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旅の始まり

その日の夜は街に帰らなかった。

最後くらいは村で過ごそうと思った。


村は宴の真っ最中だ。

ある者は踊り、ある者は歌い、そこに別れの寂しさは無い。

何人ものゴブリンが挨拶に来、そして酒を酌み交わした。

コカトリスの肉も出た。

口の中でほろほろと崩れる食感が何とも言えず、素晴らしい美味さだった。


アリアもアルフレッドもそれぞれに歓待を受けている。


宴はいつまでもいつまでも続いた。

やがてひとり眠り、ふたり眠ると、徐々に村に静寂が訪れる。


これからの村を思う。


そしてこれからの旅を思った。


またいつか、戻ってきた時、みんなは俺に何を見せてくれるのだろう。






翌朝早く、アリアとアルフレッドと俺は村を出た。

別れの挨拶は既に済んでいる。

見送りはいらない。

これは別れではないのだから。


そう思っていたが、村の入り口には6人のゴブリンがいた。

それぞれが武器を持ち、礼をした。

そして掲げ、アーチを作る。


歩を進める。

アーチをくぐる。

あっという間に通り過ぎてしまう。

そのまま村を出た所で振り返った。


6人のゴブリンが深く頭を下げた。


頭を下げるのは俺の方だよ。

そう思ったものの、俺は頭を下げなかった。


再び振り返り、街に向かった。






街に入ると、ギルドに向かい、旅に出る事を伝えた。

リザードマンはどこに行くの?それならこれとこれも頼まれてよ、と荷運びを押し付けられた。

そこに特別な感情は無い。

しかし、それが何だか嬉しかった。


神殿にも顔を出した。

結局、ゴブリン王のスキルについて、何も分からなかった。

ガルーダはまだ調べると言ってくれた。

いつかこの人とも冒険に出てみたい、とふと思ったけれどもそれは叶わない願いだろうか。


オークのおばちゃんの食堂でご飯を食べた。

相変わらず美味かった。

しばらく来ない事を伝えると、あらそうなの?残念ねぇ。てっきりお兄さんは私が目当てで通ってきているって思ってたのに、とか抜かし出して、やっぱり一度ぶっ飛ばしておく必要があると思った。


アイテムショップを回って、旅に必要な物を買いそろえると、昼前には街を出た。


まずは南下してフィブリア湖に向かう。

そこから西進して次の街へ向かおう。


「行きますか」

「そうね」

「参りましょう」


ホルダから王の剣を出して、背負った。

さあ、旅の始まりだ。

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