表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屈服の眠り姫  作者: おふとん
7/25

第六章〜暗転

━━嗚呼ああ、もう駄目だめだわ。もう、ダメなのよ!あたし、どうしよう!もう我慢がまんできないわ。わたし、おかしくなっちゃう!               ソフィア=メフィアは恥辱ちじょくまみれながらも、心の中だけでそんなさけびを上げるしか出来なかった。            もし、周囲に見張みはりのような者がいるとしたなら、実は眠ってなどいないのを白状はくじょうするかのように、眼を開いて起き上がり、どうか御不浄ごふじょうに行かせて下さいと懇願こんがんするしか事態じたい打開策だかいさくはないだろう。はたまた監視の目などないとしたなら、思い切ってこの部屋をけ出して、何処どこかにあろうハズの御不浄の間をひそかに探し回るとかは出来るのかもしれないけれど。それにしたって、その場合にもし邸内ていない彷徨さまようところを発見はっけんされでもしたなら、ただではむまい。きっと衛兵につかまって、こっぴどい目にわされた後に、例の生贄の儀式ぎししおくり込まれるに決まっている。      どのみち、かなりのリスクを背負せおわなければどんな欲求もたされないように設定されてしまったのだ。             ソフィア=メフィアには選択の余地よちも自由もなにも与えられてはいないようだった。             ━━ならば、もうこのまま、眠ったフリをしながら用を足してしまうしかないわ。    ソフィア=メフィアは、そんな境地きょうちたっするしかなかったのかもしれない。実際!そんな結論に達したのだ。                しかし、一平民の娘とはいえ、普段からおしとやかで純情じゅんじような彼女には、なかなかその決断けつだんが出来ないのであった。            そんなはしたない真似まねはしたくはない、それが正直かつ率直そっちょくな気持ちであった。              ━━一体わたしはどうしたらいいの?そんな恥ずかしい姿をさらすくらいならいっそこの世からいなくなってしまった方が楽だわ。神様、助けて!           そう言っていよいよ泣き出したくなったその時であった。       ふいに頭上から声がしたのである。              ソフィア=メフィアは、おどろきのあまり、びあがりそうになった。             それは、聴きおぼえのない男の声であった。    聴く限り、若い、それもソフィア=メフィアとどちらが若いかと問われればどちらとも言えないほど、若い男の声。          けがれのない少年をすら思いかばせる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ