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第1章4話 倒せ! 装甲機獣《ギガモンス》!

「勝ちムードと言いたいところですが、本命が第二阻止ラインに到着です」

 アキラメルの望遠カメラが、遠方の敵影を捉えていた。

 地に伏せ四つ脚で歩む緑鱗の巨体は、GAの十倍以上。

 その背中には無機質な構造物が積まれ、ただならぬ威圧感を放っている。

装甲機獣(ギガモンス)から、随伴するGAを引き剥がして下さい。でないとマスターが危険です」

 装甲機獣(ギガモンス)と呼ばれた半機半獣の怪物から、レブナ城を守るのがシオンたちの使命(ミッション)だ。

 ギーン王国の三つの砦を蹂躙した、侵攻部隊の主力。

 一撃で城壁を粉砕し、尖塔をへし折った大火力の化け物だ。

 大物相手に奮闘中、小物に隙を突かれては、ひとたまりもない。

「ちょっと待ってろ!」「今やっている!」

 敵GAを自分たちに引きつけようと、前方左右に展開するベスタ改と女戦士。

「倒さずとも良い、と言われてもな。敵を倒すに越したことはあるまい!」

 岩喰鬼(トロル)は魔王軍でも、名うての戦闘種族だ。

 怪力、高い敏捷性、そして不死に近い再生力。

 大半は野獣じみた蛮族だが、武勇を誉れとする武人や、文芸を好む数寄者も居て。

「はっ! 迂闊なカラクリ頭(無人機)め!」

 ガイラを見つけた二機のコリファが、左腕の方盾を構えつつ、機関銃を撃ち放つ。

――バキバキバキッ!

 立ち並ぶ木々の幹が抉られ、倒木の音が連鎖したが。

 敏捷に銃弾をかいくぐり、ガイラは斬機戦斧(ギガスレイヤー)を両手でぶんと振りかぶった。

「切り刻め! 岩山両断波(ロックスライザー)ァーッ!」

 高ぶる闘気を全力注入、ツインテールをうねらせ戦斧一閃!

――ギュゴンンンッ!!

 横殴りの一撃で斧から飛ばされた刀気が、片方のコリファを盾ごと割腹両断する。

――ズドンッ! ゴスンッ!

 輪切りの断面を晒し、撃破される装甲機兵(ギガアーム)

 ぶわと全身に汗の珠を浮かせたガイラも、脱力して片膝をつき、満足げに呻いた。

「うむ、会心の一撃だった。流石に消耗したな。退かせてもらうぞルビィ!」

 そのまま横に転がるや、残った一機の反撃に土煙が巻き上がる。

 さらに応援の機体が現れて、ガイラは躊躇なく逃げにかかった。

「行ったり来たり忙しいヤツだ。そろそろ俺も一暴れするか」

 大木に背を預け、電磁拳銃ハンドレールリボルバーの回転弾倉(シリンダー)に、プラズマ弾を一発ずつ装弾したベスタ改。

 敵のガドが周囲を伺いながら、恐る恐る接近して来る。

 頭部スリットバイザーからレーザーサーチャーの赤い光線が放たれ、地面の凹凸をなぞるように索敵しているが。

「ふっ。この一服が癖になるぜ」

 ルビィは悠然と操縦席で葉巻をふかし、胸を大きく膨らませて、紫煙を吐き終える。

 ベスタ改の胸の前に、右手の突撃銃(アサルトライフル)、左手に電磁拳銃を構えて。

「おいスケベ野郎! 美人はこっちだ!」

 くるんと機体を旋回させ、敵機に姿を晒すや、突撃銃を腰だめに撃ちまくった。

――ガガガガッ!

 全身に銃弾を浴びたGA(ガド)が、蜂の巣になって後ろに吹っ飛ぶ。

 ルビィは素早く操縦桿を倒し、ベスタ改を 前傾姿勢で移動させた。

 さっきまで居た木陰に、敵の機関銃の火線が殺到する。

「よぉし、売り込みは上々だ!」

 発砲炎(マズルフラッシュ)が光る場所へ、突撃銃と電磁拳銃を適当にぶっ放すと。

 銃火をかいくぐり、斜め後方へ走るベスタ改。

「ちょっとした丘があるな。いい遮蔽物だ」

――ヒュルルルル……ドゥンッ!

 身を隠そうとした丘の裏側が、いきなり吹っ飛ばされた。

「うぉっ!? 上から榴弾だと!?」

 一瞬、寒気を感じてルビィはロケットモーターを点火、ベスタ改を地面にスライディングさせる。

 その直感が、ルビィを救った。

――ダムンッ! キュボッ!

 頭部アンテナを掠め、丘を貫通した巨弾は、立っていればベスタ改を直撃したハズ。

「お次は徹甲弾か! くそっ、大砲を撃てる砲兵がいるな」

 ガリガリと茶髪を掻き乱し、唇を歪める撃墜王(エース)

「臆病なヤツだ。だが開き直られるとマズい。船や城は、いい的だぜ」

 反撃を恐れて発砲を控えて居たのだろうが、ルビィの接近を我慢できなかったか。

 装甲機獣(ギガモンス)より火力は低いが、無視できる相手ではない。

 アキラメルやレブナ城に被害を与えるには、十分な射程と威力だ。

新米(ルーキー)に、貸しを作るか。全身オイルマッサージを三十分ってトコでな」

 自慢の体をみっちり揉み解してもらおうと、ルビィが軽口を叩くのは緊張の兆し。

 まぐれでも、当たれば死ぬのだから。

 敵の砲兵型が、再び榴弾を放った。

――ドォンッ!!

 近くに炸裂し、爆炎が上がるが、ベスタ改への至近弾になってない。

 大体の見当で撃っているのだろうが、見つかれば狙われる。

「と言ってもな。俺が隠れてると、アキラメルか城を撃つか。面倒な状況だな」

 渋面を作ってもう一服、葉巻を加えて深く吸う愛煙家(ヘビースモーカー)

 気を取り直して、頭上のドラムズを叩く。

XCP(シープ)! 俺は砲兵相手に忙しくなる。ガイラと無人機に、他の敵を引きつけさせろ」

「了解です。こちらも動きます。巻き込まれないよう、注意して下さい」

「そんなヘマはしねえ。明日は新米(ルーキー)とデートの約束があるんでな」

 葉巻を吸い殻入れに放り込み、ルビィは操縦桿を引いた。


初めまして。あるいはお久しぶりです。

井村満月と申します。

第1章4話をお読み頂き、ありがとうございます。

本エピソードは、ギガモンスと呼ばれる装甲機獣を倒すミッションです。

ガリア機甲界で、非人型の機動兵器をギガモンスと呼んでます。デカくて強いアレですね!

そのためにガイラちゃんはデカイ斧をぶんぶん振り回し、ルビィさんもバンバン撃ちまくってて。

本作に出てくる装甲機兵は、ギガアームと呼ばれます。大きな腕で戦い、作業するからです。

ガリア界はとある事情で、地球も月も火星もヒドいことになってます。

気象悪化で飛行機はなかなか飛べず、資源は窮乏、都市も自然も荒廃。

建設機械と兵器と歩兵を兼ねる装甲機兵を、主力にせざるを得ない環境なのです。

あと、さくっと駆逐艦アキラメルも登場してます。戦闘艦も転移して来てたんですね!

皆様にどうか楽しんで頂けましたら幸いです。

それでは次のお話で、またお会いしましょう!

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