第二話
突然のことだが、わたしはいつも昼休みを屋上で過ごす。
あのキラキラとした空間には居づらいから。
というのは建前であってこの景色を独り占めしたかったからだ。
この高校に入ってすぐ、やはりわたしには居場所がないのだと知った。
あの輪の中に入ることなどわたしには到底無理なことだとわかってた。
昼休みなんかはわたしが必要とされていない人間なのだと痛感した。
逃げるようにここに来た。
ちょうど桜の散る頃だったか。
校庭にある背の高い桜の木から舞う花びらで幻想的だったのを覚えている。
それからというもの弁当は屋上で食べるのが日課になった。
(屋上の鍵が壊れているのはテンプレだよね?)
そんなことを思い出しながら、退屈な授業は終わる。
なんなんだよワーテルローの戦いって。
ワンピースか⁉
っと、今日も行けるかな? 屋上。
ピロリンッ
??
ラインか?
誰だろう?
『ご飯一緒に食べたいのだ‼』
…!
リンカだったか
一緒に食べたいか…
初めてお弁当の誘い…
ふぅ…
あと一時間だ。頑張るか。
結局あと一時間も上の空だった。
授業が終わったので迎えに行こうとクラスを出たら…
「久しぶりなのだ。スミレちゃん‼」
聞き覚えのあるロリ声と特徴的な語尾…
リンカちゃんがドアの前にいた。
「久しぶりだね」
「一緒にご飯食べれると思ったらいても立ってもいられなくなったのだ」
(そんなことを思われているなんて初めて知った)
それにしてもホントに走ってきたのか肩で息をしている。
なにか甘い匂いがするのは気のせいだろう。
「れっつごーなのだ」
「ゴー」
「誰もいないよね」
「大丈夫なのだ」
屋上へと上がる階段についた。
「ここにベンチあるからここで食べる?」
「それにしても梅雨がすぐ終わって良かったのだー」
ホントにそうだ。
リンカとあったときが6月上旬で今が7月上旬だ。
梅雨が終わり本格的に蒸し暑くなる頃だ。
「ほら、早く食べないと腐っちゃうよ」
「そうだったのだ」パカッ
うん、安定のタコさんウインナー。
「どうしたのだ?」
「うんや、思った通りだなぁって」
「何言ってるかわからないのだ」パクッ
(小動物みたいで可愛いなぁ、ってわたしは何を思っているんだ)
…早くご飯を食べないと
「ごちそんさんでした」「ごちそうさまなのだ!!」
「リンカ、いつもより美味しかったのだ!! だから明日から一緒に食べるのだ」
「いいけど」
「良かったのだ〜」
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本日の振り返り
明日からも一緒にご飯を食べると約束しました。