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第1章14話 防げ! レッドドラゴンの爆裂熱線ブレス!

――ビュビイイイイイイイィッッッ!!!

 太い光条(ビーム)に直撃された刹那、大きくたわみ激しく明滅する魔法障壁。

 地竜の背中に深紅の光麟が至り、高熱に炙られた二段の連装砲が耐えきれず、赤熱爆散した。

 残骸を振り落とし、メキメキと音を立てて屹立していくのは巨大な翼。

 内側から古い緑麟を爆ぜ散らし、体躯を一回り以上も巨大化させる。

 アースドラゴンだったものは、赤く染まった身をよじり、長い尾を振りかざす。

「ギャオオオオオオオオオォッ!!」

 それは真の竜。

 何者も焼き尽くす劫火の化身、猛き赤竜!

「れ、レッドドラゴンじゃとぉ……っ!?」

 予想外の事態に、激しく狼狽するエルフ姫。

「憤怒を糧に炎の息吹を熱線に変え、赤竜へ進化したのか。そんなん反則じゃろっ!?」

 金竜、銀竜に次ぐとされる脅威度、歴史上で人に討伐された竜の最高位が赤竜だ。

 たったの二例、しかも討伐までに大陸が一つ焼き払われ、数十の神々と数多の英雄が屠られた。

 一匹は半神半人の英雄が、もう一匹は勇者が率いた冒険者たちが、死闘の末に倒した伝説である。

「ほらぁっ! 煽りすぎだってばぁっ! どーすんのコレぇっ」

「ぐぬぬ。今さら他に手など無いわい! このまま防ぎきるのじゃあぁああああっ!」

「ムチャ振りすぎるうううううっ! いやあああああ、死んじゃうっ! 死んじゃうよぉっ!」

 無我夢中で操縦桿を握り、シオンが出来る事と言えば。

「もう一度ぉっ! やってみたらぁっ!」

「この上に倍掛けじゃと! いかな破格の魔杖といえども、そんな魔力が出せるはずが……ぐひぃっ!?」

 シオンの操作に引きずられたマナが、GAと一体化したギルの星辰体(アストラル)に絡みついた。

 あたかも触手のごとく体中を這い回り、法衣の上から染み込んで。

 新たに生じた魔法陣の光輪へ繋がり、魔力を注ぎ込んでいく。

「んぉおっ、くふっ、んんぅっ! や、止めるのじゃあ……お主のエゴが儂に食い込んで、きひぃんっ!?」

「ごめん、ギルっ! 皆を守るのぉーっ!」

「あっあっあっ! シオが、シオのエゴがぁっ! 儂のナカから呪文を掻き出しとるぅううううっ!」

 上から数えて三番目、蒼玉(サファイア)の位階を持つ魔術師のギル姫は、呪文を意識すれば無詠唱でも魔術を行使できる。

 唱えたばかりで星辰体(アストラル)に残っていた呪文が、強引に引きずり出される。

 未知のおぞましい感覚に、エルフの華奢な肢体が痙攣した。

「きにぃいいいっ! よ、止すのじゃあっ! 二つの魔術が重なればマナが互いを壊しあう。儂、儂の魔法陣が壊れるぅっ!」

「だったらギルが! 何とかしてぇっ!」

 ここぞとばかりの無茶振り返し!

 ギルもこのままでは、ブレスに焼かれて死ぬと分かっている。

 城も跡形無く吹き飛び、領民は全滅し、上空のアキラメルも爆沈するだろう。

 レッドドラゴンに進化した爆裂熱線の威力は、地竜の火炎放射を遥かに超えていた。

 最強無比と確信した防御障壁を突き崩して、今にも押し破られそうな衝撃に。

「ぐ、ぐ、ぐぬぅううううっ! ならばっ! こうじゃあああっ!」

 体の中を激しく掻き回される感覚に、悶えのたうちながら、苦し紛れの魔力操作。

「マナよ疾く広がれっ、間隔を空けよ! 二つを一つに、組み込むのじゃああ!」

 機体を通じて繋がるマナを介し、ギルは新たな挙動をシオンに電光めいた思念で伝えた。

 ジュッと脳を焼くきな臭い匂いがシオンとギルの鼻腔に生じ、ぬるりと溢れる鮮血。

「うぁあああああああっっっ!!!」

 シオンの指が操縦桿の鍵盤を、矢継ぎ早に押し込みながら、ありったけの気合いを込めて動かす。

 装甲機兵は両手の五指で空を掻き、新たな紋様を描き出した。

 シオンとギルの必死のエゴに手繰られて、二つの積層魔法陣が互いに段の間隔を開け、同一の術式呪紋を二層に重ね合う。

「あーっ! また来るっ! 熱いのっ、魔杖から来るっ! 来ちゃうっ! あああっ、ダメぇ~っ!」

 凄まじい魔力の波が放たれ、シオンの意識が閃光に呑み込まれた。

 衝撃に吹き飛ばされ、天高く投げ出された感覚に、視界がブラックアウトして。

「ふぁあっ、ああっ、ぅあぁあぁ……っ」

 何も見えない。聞こえない。感じない。

「なに、なんなのコレっ! ギルっ! どこにっ! ギルキュリアぁっ!」

 暗闇に包み込まれ、感覚がはぎ取られる。

 体の輪郭が、自分が何処にいるか、何もかも消えて。

「闇に呑まれる……だ、だめ……っ、耐えられな……っ!?」

 不意に、引き寄せられた。

 何万光年も一気に飛ぶ感覚で、遙か彼方の一点へ。

 白銀の巨塔に半ば埋もれ、黄金に輝く大樹。

 その巨大な幹を辿り、雲海を突き抜け蒼穹を舞い、夜空へ辿り着いて。

 二つの月に挟まれ、蒼い星を見下ろし、七色の光芒に包まれた巨大な銀の十字架が折り重なる、荘厳な構造物がそこに。

――シ、オ。

――呼んでる、の?

 瞬間、全ての色を含んだ無限光が、シオンを照らし出す。

 消えかけていた輪郭が、体温が、鼓動が蘇って。

「……シオ、シオっ! 目を覚ますのじゃ!」

「えっ、えっ、今のっ、なに!? 何を見てたの、あたしっ!?」

 がばっと跳ね起きたのは、操縦席だ。

 全身が汗に塗れて、パイロットスーツの生暖かい湿りが肌に張り付き、気持ち悪い。

「気を失っておったぞ! 魔杖の魔力を引き出しすぎて、魂を消し飛ばされかけとったわ!」

「今の、夢なの……アレ」

「天啓か幻覚か知らんが、詮索は後にせい! 儂も限界……最後の術式……早ようっ!」

 ギルもまた全身に汗を滴らせ、法衣が乱れていた。

 発熱し紅潮した絹肌に、流れる魔力の光線が煌めき、固く閉じた眦に涙が浮かぶ。

「ごめん、ギルっ! やるよっ!」

 操縦桿を握り直し、並んだ釦に指を滑らせながら、ぐっと押し込んで、シオンは叫ぶ!

「いっっけえええええええっっっ!!」

「九層掛ける九層っ! 抜けるものなら抜いてみぃ、レッドドラゴンっ!」

 固い岩戸をこじ開けるように、渾身の意力腕力魔力を込めて、両腕を振るうギル。

「これが八十一重合魔法障壁、絶対無敵じゃあぁああああっっ!!!」

「グルァアアアアアアッッッ!!!」

――キュッ!

――ドゴォオオオオオオンンンンッッッ!!!

 凄まじい爆光と爆風が生じ、衝撃波が森の木々を薙ぎ倒し、地面を吹き飛ばした。

初めまして。あるいはお久しぶりです。

井村満月と申します。

第1章14話をお読み頂き、ありがとうございます。

アースドラゴン様。

おめでとうございます。火炎放射ブレスが爆裂熱線ブレスに進化しました。

実績解除です。

解放条件を満たしましたので、レッドドラゴンに進化します。

と言うことで! 調子に乗りすぎると、しっぺ返しですよね!

怒りのドラゴン、翼が生えて大進化。爆誕! レッドドラゴン!!

低位の亜竜から、上位の赤竜に進化したお陰で、ブレスの威力も倍倍倍っ!

ギル姫の予想を遙かに上回る事態に、今度はシオンが魔杖をぶん回し、姫を振り回します。

訳も分からないまま、魔法の倍掛けを強行したシオンの魔術を、ギル姫がアドリブでカスタマイズ。

魔方陣を立体的に積層化する事で、呪紋の相互作用を促し、81も重合した障壁魔法を組み上げました。

全身にマナが模様を描き、ピカピカ光ってる全力モードは、果たしてレッドドラゴンに通用するのか?

一方、シオンが見た景色も、気になりますね?

白銀の塔、黄金の大樹、二つの月、蒼い星、折り重なる銀十字の構造物。

意味の無い幻覚でしょうか? それとも何かの天啓?

皆様にどうか楽しんで頂けましたら幸いです。

それでは次のお話で、またお会いしましょう!

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