表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/40

22.大臣side

 ヴァレリー公爵閣下が宰相職を辞してしまった。

 何故こんなことになったんだ。

 いや、理由はわかっている。


 王太子殿下だ。


 殿下が起こした冤罪裁判。

 御息女を犯罪者に仕立てられたのだ。怒るなという方が無理がある。しかもヴァレリー公爵令嬢は裁判結果を通りに国を去った。最悪だ。


 国王陛下との謁見後、ヴァレリー公爵は宰相を辞めると宣言。

 公爵家の寄り子貴族や血縁者は大抵が要職に就いている。やはりというべきか。ヴァレリー公爵が辞職したと同時に彼らも辞めていった。



「な、何故だ……」


 驚きに目を見張る王太子殿下の姿は滑稽の一言に尽きた。

 ヴァレリー公爵家のブランシュ様を蔑ろにした挙句に冤罪を着せる王家に誰が尽くすというのだ。主家の総領姫を貶められたのだ。それくらいはするだろう。寧ろ、それだけで済んでまだマシだ。だというのに、王太子殿下はその事をまったく考えもしなかったらしい。



「何か驚く事があるのですか。殿下は一方的に破談しただけでなく、公の場で冤罪で国外追放までしたのですよ?公爵家所縁の者達が黙っている訳がないでしょう。ましてや、王家からの縁組であったのです。公爵家といては旨味の少ない相手との婚姻を押し付けられたようなもの」


「なっ!?王家に嫁ぐこと自体名誉だろう!!」


「名誉だけで物事が成り立つわけがないでしょう。これで殿下が高貴な血をお持ちならまだ話も違っていたかもしれませんが、そうではない。かと言って公爵令嬢よりも才気煥発かと言えばそうでもない。公爵家としては総領姫に相応しくない相手をみなされていてもおかしくありません」


「貴様!!」


 顔を真っ赤にして怒鳴る殿下を護衛兵に下げ渡した後は、残った貴族たちと話し合いをする事になった。

 なにしろ、引き継ぎもないままの突然の辞職。それも一人や二人ではない。大多数の人数が王宮を去ったのだ。今や王宮は上を下への大騒ぎである。

 

「まず、文官の人事異動についてだが―――」

 

「武官については―――」

 

「騎士団長の後任候補は―――」

 

「財務官は―――」

 

「外務官は―――」

 

「近衛騎士隊長は―――」

 

「各省大臣の役職及び人員の再配置について――」

 

「爵位の授与及びそれに伴う役職の見直しについて――」

 

「新領地における税率設定について――」

 

「――――」

 

 等々。

 会議は夜通し続いた。

 翌日、寝不足の身体を引き摺りながら執務室に入ると机の上に大量の書類が置かれていた。

 その書類の山を見た瞬間に昨夜の事を思い出してため息が出る。


「仕事が回らない……」


 呟きながらも手を動かす。

 とりあえず、この書類の処理が終わらないと他の部署の仕事にも支障が出てしまう。

 それにしても、これからどうなるのか。

 


 王家の失態は大使達からの報告で既に他国は知っている。

 ヴァレリー公爵による政治手腕で国は栄え外交にも我が国に有利な条件を飲ませてきた。その要がいなくなったのだ。今までのような外交交渉は行えないだろう。我が国の足元を見てくる輩も出てくるはずだ。



 そもそも貴族の結婚は基本政略だ。個人よりも家が重視される。互いの家に利益あり、と判断して婚姻関係が成立するのだ。それは王家も同じ事。


 王太子殿下にとって最も必要かつ王家に相応しい令嬢は、間違いなくヴァレリー公爵令嬢だった。それは誰もが認める事実。それをまさか、当の本人が全く理解していなかったとは夢にも思わなかった。



 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ