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ライジン  作者: てんの翔
22/66

砕牙の章 1

 潮の香りが、ここまで届いてくる。

 だれもいない闘技場……。

 しかし、音が聞こえた。

 大声援、罵声、拍手、足場を踏みならす唸りにも似た轟き――。

 収容数四万人を誇る巨大施設。

 この時代、ここまでの闘技場は、ほかに数えるほどしかない。ディアセシソス著『格闘見聞録』においては、メリルスのリーゲ大闘技場、ナシャスのオルトレス闘殿と合わせて、世界の三大名場とうたわれている。

 大きさではリーゲ闘技場キロッソスにはかなわないが、それは前述してあるとおり、リーゲ闘技場が団体戦や戦車競技などもおこなっていた過去の時代のものだからであり、現在のように一対一が主流となってからの闘技場としては、規模も建造物としての価値も、このダメル闘技場が世界一といっても過言ではないだろう。

 つい四〇年ほど前までは、サルジャークという国の外れにある、辺境の港町でしかなかった。それが、自由貿易を三代前の王に認められてからというもの、この街は繁栄のかぎりをつくした。

 テメトゥース独立市――。

 王室は、この街の経済に「手」も「口」も出さない。

 商人たちは、たちどころに大富豪となり、さらなる発展のために『栄華連』という組織をつくりあげた。一国の王よりも力をもつかもしれない商業団体が、史上はじめて誕生したのだ。

 栄華連は、膨れ上がった莫大な財をより増やすために、「娯楽」という方法を用いた。

 それが、このダメル闘技場の存在意義だ。

 貿易のための港のほかに、観光客を誘致する専用の港を新たに建設した。宿泊施設も充実させて、人を呼び込む準備をととのえた。湯水のように金をつぎ込んだが、けっして高い投資ではない。

 めざしたのは、闘いによる娯楽の殿堂。

 世界最強にして、もっとも熱くさせてくれる格闘を繰り広げること――。

「観せる」ということだけではなく、闘技場とは「賭博」ということにおいても、人々を呼び込むことになる。メリルスのように賭をおこなわない例外もあるが、闘いで金が動くということは、世界的な常識だ。

 ならば、観て楽しむのも、賭で一攫千金を狙うのも自由。そのどちらにしても、最大限の娯楽を提供することに全力をつくす。

 最初は、剣対剣、打撃対打撃の闘いだけだった。いつしか剣以外の武具もみられるようになった。打撃は、拳術がおもだったが、いつのまにか蹴りがくわわり、投げをおこなう闘者も出てきた。そして、つかみ・投げ・関節の極め、そのすべてを使う総術――『ラドムンクン』にまで行き着く。本場、ナシャスのラドムンクンよりも、ずっと荒っぽい喧嘩のごとき闘い。

 それでも、武具には武具、素手には素手、そういう現実味はまだあった。

 だが、より過激に――。

 より客を呼べる――。

 武具対素手の死闘。

 もう一〇年になるだろうか、最初の「なんでもあり」――メリルスで言うところの『マドリュケス』の試合がおこなわれたのは。

 拳術と剣術のぶつかり合い。

 剣の圧勝だった。

 拳の男は、死ぬまでには至らなかったが、再起不能という末路をたどった。やはり、武具を使用した者が圧倒的に有利だった。

 しかし観客は、その見世物に歓喜した。

 主催する栄華連のほうでも興味本位でやってみたことだが、客が求めるのならば続けるしかないだろう。それが、娯楽の殿堂をめざすテメトゥースの行動理念なのだから。

 そのままというわけにはいかない。

 それでは、メリルスの殺し合いと同じだ。

 こちらの選手は奴隷ではないし、賭もおこなわれる。あまりにも不公平な試合内容だと、賭で大負けした客が暴動をおこすこともありうる。

 だから、最低限の闘規マニュを設けた。

 殺すことは反則とみなされる。

 試合に負けるだけではなく、悪質な場合には、罪人として裁かれることもある。

 殺すことにつながる攻撃も同様。

 戦闘力をなくした無防備な相手に、鋭利な武具で斬る・貫く。

 素手であったとしても、必要以上に首を絞める行為(落ちるまでは認められる)は禁止となる。

 相手の身体を不必要に壊すことも駄目だ。

 目潰し、金的攻撃など――。

 ただし、不可抗力による殺害は、そのかぎりではない。

 つまり、「わざと」でなければいい。

 結果的に死んでしまった、身体が壊れてしまった、という事例では反則にならない。

 観客は「死」を観に来るわけではないが、思いがけない事故は期待している。真の目的は「賭」なのだから、それぐらいがちょうどいいのだ。

 ほどよい残虐性と、賭だけではない。

 試合内容にも、力を入れている。

 良質な闘者をどれだけ用意できるかが、成功の秘訣だった。

 国籍は問わなかった。どこの選手でも闘場に上げた。どんな競技であろうが、かまわなかった。どういう武具を使用しようと、飛び道具でなければ認めた。

 賞金も、ケチらなかった。強ければ、すぐに金持ちの仲間入りができた。

 とはいえ、最初の「なんでもあり」が強烈すぎたのか、素手で武器を相手にしようという者が、すぐには現れなかった。そこで、都市交を結んだばかりの瀏斑リュウハンから、選手を募った。長い鎖国で財政の逼迫していた瀏斑にしても、テメトゥースからの資金援助のためには断れないことだった。

 そして、一人の男がやって来た。

 摂政官付きの護衛をやっている男だった。

 当時、すでに四〇歳をこえていた。

 その男は、まったくの軽装で闘場に上がった。最初の試合を知っている観客たちは、その男の無残な死――名目上は「殺される」ことはないが、結果としての「死」を連想せざるをえなかった。

 その男の年齢を考えても、あきらかに瀏斑は「死んでもいい男」を送ってきたのだ。

 だが……。

 人々は奇跡をみせつけられた。

 地に這いつくばったのは、相手の剣士のほうだったのだ。

 瀏斑から来た男は、厳しい剣の軌道をかいくぐり、剣士の懐に飛び込んだと思った刹那、右の掌を剣士の腹部にたたき込んだ。

 掌打。

 ナシャスの総術『ラドムンクン』にも、拳を握らずに掌低で叩く者がいる。だが、それとは根本的にちがっていた。

 一撃。

 その掌打一撃だけで、剣士は悶絶した。

 重いのだ。強烈なのだ。

 死んでもいい男!?

 ちがう!

 絶対に、この男なら勝てるとふんで、自信をもって、ここに差し向けたのだ。

 観客は酔いしれた。

 そして、思い知った。

 素手でも、いけるということを――。

 しかも、奇跡の波はそれだけにとどまらなかった。

 もう一人いた。

 その試合から数カ月後、今度は旺州からやって来た男だった。

 オルダーン。

 そこで《炎鷲シャリーク》と呼ばれる蹴術最強の男。

 その男も、剣をまったく恐れなかった。

 剣とほぼ同じ間合いから、蹴りを放った。

 アーマ・パーサ――相手の足を狙った蹴りだ。

 剣の一振りよりも、速く!

 その一撃で、剣士の膝が壊れた。

 剣士は、手にした刃の力を使うこともできず、苦悶に身を屈めた。

 とどめの膝蹴りで、剣士は沈黙した。

 瀏斑の男。

 オルダーンの男。

 二人の異才の登場によって、ダメル闘技場の人気は不動のものとなった。

 すぐにその二人は引退してしまったが、その後も世界各地から、強者と名乗る戦士を積極的に迎え入れた。それと同時に、世界各地から、驚くほどの観客も来訪した。

 そして、一〇年――。

 その当時とくらべると、試合内容は格段の進歩をとげた。二人の異才のような闘い方を、だれもができるというわけではない。凡才には、凡才の闘い方が必要なのだ。

 素手と武具が闘う場合、素手の選手は、それなりの対策を練り上げた。当然、防具の重装備からはじまり、闘いの技術も武具を想定した動きになる。とはいえ、あまり防具を重くしたら、体術の持ち味である速さが失われる。刃が触れた程度では傷を負わないほどの防具。あくまでも、身体の切れを重視した技を繰り出す。

 もちろん、二人の異才のような、一撃必殺が理想だ。

 だが、やはり一番の有効策は、素手の選手であっても、武器を携帯することだ。専門職でないにしても、訓練を積めば、最低限の技術は習得できる。なにもないよりはマシだ。

 そうなれば、武具を使うほうも変化を強いられた。相手も武器を持つというのなら、対等になるために、こちらも体術を身につけなければならない。

 結果として、武具と素手の融合へ。

 武器を使うという意味においての『武術』――そして、己の肉体のみを頼りにする『体術』……それらを合わせる。

 それが、ダメル闘技場の行き着いた結論だった。

(なにをやってるんだ……オレは)

 男は、ほかにだれもいない闘技場の観客席で、一人席についていた。

 銀髪。

 肌の白さ。

 いずれも、サルジャーク人にはないものだ。

 東方の南。つまり、旺州南東部。

『南旺』と呼ばれる寒冷地域の出身だ。

(なにをやってる……)

 生まれたのは南旺でも、育ったのはメリルスだった。南旺スキュートから、メリルスへの移民。

 メリルスでは、奴隷か異国人でなければ闘技場に上がることはできない。少年時代、奴隷たちの闘いに胸を踊らされた彼は、一八歳のときにテメトゥースへ移ってきた。一般の人間が簡単に独立市民になることはできないが、闘者になるのなら話はべつだ。

 名を、ヨシュという。

 ダメル闘技場の階順ローガ一三位の闘者だ。

砕牙バスル》と異名をとる男だった。

 これまでの対戦成績は、四九勝二七敗。

 このダメルにおいて、二七という負け数は、ほかとくらべてケタ違いに多い。死……そこまでいかなくとも、再起不能となる確率が高いこの闘場では、ここまでの負け数で、まだ闘える状態にあるということは奇跡に近い。

 その理由が、《砕牙》という異名に隠されていた。

 相手の剣を砕き折る――。

 まずは、そこからこの男の闘いは開始される。自らの長剣で折れない武具は、これまでになかった。相手の武器が使い物にならなくなったのなら、死ぬ、瀕死の重傷を負う、という状態からは大きく遠のく。

 だが逆をいえば、武具を無くした対戦者相手に、これだけの負けを記録するということは、これもまた、おかしなことだ。

 剣――ないし、その他の武器を叩き折ってからの闘いが、この男はなってない。

 武具を砕いておきながら、丸腰となった相手に対して、自分も剣を使うことができなかった。

 甘い?

 そういうことではない。

 敵に同情しているわけでも、憐れんでいるわけでもない。

 牙を無くした眼前の相手を見ると、身体が動かなくなってしまうのだ。

 腕に力が入らなくなる。

 ならば、剣を折らなければいい。

 しかし、それもできない。

 折らずにはいられない。

 どうしても、そうしようとする。

 剣は折るが、折ってもどうすることもできない。

 拳術を使うこともできるが、それは所詮、子供のころメリルスで観た拳術の技を思い出しているにすぎない。剣と一体で繰り出せば効果はあるが、それ単体では勝利をもぎ取るほどの代物ではなかった。

 ダメルの現状において、武具を持っている者でも体術を習得し、体術を専門にやっている者でも武器を持つ。丸腰となった相手のほうは、まだ体術の技が残っている。その残りよりも、自分の拳術のほうが上回っていれば勝つことができるが、下回っていた場合には負けとなる。

 その結果が、四九の勝ちと二七の負けだ。

 いまのような闘い方になったのは、四年ぐらい前になるだろうか。

 最初からこうだったわけではない。

 たぶん、いまの負け数が、勝ち数だったころだ。信じられないかもしれないが、むかしは負け知らずだった。連戦連勝だった。

 ヨシュは、他闘場への遠征後、現在のダメル王者であり、当時、階順ローガ一位だったゾルザードという最強の闘者と試合をした。そのときのヨシュの階順は四位。

 格上だったのはわかっていたが、自分も四位の男だ。それに、実力が認められていたからこそ、遠征もまかされたし、こうして次期王者といわれていた――現実にそうなった――男との対戦を許されたのだ。

 しかし、結果は散々なものだった。

 ゾルザードは、ラドムンクンを主体とし、『双牙』と呼ばれる二本の短剣を左右にかまえる。その二本の牙を巧みに使用することで、相手の武器に対抗していくのだ。

 ヨシュの長剣も、『双牙』の餌食となった。

 突き出した長剣が右の短剣で受け止められたかと思った刹那、交差するように左の短剣とで挟み込まれた。なんの力も加えてはいないような流れる動作のはずが、交差した刃で簡単に弾かれていた。

 キンッ!

 ヨシュの長剣。

 おくれて、ゾルザードの二本の短剣。

 三つの凶器が、宙を舞った。

 ゾルザードは、自ら武器を捨てたのだ。

 その行為に怒りを抱いたときには、すでにゾルザードに背後をとられていた。

 しまった!

 そう脳裏で叫びをあげたのがはやかっただろうか、それとも身体が浮き上がったほうがはやかっただろうか。

 ヨシュの身体は、まるで子供のように空中をさまよった。方向、上下の感覚をなくし、気持ちの悪い浮遊感に支配されている最中に衝撃がきた。

 投げられたのか!?

 状況を確認するまえに、左腕がのびていた。

 左腕が、ゾルザードの股を支点に、極められていた。

 その形から、十字固め――『ガダル・バイオス』と呼ばれている。

 ラドムンクンの基本的な関節技だ。

 地面に叩きつけられた痛みなど、その苦痛にくらべれば、かわいいものだった。

 左腕が悲鳴をあげていた。

 折れるまえに、試合が止められていた。

 もう片方の手で、地を何度も叩いたのだ。

 それが、降参の合図。

 負けを認めた。

 はやく苦痛から解放されたかった。

 ゾルザードを讃える歓声にまじり、自分に対する怒号が、茫然とする意識に割り込んできた。

 本場ナシャスのラドムンクンとはちがう。ここは、ダメル闘技場なのだ。腕を折られていても文句は言えなかった。いや、片腕一本ですむのなら安いものだ。

 しかも、自分は剣を主体に闘った。もしこちらが勝利するような試合だったならば、むこうの命はなかったかもしれない。あのまま腕を折ることのほうが、体術中心の選手からしたら当然のことだ。

 それを、ゾルザードは折らなかった。

 いかに殺すことだけでなく、身体を壊す行為も禁止されているとはいえ、ここダメルにおいては、それぐらいは許される。

 いや、許されるどころか、観客はそれを期待していた。

 なぜ、腕を折らなかったのか?

 折るほどの価値もない男だと、ゾルザードの瞳に映ったからだ。

 無様に「まいった」をしたからだ。

 腕を極められた瞬間だった。

 完璧な関節技をくらったら、必ずそうなる。

 はじめてなら、なおさらだ。

 恥じることではない。

 だが、観客は認めてくれなかった。

 それまで不敗を誇っていようが、全戦全勝で王者をめざしていようが、真の勇者としてふさわしくないと判断されたら、あっさりと見捨てられる。

 それが、ダメルという場所だ。

 いや……、ここだけではないかのかもしれない。どこであろうと、闘いの世界は非情なものかもしれない。

 それからだ。

 ヨシュの闘い方が変わったのは……。

 剣を折らなければ!

 そういう強迫観念に襲われる。

 左腕が疼くのだ。

 肩のつけ根あたりが。

 極められた個所が、まだあの痛みを覚えているのだろうか。

 その苦痛が、相手の武器を折れと!

 牙を折れと!!

 腕を壊されるかもしれなかった恐怖が、そうさせるのか!?

 それとも、なぜ折ってくれなかったのか、そういう心の叫びなのか!?

 あのとき、腕を折ってくれさえすれば、いまとはちがう自分になっていたかもしれない。同じように観客に罵倒されようが、ゾルザードという一人の男からは、認めれたことになるのだ。

 それからは、狂ったように剣を折った日もあった。

 絶叫を放ちながら、砕き折った。

 いつしか《砕牙バスル》と呼ばれるようなっていた。

 闘者階順ローガは、どんどん下がっていったが、人気ということでいえば、まだそれなりにもっていた。

 しかし、かつてのようなものではない。

 強さを売りにしていたころの自分は、もういない。観客が、そんなことを自分に期待していないことぐらいよくわかっていた。

 ヨシュの役目は、剣を折るところまでだ。それで、客をわかせればいい。自身でも、折った瞬間に力が抜けるのが実感できた。だからではないのだろうが、どうしても武器を無くした相手に、剣を使うことができなかった。

 もう王者にはなれない。

 そういう声が周囲から聞こえてくる。

 自分自身のうちからも、浮かんでくる。

「……」

 昨夜も負けた。

 階順一七位の選手だった。

 それだけで判断するならば、格下だ。

 だが、そんな順番などあざ笑うかのように勝敗はくつがえった。いま売り出し中だというのは、大袈裟な宣伝文句ではなかった。

 相手の剣を折ったところまでは、いつもどおりだった。渾身に振り切った長剣を、相手の剣にたたき込んだ。

 刃を折ろうとするのではなく、そのむこうの肉体を粉々に消滅させるようにぶつける。

 無論、殺意をもってやる。

 その人物のすべてを無くすつもりでやる。

 そうすれば、折れる。

 いや、そんな簡単なことではないのだろうが、ヨシュはそうやって折っていた。

「折る」ということにかけては、ある意味、天才だ。それだけで客をとっているだけのことはある。

 それからの攻防は、あっけなかった。

 相手の『売り出し中』は、もともと総術の選手だったのだ。

 剣のほうが形だけ。

 ヨシュにしてみたら、悪いほうが出てしまったことになる。

 剣を無くした相手は、すぐさま懐に飛び込んできた。

 気づいたときには倒されていた。

 総術のなかでも、打撃系の選手と寝技系の選手とに分かれるのだが、どうやらこの相手は、打撃のことなど頭に入れない根っからの『ムンクン』使いということだろう。

 ラドムンクンとは、古代ナシャス語で、ぶるける・つかむ、を意味する。つかむ「ムンクン」という言葉は、寝技を主とする極め技中心の選手のことを指すのだ。

(……なにをやってる)

 倒されてからのことは、あまりよく覚えていなかった。

 すぐに意識を飛ばされたからだ。

 首に腕が巻きついてきたことと、闘い方がゾルザードに似ているな……と考えたことだけは、かろうじて記憶のすみに残っていた。

 落とされたのだ。

 意識を取り戻したとき、すでに『売り出し中』の相手は、退場をはじめていた。その後ろ姿を見て、敗北の事実と、たとえようもない無力感に襲われた。

(オレは、なにをやってるんだ……)


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