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1.裁判

 カンカンカン!!!

 

「静粛に!これより、判決を申し渡す!!!」


 裁判官の言葉とガベル(木製の槌)の音によって先ほどまで口汚く罵っていた傍聴席からの声が段々と小さくなっていきます。

 法廷内が静まり返ったのを確信した裁判官の額は汗だくで顔色も青白くなっていました。それは夏だと言うのに暑苦しい黒の法服を身に纏っている事でもなく、でっぷりと太った体形によるものではなく恐らく心理的な要因でしょう。分かります。だって、裁判官がこれから裁く相手は、この私なんですから。

 貴族が罪を問われる事など滅多にない……恐らく国王陛下の命令でもなければ実行不可能な事でしょう。それを王太子の独断で行おうとしているのですもの。

 告発者が王太子殿下だったのが運のツキでしょうね。

 でも、この裁判官は本当に運がないといしか言いようがありません。こんな……どう見てもマトモでない裁判の担当者になってしまったのですから、運に見放されたと言っても過言ではないでしょう。

 だって……私はこの国の筆頭公爵家の娘。しかも王太子の婚約者、ブランシュ・クリスティーネ・ヴァレリー公爵令嬢なのですから。



「しゅ、主文、被告を有罪と処す!!」


 あら?公爵令嬢を言い忘れているわ。もしやと思い、原告側を見ると、ユベール王太子とその愉快な仲間が目を爛々と輝かせている処を見ると、どうやらコレは彼らの仕組んだ出来レースのようですね。王太子の右手にはご丁寧に王印が握られています。恐らく、私の貴族籍は剥奪されているのでしょう。まぁ、あの王印を使って裁判が行われているので仕方がないのですが……。


 

「ブランシュ・クリスティーネ・ヴァレリーは、王太子殿下の子を身籠ったライト男爵令嬢を襲わせた首謀者である!学園内でも数多の生徒を権力によって無理矢理従わせていたことはヴァレリー公爵子息の訴えにより明らかになった!組織犯罪集団との関与も濃厚である。以上の事を踏まえ、被告に一週間以内の国外退去を申し渡す!」

 


 予想通りの結果です。

 王太子たちの満面の笑みを見れば分かるとおり、今回の事件は彼らにとっては茶番に過ぎないという事が分かりました。

 彼らは、私の事を悪者にして国を去らせたいのでしょう。そうすれば自分の手を汚さずに邪魔者を始末出来るのですから。そんな見え透いた罠に乗る気はないのですけどね。ですが、これは考えのようによっては良い機会かもしれません。


 なにしろ、色々と限界のようですし……。


 喜んでいる王太子一行は事の重大さを理解できていないようですが……もっとも理解できる頭があれば、このような裁判を起こしてませんね。いいえ、その前に昨日のような愚かな事はしていない筈です。


 そう、この茶番劇を始めたきっかけは昨日の婚約破棄宣言から始まっているのですもの。




 

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