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モンスタータウン

プレイヤーがいなくなり、ゴーストタウンと化していた街、カストール。

そこに待っていたのはモンスター!モンスター!モンスターだった!!

多種多様なモンスター!


人間は自分だけだ。


モンスタータウンだ!

なんて無限エンカウントの始まりを連想したものの、誰も自分の事なんて気にかけていない。


普通の人のように行き交い、話し、生活していた。


ゲームの中でもこんな状態を見た事は無い。

どこの街ももぬけの殻だったゴーストタウンは見る影も無い。

ふと疑問に思った事をゴブリンに尋ねた。


「人間って見た事ある?」

「人間とは大昔に存在したといわれております、あの邪悪な種族の事でしょうか?」


あ。

うん。

何となく人間って存在が何なのか分かった。

つまり彼らを脅かし続けた邪悪な存在なのね。

大昔って事は、もう絶滅してるから、俺を見ても何とも思わないと。


しかし、こんなに色んなモンスターがいて喧嘩になったりしないのだろうか?


「こんなに色んな人がいて良く喧嘩にならないね」

「そうでなくては街が成立しませんからな。相性の悪い種族というのはあるようでございますが」


あ、やべ。人って言っちゃった。

と、思ったけど、スルーされた。


人間は邪悪な種族でも、人はモンスター住人の事を意味しているのだろうか?

確かに街の住人達は人型のモンスターが多い。


下手に突っ込んで、藪蛇になっては困る。

取り合えず、そういう認識で考えるしかない。






ひとまず宿を目指す事にした。


右を見てもモンスター、左を見てもモンスター。

レベル的には低い種族が多いだろうか。


これならもし、万が一襲われても何とかなりそうかな?

よく考えたら黒鎧のゴブリンだってモンスターだ。


ここに来るまでに話をしている事。

とても丁寧な態度で接してくれている事。

そのふたつから、もう既に十分に信頼してしまっている事に気が付いた。


大丈夫だよな。

ちらりとゴブリンを見る。


人の波からかばうように歩くその姿からも、俺に対する気遣いが見える。

大丈夫だろう。


そう考えて安心しかけた時、怒号が聞こえてきた。


「そこのゴブリン!動くんじゃねぇ!」


人の波をかき分け、1体のオークが近づいてくる。


豚顔の亜人種だ。

レベル的にはゴブリンよりも少し強い程度だったろうか。


オークも言葉を話すのか。


いや、それは街の中の喧噪が日本語で作られている事からもそうではないのかと思ってはいた。


ゴブリン語、オーク語とかがある訳では無い、と。

日本語が共通語として使われているのだろうか?


考えている間にもオークは近づいてくる。


どうやらそこのゴブリン、とは目の前の黒鎧の彼の事のようだ。

黒鎧のゴブリンはオークとの間に立ちはだかるようにしている。


「この間はよくも俺様の斧を盗みやがったな!」


オークの身長は俺よりも低い。1、6か7メートル前後だろうか。

しかし、縦の大きさは俺より低くとも、横の大きさがある。

そのせいか身長以上の大きさとして感じられた。


間に立つゴブリンはオークを見上げている。

そのサイズ差は子供と大人を見ているようだ。


ゴブリンは落ち着いている。

種族として考えるならオークの方がレベルが高いはずだ。

しかし、見比べるまでもなく、この黒鎧のゴブリンの方が格上だと感じた。


オークの装備は薄汚い革鎧と鉢金だ。

あまり手入れが行き届いていないのだろう。

所々に錆や、いつ受けたものなのか分からない血の跡がこびりついている。


ちらりとゴブリンを見る。

腰に差すのはショートソードだ。

手入れが行き届いているのだろう。

柄頭は光を反射し輝いている。


ショートソードを使う彼が、巨漢のオークが使う斧なんて果たして欲しがるだろうか?


漆黒の鎧は俺が装備している鎧と見比べても、遜色無く、美しい。

傷が無い訳では無い。

所々に戦いの痕跡が見て取れる。

きちんと手入れがされているからか、その痕跡すらも美しいと思えた。


オークの革鎧に刻まれているのは野蛮な暴力の印だ。

あまりにもタイプが違い過ぎる。


どう考えてもこの薄汚いのが持ってた斧が彼の趣味に合うとは思いがたい。


しかし、今オークが話しかけているのはゴブリンだ。


自分にでは無い。


余計な口出しをせずにまずは静観する。

それは間で守るように立ってくれている彼の望む所でもあるだろう。


「いかがされましたかな」


その言葉はあくまでも真摯な、最初に出会った時そのままの声だった。

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