呪われた日記
1
私は今銃を持っている。
それは重く、弾が1つ無くなっている。
いつの間にか私は銃を取り出し、
相手を撃ってしまっていた。
何故そうなったのかは分からないが、
警察が来る前にこの日記を持ち出しておこう。
外が革でできているこの日記には
何か特別なものを感じる。
恐らく先程撃った子どもが持っていたものだろう。
中を開くと書きかけだったので
私も続きを書くことにしよう。
今日はいつも通りに起きた。
朝食を食べ、家を出たとき
誰かから呼ばれた気がした。
その声の方へ歩いていくと
この家にたどり着いた。
扉が閉まっていたので2階の窓から入った。
その部屋には小さな子供がいて、
手招きをして私を呼び寄せた。
その後何があったのかと言われても思い出せないが、
確か口論になったはずだ。
私は元来短気であるから、
直ぐに子どもを撃ってしまった。
そして今この日記を書いている。
もしも警察に捕まったらどうなるのだろうか。
まぁそんなことは別に良い。
疲れてきたので少し眠ることにする。
おやすみ。
2
この日記は何だろう。
茶色い革で覆われている。
あの人が私を呼んだ部屋で死んでいた。
枕元にはこれがあった。
警察を呼ぼうかどうか躊躇したけど、
呼ばないことにした。
どうせ近所から通報されていずれ来るだろうし。
日記の中を見てみると、
あの人も日記を書いていた。
私も書いてみることにしよう。
しかし、どうにもこの部屋は空気が悪い。
酸素が足りない感じがする。
そして何故かここにいてはいけないような気がしてきた。
この日記も一緒に持っていこう。
どうやらこの日記には決まりがあるようで、
みんな最後に「おやすみ」と書いている。
私も書いておこうか。
おやすみなさい。
3
古びた住宅で男女と少年の遺体が発見された。
まぁ殺人現場など私にとっては日常だ。
取り敢えず写真を撮っていった。
どうやら3人ともこの日記に何かを記していたようだ。
警察官としては失格であるが、
私も日記を書いてみようと思う。
といっても書くことなどないに等しいので現在の状況を書こうと思う。
この住宅は4階建てで、2階の窓には穴が開いている。
恐らく二人ともここから侵入したのだろう。
男は絞殺され、
女は毒殺。
少年は銃殺されている。
一般的にはこれだけでも結構惨いことがお分かりだと思うが、
職業柄あまりそういうことは感じない。
私はあることにあることに気付いた。
最後に「おやすみ」と書いている人が殺されているのだ。
この日記は呪われている。
私は絶対に書かない。
さようなら。
4
嗚呼、この日記が人を殺してしまった。
この日記は私が孫のために作ったものだ。
いくつかのモデルを作ったが、
孫はこれを選んだ。
孫と孫の部屋に侵入した男女は殺され、
警察官は一命をとりとめたものの重傷だったようだ。
誰がこの日記に殺人システムを装着したのだろうか。
恐らくプログラミングの堪能な孫だろう。
今私は次に人を殺したら機械自体が壊れる仕組みを構築し終えた。
まさか私の発明したものが人を殺すとは思わなかった。
それではこの世に最期の挨拶をしよう。
おやすみ。