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14.新たな決意

 馬車が停車し、外が騒がしくなるのがわかる。やがて静かになるとゆっくりとドアが開かれた。


 

「お帰りなさいませ」


「早馬で知らせた通り、すぐに支度をしなくてはならないの」


「お嬢様の予想なさっていた通りになってしまわれましたか……無念でございます」


「別邸の方に連絡はしてくれたかしら?」


「はい。かの国の方には使いを出しております」


「ありがとう」


「ですが、お嬢様。本当に通信機をお使いにならなくて良かったのですか?」


「ええ。今それを使えば王太子一行に傍聴される恐れがあるわ。彼らの仲間には商人の跡取り息子がいる以上は用心に越したことは無くてよ。それに使いはフェイクですもの」


「それでは――」


「囮の馬車を準備しておいてちょうだい。彼らが仕掛けてこないとも限らないわ」


「あの王太子殿下にそのような策略ができましょうか?」


「ふふっ。なにも殿下達が動かずとも周りが損得勘定で動くわ。ヴァレリー公爵家を引きずり落としたい者は大勢いますものね。当主の娘が不慮の事故で亡くなったと見せかけて何処かに売り払う事を考える者もいるかもしれないわ。なにしろ、我が家は敵が多いのだから」


「お嬢様……」


「お父様がお戻りになるまでの時間稼ぎはお願いするわ」


「かしこまりました」


「それと、分家の連絡も私が()()()()を行ってからにしてちょうだい」


「お嬢様!? アレは試作段階の代物で!!」


「今使わずに何時使用するというの?」


「で、ですが……」


「安全面を心配しているのでしょうけど、馬車で移動する方が危ないわ」


「承知いたしました」


 忠臣の執事が動き出したのを皮切りに侍女達が慌ただしく動き出す。




「あなた方が私を『悪女』と罵るのならご希望に応えて退場させていただきますわ」


 準備を終え、ふと窓から見える月に向かって宣言した。



 私が王国から遠く離れた国の別邸について数日後に囮の馬車が何者かに襲われたと言う知らせが届きました。ただし、馬車に仕掛けられた爆発物によって相手はかなりの重症らしく事情聴取は受けられない有り様だとか。表向きは『盗賊団の襲撃』となっているものの犯人達が騎士団の人間であることは()()()国中で知られているようで「王家の仕業ではないか」と言う声が後を絶たないそうです。

 執事の話では、王家は私が滞在しているであろう隣国の別邸に幾度も問い合わせているらしく返事がない事に憤慨しているというではありませんか。嗤えますわ。あちらもフェイクだというのに。当然、隣国でも王国の騒動は有名で新聞の一面に大きく取り沙汰されています。公爵領の方にも国王陛下直々の登城許可が送られてきたらしいですが国外追放になっている事を綺麗に忘れているのかしら?痴呆には早過ぎでは?と思っていたところ「裁判の結果は無効とする。婚約破棄の破棄を申しわたす」という訳の分からない手紙が送られてきたとのこと。迷惑極まれり、とはこの事ですね。


 やはり、あの王太子の父親なだけはあります。

 「登城せよ」と言われて「はい、わかりました」と無邪気に出向いた挙句に襲撃を受けたらどうするのでしょう?これが王家の罠でない保証がどこにありますか?まったく。そういうところがダメなんですよ。王家の信頼なんて既にないというのに。



 そういえば、王太子御一行は随分大変らしいですわ。執事曰く「自業自得の末路」だとか。まぁ、国外追放された私には関係ありませんわね。ご愁傷様。

 


 


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