもなくタレ目だもないし、なんか平均的な顔なんだよ?)
低身長だし(10歳そこいらで成長が止まって140センチそこいら)
よく雑種呼ばわりされるし。
雑種が! 我の視界を汚すな!
雑種が! 死ね! 死ねよ!
雑種が! なんで生きてるの?
雑種が! オマエウゼーんだよ!
雑種が! ちょっと血が出てるじゃない! 待ってて救急箱取ってくる!
雑種が! ちゃんとご飯食べてるのかい? 大盛りにしといたよ!
雑種が! そのチョコはくれてやる、好きにしろ!
雑種先輩! 私で妥協しません?
なんて感じに……。
果てには種族まで雑種とか、これもうわからないね。
「雑種って、普通悪口ですよね? 途中から挨拶みたいでしたけど」
女神さまが小声で何か言っている。耳を澄ませば聞こえるかもしれないけど、多分失礼なので聞かないように努める。
あれ? なんか目の前の女神さまが不満げだ。なんで?
「それ、ですよ!」
女神さま、それって?
「その女神さまですわ! いつまで他人行儀なのですか!?」
「えー?」
なんで、って言われても。
「名乗られてないからなぁ……(ぼそ)」
「え?」
いや、そうか。
「うん、オレもちゃんと名乗ってなかったなぁ……反省反省」
なんだっけ、目上の人? まぁ神さまに先に名乗らせるのはないよな、本当に反省しなきゃな。あと挨拶は大事。
「オレは中原 青、17歳。地球……えーと、『神樹と宿木』世界の一つの、惑星地球出身の異世界人です? 特技は感覚の再現かな?」
いや、世界に名前なんてなかったから特徴そのままのテキトーな名前です。イメージが伝わるといいな。
「こほん」
咳払いされた。なんで?
「あーうー」
なんか女神さまが唸ってる。あ、なら睨まれた、でも名乗られてないのに名前呼べないなぁ、それに創世神様って呼ぶのは仰々しくてね。
「あの、ですね、大変言いにくいのですが……」
なんだろ? もしかして名前を聞くと呪いを受けるとか魂を縛られるとかがあるの?
「いえ……、そうではなく。呪いとか縛りとかはわかりませんが」
わかりませんって不安になるなぁ。
「すみません」
「どういたしまして」
謝られる事じゃないと思うけど。挨拶は大事、なるべく口に出すようにしてます。
「実はですね、わたくし……名前がありません」
「は?」
と、女神さまを見るが、恐縮したように肩を縮めている。悪いことがバレたように。
別に悪いことじゃない。
ただただ意外だっただけで。
創世神という肩書きを抜きにしても、相当に強い力を持った神さまだから。少なくともその気なら軽く触れただけでオレの存在そのものが消し飛んでしまうくらいには、力が強いと思う。
「え、あ、うう……」
女神さまは後ずさり、血の気が引いた顔でオレを見る。気づいていなかったのかな?
「なぜ……ですか?」
「なにが?」
「なぜ、それがわかっていて、わたくしをおそれていないのですか? 逃げ、離れないのですか?」
なんでって、言われてもなあ?
「特に理由なんてないよ。敵意がないなら避けないし、害意がないなら逃げないし、殺意がないならおそれない。あたりまえだよね」
それに美人だし?
「そりゃあ、自分を簡単に殺しうる相手になにも思わないなんてないけど、それは女神さまに限ったことじゃないし」
悲しいけどオレは弱い。だから会う者会う者そんな者ばかりだ。
「でも弱いから頭を下げて媚びへつらって顔色を伺って生きるだなんてごめんだよ」
楽かもしれないけど、俺には合わない。楽しくないから。
「それに相手を馬鹿にしているよ。よく知らないけどあなたが暴力的で乱暴者なバケモノだって」
よく知らないから、わからないから怖いのはわかる。でも知ってるから怖くなくなるわけでもないのもわかっている。ただ対処がしやすいってだけで、そこをよく間違えている。
「オレが弱いからって隠れないし、相手が強いからって逃げたりしない。仲良くなれるならその方がいい」
もちろん危なくなったら逃げるけど、オレ弱いし。
「友達100人欲しいとかはいわないし、ひとりでだって生きられないわけじゃない。けどその誰かとといるのはたのしいし、その誰かが笑っていたらうれしいし、その誰かが悲しんでたらなんとかしたくなるし、その誰かが泣かされたのなら泣かせたヤツをブン殴る」
その時ばっかりは逃げられないからよく考えてブン殴ろう。出来れば一撃で仕留めたい。
「ひとりはいやだってことはないけど。ひとりだけで生きていくのはむなしいから。ひとりだけでわらうのはさびしいから」
オレはひとりならどこまででも逃げられる。それが悲しく思えるから。
「だからオレはよわくても友達が欲しいし、仲良くなりたい……まあそれだけかな? 人の好意なんてわからないけど、人を好きになりたいかな」
自覚はしているのだが俺は鈍い、もしくは無い。恋愛感情とやらどころか全般的な好意というのも認識できない、ようだ。好きなら好きだと言って欲しい、俺はわからないから。だからオレは好きと声に出す。
「オレは女神さまが好き」
「っ!?」
どういうわけか俺は人に好かれない、嫌われている。好意に気づかないだけというならよかったが、オレは悪意には鈍くなんてなかった。
嫌われているのがわかる。悪意ならわかる、害意ならわかる、殺意もわかった。嫌悪も憎悪も嫉妬も侮蔑もわかる。たくさんの目でそれを向けてくる。
でもそうで無い人もいる。そんな人にはアピールする。友達になりたいから、仲良くなりたいから。
そうで無い人にも話しかける。好きになってくれなくても嫌いじゃなくなればいいと思って。しつこくして余計嫌われるてもしかたない。
とかいつになく難しい事を考えてたらお腹が空いてきた。
おゆはん作ってる時にこれだもんな。
あれな、なんか引き寄せられてる感じしたけど、晩御飯作ってるからって後にして、って振り払ったと思うんだけどな。
その後、妹から電話かかってきたから、火を落としてから電話に出たんだよな。
その後、妹からも電話がかかってきたから、グループ通話モードに移行した。
そしてなぜか母さん他どんどん通話人数が増えて、スマホさんから複数の悲鳴が聞こえたんだよな。
そしたら神さまが目の前にいた。アナタハカミヲシンジマスカ?
「女神さま大好き」
「!?」
まさか電話越しで巻き込まれたのか?
盛大にって、頭についてるし……いや、もしかしたら複数人が対象に取ったのか?
電話に夢中で気づいてないが足元に魔法陣とかあった説。あると思います。
で、召喚魔法的なのがバグって女神さまの信者コース?
「おなかすいた」
「あ、すみません。わたくしは飲食を必要としていないので、その」
「必然的にここには食べ物がないと」
「はい」
まあ、しかたないよね。といくか本当に白しかない部屋で生活感のない……応接間?
「自室です」
自室だった。しかも謙虚にも肩を竦めていた。なおお胸さまは謙虚じゃないもよう。
「っ、な! そういうこと言うのはどうかと思うのですが」
涙目でオレを睨む女神さまラブリー。でも口に出して言ってないからセーフ?
「あうとです」
だめだったらしい。
「ところでそろそろどう呼べばいいのか聞いてもいいかな……いいですか?」
女神さまが落ち着いたかと思って呼び名の確認。言ってる途中でジト目されたので、聞き直した。
今更だけど神さまにタメ口ってどうなんだろうね? 敬語なんてオレは使ったことないけど。
そもそもオレ敬語苦手。だいたいの人間はオレを見るといやな顔をするのでどうしようもない。だから敬語使ったことない。
「そのままの口調でかまいませんよ」
女神さまは苦笑する。
「名前を、つけてくれませんか?」
「名前を?」
「はい、ハルさん。あなたにつけて欲しいのです。わたくしの唯一の信者でふぁん? で、その、と、友達の、大好きなハルさんに」
「愛してる! 女神さま」
感極まって抱きつこうとするも、避けられた。悲しい。
「ちょっと! わたくしが触れたら危ないと言ったのはハルさんですよ!?」
ただ触れただけでどうにかなるわけがないよ!?
「言いましたよ!」
「ちがうよ、その気ならって、言った!? いやいや言ってない思っただけだよ。ただ触れただけでどうにかなるかなら、そもそも近づくのもだめで、声も怪しいし(キレイな声音)、姿を見ただけでどうにかなるかも?(時々まばゆく見えてドキドキする)」
それにこの部屋自体が女神さまの気……、神気? で満たされている。オレはいいにおいだってくらいにしか思えないけど、キツイ人にはキツイのではないか? あと女神さまの存在感でやられる人もいるのかも? オレ? オレは包まれたような安心感を感じるよ?
「むむむぅ……」
女神さまが悲しいような嬉しいような複雑な表情をしている。
そうだ、オレスマホさん持ってた。目線お願いしまーす。
「はい?」
パシャり、って許可取ってないじゃん! 消さなきゃ、消さな……わ、よく撮れてる!
>『コモンスキル:道具』を習得しました。
>『コモンスキル:隠形』を習得しました。
>『スキル:写真』を習得しました。
>『スキル:撮影』を習得しました。
>『スキル:狙撃』を習得しました。
>『スキル:不意打ち』を習得しました。
>『スキル:奇襲』を習得しました。
「女神さま! 女神さまがかわいい」
「え? あ、はい。これがわたくしですか?」
「そうだよ! これ! これ永久保存版だよね! いいかな?」
「え、ええ。よろしいのではないでしょうか?」
やったぜ!
なしとげたぜ!
小僧やるじゃねえか!
これから毎日、手を合わせようぜ!
「って、なんの話ししてたかな? そうだ、女神さまがかわいいって話だったよね。マジラブリー」
「ちがいますよ? やめてー!」
しばらく女神さまのかわいさを並び立てて満足。女神さまがかわいすぎて、かわいさのためにかわいさが損なわれないか心配になったが、かわいさ余ってかわいさ100倍だったのでかわいかったので問題なかった。かわいい。
女神さまがぐったりしているが、身悶えして息が絶え絶えになっているだけだ。
さっきはおたのしみだったね。
めっちゃ楽しかったね! またやりたい!
「やめてください」
と言いながらも口元がにやけているのを見逃さない。
オレのことは女神さまのよろこびを見逃さなかった人と、多分オレの中で伝説になってる。
>『称号:女神の悦びを見逃さぬ者』を取得しました。
称号になってる! でも思ってたのとなんか違う! ちょっとカッコよくなってる。
女神さまが両手で顔を覆っている。かわ「もうそれはいいですから!」残念です。
さて女神さまの名前を真剣に考えよう、ってどんな名前がいいんだろう。
「えっと、お先につけていただければ」
「じゃあかわいい感じの「ハルさんとお揃いの名前がいいです」あ、はい」
おそろいって、オレの名前って青って書くから、青系の名前?
女神さまの容姿には無い色のような? 黄金の様な波打った美しい髪に宝石そのものの様な金の瞳。ミルクをこぼしたの様な白い肌。
どこにも青系が無いんだけど、って女神さまが顔を赤くして俯いている。まあいいか。
「よくありません! あの、わたくしの色には気にせず、名前をお願いします!」
女神さまの色に気にせず、ね。あなたの色で染め上げてほしいとはどこかで聞いたフレーズだよね。
「〜〜〜!?」
うーん、まあ金色を抜かせば肌の白色? ミルク色? かな、肌の色で名前をつけるって挑戦的すぎるから却下として? まあ青と組み合わせる方向で考えます。 なら金でもいいのか? いや黄色とも違うし、まずは白と青でだね。
てことで、水色とか空色になるのだけど、日本名じゃ違和感なので、外国語訳?
「ヘルブラウはどうかな? ハルとヘルで似てるし、ブラウだけでも青って意味だよ」
たしかドイツ語で水色的な色だったか?
「へるぶらう……ヘルブラウ! わたくしの名前はヘルブラウなのですね!」
>『コモンスキル:名前』を習得しました。
>『スキル:命名』を習得しました。
>『スキル:改名』を習得しました。
>『称号:命名者』を取得しました。
>『称号:創世神『ヘルブラウ』の命名者』を取得しました。
>『称号:創世神『ヘルブラウ』を染めあげし者』を取得しました。
>『加護:創世神『ヘルブラウ』の寵愛』を取得しました。