ゴブリン王の召還
どれくらいの時間が経ったろうか?
何も見えない
目を開けて見ても、世界はホワイトアウトしたままだ。
耳からは草原をわたる風が生み出す草の音。
鳥のさえずり。
何も見えない。
ってか、あれ?
俺座ってたはずなのに立ってない?
光に驚いて立ち上がっていたのだろうか。
何にせよ目が見えない事には身動きが取れない。
視界が一面の白から少しずつ色を取り戻していく。
そういえばBGMが止まっている。
ちょっとあの光は強すぎだったんじゃないかな。
演出にしてもやり過ぎだって。
明らかにクレームが入るレベルだったよ。
などと、どうでも良い事を考えている内に、ようやく世界が完全に色を取り戻した。
目の前には色鮮やかな世界が広がっていた。
あのしょぼいグラフィックがどうした事か。
現実よりも鮮やかな緑の絨毯と、そして目に突き刺さる程の輝かしい青空が目の前に広がっていた。
ディスプレイの話ではない。
自分の肉眼にその世界が映っていた。
「なに、これ?」
「王よ。これより私は一命を賭し、貴方様を守り、お側にお仕えする事を誓い申し上げます」
目の前には1匹のゴブリンがいた。
そしてそのゴブリンがしゃべっていた。
うーん、と唸ってそのまま倒れ込んで気絶できたらどれだけ楽だったろうか。




