ある女性客の話
日々の憂鬱に心と体貪られていく感触がする。
仕事が楽だとか辛いだとか、優劣があるように人は言うが、正直年収の高さと仕事の辛さと大変さは、反比例する。
新卒で入社した会社のほうがよっぽど楽だったと思う。
転々としたアルバイトやパートのほうがよっぽど俺は、辛かった。
まさに無法地帯だ。
そんな自分語りを考えているうちに、午後16時を回り、定時17時30分に刻々と近づいていた。
ジーンズが勃起で膨らんでいるAVマイスター達を観ながら颯爽と会計を済まし、定時まで待っていると。
17時28分とあと2分で帰宅しようとしていた時だ。
R18とアピールした旗が揺らめいた。
入ってきたのは、AVコーナーには似合わない綺麗な女だった。
唇は、薄くいわゆる関東でOLをして帰宅したあとは、芸能人と飲みセックスをし3万円くらいもらっているようなとてもキラキラした女だった。
『いらっしゃあせぇ‥』
つい、緊張して声が裏返る、久しくなんだか恥ずかしい気持ちになった。
胸がドキドキする。
やけに、自分の呼吸が大きく聞こえる。
あの美人に聞こえているのではないかと考えると内心容易ではいられなかった。
胸の高鳴りも大きくなっていく。
久しく女なんてAVの中でしか見ていなかったし、彼女もここ3年いなかった。
髪は、黒髪でロングヘア、艶が走って手入れを欠かしていない様子だった。
服は、ニットで下には、花がらのワンピース。
明らかに、男を意識した格好だった。
自分のセックスフレンドか彼氏とでも観ながら家でセックスをするんだろうかとか、そんなしたくもない妄想をしていると会計にやってきた。
『すいません、これ、お願いします』
どんなAVを観るのだろうと気になったので少しチラリと確認した。
山とセックスしているというかなりマニアックなAVタイトルだった。
顔が驚いてしまった。
『やっぱり、変ですよね、、、』
いやそれは、大体、AVを借りに来る女なんて変に決まっていると思った。
疲れていたのでこう返答した。
『えぇ、変ですね、まず今どきAVなんて検索で幾らでも出てきますし、変わっていると俺はそう感じますね。』と
少し、早口になりながらも自分の感情を伝えた。
女は、少し驚いた顔をしたが、
その後、笑顔で
『また借りに来ますね』と少しほおを赤らめながら言った。
髪が少し2,3本額にベタつき、汗をかいていた。
少し、息が荒い。
緊張していたのだろうか。
この女は、変態なんだろうなと思った。
『ええ、また来てくださいよ、毎日無職とジジイしかやってこないので疲れていたんですよ、たまには、お客さんみたいな花のような女性を見るのも男のモチベーションにつながるので』
と言った。
ニコッと笑顔をしそのまま去った。
少し、股を押さえていたように見えたが、恥ずかしさを性癖としているいわゆる、不思議ちゃんなんだろうかと思った。
また来てくれれば、うれしいとオレは思っていた。
その次の日も彼女は、来店し
いわゆる常連と化していた。