チャンネルが切り替わらなかった男のビフォーアフター ―無駄な努力という「正論リンチ」を受けたすべての者へ―
この作品は、少し昔の自分に向けて書いたものです。
努力しても結果が出ないと、「お前には才能がない」「時間のムダだ」と、正論という名の鋭利な刃が飛んできます。
だけど、その「正論」がすべてだろうか?
もしかしたら、歯車が一つ噛み合っていないだけ。
チャンネルが切り替わっていないだけ。
そんな視点が、どこかで誰かを救えるかもしれないと思いながら、静かに物語を書きました。
小石ひとつで人生が止まっていたなら、それを取り除くだけで再び走り出せる。
この物語が、その“きっかけ”になれば幸いです。
男は夢を抱き、日々努力をし続けていた。
努力は身を結び、実力はどんどん上がっていく。
しかし…世の中に成果はつきものである。
男は努力して、実力はついたが評価が伴わず、死にかけていた。
そこにあるのは
ただの『絶望』
自分を信じる気持ちと
自分を疑うさもしい気持ちと
その相互に板挟みにされ
もがく――――
その姿は
パワハラ上司と無能な部下に板挟みされる
優秀だが微妙なポジションの会社員のようだった。
男は苦しんで苦しんで――ただ無慈悲に苦しんた
そんなある日
男の目の前に神があらわれた…
いや正確には
『現れたような妄想が見えた気がする…』
程度のものではあるのだが―――
その神らしき妄想?いや幻想?はこういった。
「ごめん…
君が成功するのはずいぶん前から天界でも確定していたんだけど
チェンネルの部分に小石が引っ掛かってて、
チャンネルが切り替わらなかったよ。
それがさっき取れた。
ようやく切り替えれる。じゃあいくよ」
ドクン…
なんだこの世界は???
急に見える世界がかわった。
空間が一瞬ねじ曲がって見えた。
昔のブラウン管テレビのチャンネルを切り替えるように
ガシャンという音と共に、砂嵐が起き、
またふたたび元の部屋に戻った。
なんだったんだ―――
その日から男の人生は変わった。
成績は急上昇し
その業界でもトップの地位を得た。
それは
ほんの一瞬のことだった。
よく幸運が雪崩のように起きるとか
そういう比喩があるが―――
本当に―――
そんなことが起こったのだ―――
周りはいった。
奇跡が起こったと…。
しかし神は知っていた。
男は努力をし続けた。
それは飽和点を超え
爆発寸前の火薬庫のような状況だった。
しかし
小石という不確定要素が
男の邪魔をした。
私はその小石を取り除いたにすぎない。
それが奇跡というのなら
努力したものにしか…
奇跡は起きない。
奇跡はそんなものではない
男は奇跡ではなく
必然を起こしたのだ。
男よ
誇れ
自分の生きてきた道を
男は今…
幸せな生活を送っている。
男は思った。
あの神らしきものが言っていたのは
本当だったな。
努力は報われた。
どうも
本当に切り替わっていなかっただけだったようだ。
世の中
努力しても結果が伴わないことが多いといいます。
無駄な努力
という
「正論リンチ」を受け
傷ついた人もいるでしょう。
しかし…
世の中には
こういった正論リンチを受けながら
死にそうになりながら
いや
一回死んでアンデットになりながらも
復活し
トップに昇りつめた人も多いのです。
あなたの苦しみ…
それはただチャンネルが切り替わらなかっただけかもしれません
「人生諦めかけた その時… 」突然動きだすことが多いといいます。
もしかしたら
あなたの人生も
なんらかの不具合でチャンネルが切り替わらなかっただけかもしれませんよ。
たった一つの小石が
ひっかかっていただけかもしれませんよ。
あなたに神の手助けがあることを祈ります。
END
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
この物語の主人公は、もしかしたら誰の心の中にもいる「昔の自分」かもしれません。
「ここまでやってもダメか」と思ったことのある人。
「もう無理かも」と、夜にひとり泣いたことのある人。
チャンネルが切り替わっていない――それは失敗ではなく、“切り替えの瞬間”を迎えていないだけかもしれません。
人生のチャンネルは、いつでも切り替わる。
その瞬間を信じて、また今日を生きていく人の背中を、少しでも押せたなら嬉しいです。
そして…あなたの物語にも、きっと続きがあります。
※本作は完結しておりますが、反響やご好評をいただければ、続編やスピンオフも考えております。