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俺の妹が災難だらけすぎる  作者: 笠井久継
3/8

第三話 妹と魅惑の拒絶

処女作第三話


最後までお読み頂ければ、幸いです。


「はぁ……はぁ……」

「どうしてこうなった…………」

 神奈は仰向けになり、頭には、いくつものたんこぶができていた。俺はというと、知っていたというかなんという、左人差し指の突き指を達成していた。

 どうしてこんなことになっているかというと、数時間前に(さかのぼ)ることになる。


「お兄ちゃーん! 授業の体育で、バスケをするんだけど、教えてぇぇ!」

 神奈が勢いよくリビングの扉を開け、ソファーに座る俺のお腹に顔をうずめるようにして、言ってきた。

「ん……? 体育の授業なんだし、多少出来なくてもいいんじゃないのか?」

「ダメなんです! 私もバスケしたいですし、その……恥ずかしいですし……」

 神奈は努力家である。勉強に対しては、俺がどうこうしなくとも自力で克服してきた。元々そこまで、頭が悪かったというわけでもなかったというのもある。

 だが、運動に関しては別だ。運動に関しては、ちょっとできないだとか、センスがないだとか、そういうレベルじゃない。

 関わらない方がいいというレベルで、極度の運動音痴なのだ。

 それでも、妹はなんとか見せられる程度にはなりたいというのだから、手伝わない訳にも行くまい。

 運動と実験(りょうり)マジック(暗黒物質)だけ何とかすれば、完璧超人なんだがな……


 そういうわけで、生徒会長の力を行使し、うちの高校の体育館を貸し切り、練習をすることになったが、同時に生徒会長への借りができてしまった。


「教えるといっても、テレビやネットの簡単な知識しかないぞ?」

「大丈夫だよ! お兄ちゃんに任せていれば、安泰だよ!」

 バスケした事ないやつに、そんな期待を上乗せされても、大変困りまするぞ?

「とりあえず、体操服に着替えるか……」

「はーい!」

 神奈は右手を掲げ、元気よく答える。

 可愛いな! なんとかせねば……


「着替えてきました! 先生! 本日はよろしくお願いします!」

 神奈は、中学校指定の半袖短パンの体操着に、ポニーテール姿だ。

 カシャカシャ……撮らずにはおれん!

 ブルマもいいと聞くが、これはこれで悪くない。うんうん……

「もうっ! 恥ずかしいですよ!」

 怒りながらも少し照れている神奈、可愛い! 死ぬほど!

「じゃあ、シュートからしてみるか」

「はい!」

「とりあえずゴールに入るように、打ってみて?」

 神奈は力加減が分からないのか、力一杯投げた。ボールはゴールではなく、真っ直ぐに俺の方へと向かってきた。

 防ごうと左手を顔を前に出したが、間に合わず、人差し指にボールが当たる……

「おっふ……むっさ痛い!」

 痛みも然る事乍ら(さることながら)、妹のノーコンぶりに目も当てられなかった……

 もうノーコンなのか、殺意なのかの見分けがつかない領域に達しているな。

「す、すみません。大丈夫ですか?」

 もう、いつもの事すぎて、あーだこーだ言う気も湧かない。

「と、とりあえず、腕を斜め前に打ち出すようにして、膝はバネのように動かしてみて」

 ネットで拾い上げた簡単な知識を教えていく……

「こ、こうですか?」

 そういい、神奈の放ったボールはゴールに届いたが、跳ね返り神奈の頭へと吸い込まれた。

「あ痛っ!」

「まあ……最初はそんなもんだよ。続けてみて」

「痛っ! あたっ! ふぇぇ……」

 神奈の打つ球は、一寸の狂いもなく、見事に跳ね返り、頭に命中させていく。

 シュートをする度、神奈の豊満な胸は、上下に激しく揺れた。

 特になんの考えもなく、シュートから始めたけど、これはこれで眼福なんだよな……

 寧ろ、同級生の男どもは、妹のこの姿を拝めるなんぞ、全くうらやまけしからん!


 そんなこんなで五時間経過で、今に至るというわけだが……


 変わらねええええ!

 妹の頭は、ブラックホールなのかと思うほど、的確にヒットさせてきやがる!

「少し休憩を挟もうか。終わったら、フォームの確認をして再開しよ。」

「はい…………」

 神奈は、落ち込んだ様子だったが、ここ数時間打ちっぱなしだからな。

「ん…………。角度六十五度、距離八メートル、こんなもんかなっ!」

 俺の投げたボールは、放物線を描き、ズレを生じさせず、ゴールへと入った。

「あっ……なんか入っちゃった……」

 神奈のことが脳裏を過ぎり、すぐさま妹の方を振り向いたが、どうやらこちらを見ていなかったようで助かった……

 見られたら、「お兄ちゃん嫌い!」ってなって、一週間ぐらい寝込むことになりそうなんだよな……マジセーフ!

「…………再開します!」

 神奈が休憩を終わらせ戻っきたが、休憩前よりもやる気が増しているようにも見えた。

「とりあえず、フォームはこんな感じで、足は先程と同じような感じで大丈夫だと思う」

 フォームを少しづつ修正し、シュートさせた。

「えい!」

 神奈が放ったボールは、ゴールの縁を回り、三周ほどした後、ネットを揺らした。

「やたー!」

 声を合わせ、ハイタッチをする。

 ここから数発打つが、全て入るほどの上達を見せる。

「ほんほん、もう大丈夫そうだな……」

「少し運動が苦手って言っても、ちょこっと練習してしまえば、こんなもんですよ!」

 この子はたまにおかしなことを言う……

 ちょっとや少し所のレベルではないんだよな……壊滅とか絶望的とかのほうが、的を得てるぞ……

「兄さん、大丈夫ですか? お顔が引きつっておられるようにも見えますが?」

「大丈夫だぞ! きっと気のせいだ」

「そ、それじゃあ……パスとドリブルもお願いしていいですか……?」

 神奈は指を弄りながら、不安そうに言ってくる。

 そして、俺は考えるのをやめ…………

「お兄ちゃん……お願い?」

 両手を組み、上目遣いをしてくる神奈。

 超可愛い、どこで覚えてきたんだチクショー。ずっと俺だけにしてて。

「はっはっはっ! まーかせておきなさーい!」

 と言ったものの、その時の俺は、遥か遠くを見据えていた……


 ………………………。


 妹の体育も無事終わり、平穏がカムバックしてきた俺に、もう死角はない!

「お兄ちゃーん! 次はソフトボールなんだってー! また教えてぇ!」

「はああああぁぁぁぁぁぁぁ!」

 そして、目の前が真っ暗になった……


 後日、妹の成績表を見せてもらった。

 以前であれば、体育は二や三の評価だったのだが、今回は四がついていた。

 努力したのも結果を出したのも妹の実力だ! お祝いといっては大袈裟だが、本をプレゼントし、とても喜んでくれた。

 苦労はあったが、なかなかに悪くないと思い、更なるやる気へと繋がったのはここだけの話。


「兄さーん! 今度はバレーボールだってー!」

「もう諦めてもいいんじゃないかなああああああああああああああ!」


最後までお読み頂きありがとうございます。


不定期にはなりますが、今後も投稿は続けて行きたいと思っておりますので、何卒よろしくお願い致します。

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