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苦闘

かえる。

うぉっ!?


目を覚ますと、いきなりかえるの顔が飛び込んできた。

驚いて飛び起きる。

俺が寝ていたすぐ真横にかえるがいた。

いや、死んでいるようなので、あったと言うべきか。


なにこれ?


近くに刀ゴブがいたので聞いてみた。

すると、刀ゴブが一方を指差す。

そこにはアリアがいた。


嫌がらせである。

2億4千万の悪意である。


しかし、なんでかえる?

と思った所、このかえるは食べられるそうだ。

これくらいなら焼いても構わないらしい。


ホルダから塩を出して振って焼いて食べた。


鶏肉だな。

確かに。


それなりに美味かった。






早速に練石採集が始まった。


岩山が崩れている所を探す。

その辺の岩が全て練石ではないらしい。

ゲームだったら光っている所を調べればそれで終わりだったので、なかなかの手間だ。


斧ゴブが斧で岩を崩そうとしたのをアリアが止める。

落石が起きる恐れがあるからやめておいた方が良いらしい。


しばらく探し続けると、見分けがつくようになった。

練石はその辺に転がっている石よりも黒っぽく、表面に赤茶けた錆のような物が付着している事が多い。

数は多く無い物の、探せばそれなりの数が見つかった。


この辺にはオーガが出るはずだったけれど、オーガは街に移り住んでしまっている。

当然出現しなかった。


けたたましい鳴き声が響き渡る。

練石探しに夢中で発見が遅れた。


いやにばかでかい鶏が今いる岩山の上に現れた。

全長はカーヴァルウシュタよりも長いだろう。

ボリュームもあの馬よりも大きく感じる。


よくよく見ると、鶏とは違う部分もある。

威嚇するように広げた翼はまるでコウモリのそれである。

尻尾は太い蛇だ。

そして吐く息が霧を吐いているかのように白い。


コカトリス。

そうか。こいつがいたか。

こいつはレベル30近かったはず。


鳥であっても所詮は鶏。

コイツが飛ぶ事は無い。

が、コイツの吐息はやっかいだ。


ペトロブレス。

食らえば石化してしまう。

ゴブ達の装備に石化無効は付いていない。

さすがに荷が重すぎる。


「手を出すな!お前ら全員距離を取って警戒!」


弓ゴブがいれば援護してもらったが、ここにはいない。

ちらりと見渡したが、アリアの姿は無かった。

いつの間にか、先に行ってしまっていたらしい。


ついていない。

ソロプレイ決定だ。


剣を抜き、エイムと唱える。

行くぞ!






接近するや否や、大きく息を吸い込み、ブレスを放ってくる。

大きく飛んでかわす。

今の装備に付いているのは石化抵抗だ。

無効ではない。

ようは当たってもハズレの判定が出る可能性が高くなるって状態だ。


防御力自体は十分高いが、状態異常系の攻撃にはあまり強く無い。

わざわざまともに食らうのはうまくないだろう。


ちっ。


足場が悪く、着地で大きく滑った。

そこに鶏のくちばしが迫る。


右手一本で剣を振るい打ち払う。

咄嗟にスラッシュを乗せる。

頭を狙ったのが災いしたのか、その一撃は驚異的な事にかわされた。


まじかよ。


避けられるとは思ってなかった。

そこに二度目のブレスが放たれる!


くそ、まじやっかい!


ごろごろと転がってかわす。

ブレスの範囲は実際、そんなに広くは無い。

ただ、間合いがこちらとかち合っている。

さらに範囲の広さでどうにも接近戦の主導権が握れない。


どうする。

一度ブレスを食らいつつでも打ち込むか。


試しに間合いの外からハイスラッシュを放つ。

ハイスラッシュには射程が伸びる効果がある。

斬撃は鶏に届くが、胸の羽をいくつか散らせたに過ぎない。


忘れてた。

斬撃抵抗かよ。

ますますよろしくない。


今の武器では全然出力が足りていない。

かと言って、武器を替えるには距離が近すぎる。


鳥のくせに足は速い。

離脱するにも一回ブレスを食らう事になるだろう。


仕方ない。

地道コースだ。


接近し、ブレスをかわし、威力を上げるためになるべく近距離からハイスラッシュ、スラッシュザッパーを放つ。

鶏から流れ出す血の量が増えていく。


この調子なら、無傷で倒せそうだ。


そう思いつつ、何度目かのブレスをかわした時に足下が崩れた。


な!?


まともに体勢を崩す。


まずい。


さらに鶏は大きく息を吸う。

その胸が膨らむ。


連続ブレス!?


思わず手にしているクレイモアを防ぐように横にして突き出した。


果たして、石化はしなかった。

石化抵抗は役目を果たしたらしい。

体に変化は無い。


が、剣に変化が生じていた。

剣の中程が真っ白になっていた。

まるで石像の剣のように。


さらに鎧の所々も白くなっている。

くっ。

とにかく動かなければ。


またしても鶏が接近してくる。


このトサカ野郎!調子にのんな!


怒りに身を任せて剣を振る。

剣は鶏の頭に直撃した。


良し。勝った!


そう思った瞬間、剣は白く変じていた中程から、ごりっと嫌な音を立てて折れた。


跳ね起き、飛ぶように距離を取ったのは、アルフレッドとの訓練のおかげか。


しかし、頭の中には空白が生じていた。


鶏もまともに頭部に一撃を受けて、すぐには動けない。


そうだ。武器を。


ホルダに手を伸ばす。


鶏が衝撃から回復する。


またしても鶏が息を吸い込む。


くそ!武器が出せない!


大きく飛びはねる。


決め手が完全に無くなった。


どうする?


消費アイテムの大盤振る舞いか!?


そう考えた瞬間、鶏の背中に何者かが飛び乗った。


ナゴブだ。


いつの間に接近していたのだろうか。

ククリを俺が削っていた場所に突き入れる。


ばかやろう!

手を出すなと言ったのに!


甲高い鳴き声が響く。


鶏は暴れ、簡単にナゴブを振り落とす。


俺もその間、ぼんやりしてはいない。


ホルダから王の剣を出そうとする。

出し惜しみしている場合ではない。


ナゴブだけではない。


斧ゴブも刀ゴブも距離を詰め、一撃を振るおうとしていた。


鶏の胸がふくらむ。


ペトロブレスだ。


食らえば3人ともひとたまりもないだろう。


ちっくしょう!間に合わない!


瞬間、鶏の頭に、そして胸に穴が開いた。


何が起こったのか分からなかった。


どっと鶏は倒れる。


ゴブ達も放心している。


見渡すと、岩山の上にひとりのシルエットが立っていた。


アリアだった。

本来、レベル58にもなってれば、各種無効系がばっちりついているので、負けるはずがないんだけど、ノル君にはそのスキルが無く、ドロップ品の装備にもついて無かった。そこを責められると弱いのね。


コカトリス:鶏の王様。石化ブレスを吐き、獲物を石に変え、粉々に砕いて食べる。生でもいけるよ!斬撃耐性。石化無効。射撃弱点。

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