表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

ある女の話

彼は、仕事は卒なくこなし何事も面倒事を引き受ける人だった。

私が、新入社員として入社したのは、6月1日付けのことだった。

最初に彼を見たときは、頭を下げた姿だった。

はい、はいと何度もオウム返しすることしかせずに、なんて情熱のない男なのだろうと思った。

髪は、ボサボサで悪くない顔ではあるが、特に着飾らず、足元はいつも汚れていて、爪は伸びきって、小柄な男だった。

彼とは、となりの部署だったが、話すこともなく、ただ半年という段々と職場の雰囲気に慣れるには十分すぎる時間が過ぎていた。

毎日、20分前には出勤し、職場で挨拶、毎日のようにお尻を触ってくる嫌な上司に少し喘ぎ、調子に乗らせ、午後になるとお茶とお菓子を二人分用意し、御局に労力を割く日々。

別に、私は嫌いというか好きでもなかったが、日々淡々と過ごしていた。

心の支えである彼氏も大学の頃から付き合っていて同棲していたが、全く好きだとか嫌いだとかも言う人ではなかった。

愛情表現には、特にこだわっていなかったが、別に好きでも正直無かった。

日々の癒しは、休憩中に見る配信アプリや毎日のようにエロイプを待ち望んでいる気持ちの悪い男たちが貪っているSNSにファッション写真を載せて承認欲求を満たす日々だった。

私ながら、本当につまらない人生を送っていた。

横目で見る職場の彼は、いつも辛そうに笑う。

職場で彼は、顔の割に人気があり、入社半年でそれなりにキャリアを作っていた。

とても、人生を謳歌した顔をしてイライラしていた。

私は、彼を見るのがとても苦痛だったのだ。

辛そうで、儚そうで

いつか消えそうで、それでもいつか消えてもいいやというサラッとした顔に苛立ちを覚えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ