大魔王と聖女が“偽物”だと気づいてももう遅い。
第二回なろうラジオ大賞投稿作品第六弾!!
大魔王デュアルと勇者の最終決戦。
それは神話の如き凄まじいモノとなる……ハズだった。
聖女ユアンさえ、裏切らなければ。
「な、なぜだ! なぜだユアン!」
「なぜなんですか、ユアンさん!」
「私達は、仲間じゃなかったんですか!?」
勇者が、騎士が、魔術師が、地面に倒れ伏しつつ叫ぶ。
デュアルに寄り添い、共に極大魔術式を。
勇者達の力を糧とする術式を紡ぐ――かつての仲間へと。
「フ、仲間……ですか」
「まだ気づいていないのだな、勇者よ」
大魔王と聖女は、勇者達を呆れ顔で見つめ、言った。
「「この世界の、本当の姿を」」
「……え?」
まさかの返答をされ、勇者の目が点となった。
「「カイン!」」
しかしそんな彼を、騎士と魔術師が現実へ引き戻す!
「私達の力を使いなさい!」
「少ないけど……これで、デュアルを!」
そして二人は、残り少ない魔力をカインに託した。
カインの中に、わずかながら力が戻る。大魔王を倒せるかは分からないが、再び立ち上がれるだけの力が!
「お前ら! ……こうなったら俺も、残り全ての力を攻撃力に極振りしてやる! ステータs――」
「もう遅い」
「極大魔術『リライト』発動」
しかし一瞬遅く、ついに大魔王と聖女の術式は発動し……勇者の前に現れかけたステータス画面がバラバラになった。
そして、世界は変わる。
噓で塗り潰されていた世界が、裏返る。
世界が、本来あるべき姿へと変わっていく。
「「「…………え?」」」
そして、世界の変容を間近で見届けた勇者達は……絶句した。
なぜならば目の前に、白銀の神々しい姿となった大魔王デュアル、そして純黒のローブに身を包んだ聖女ユアンがいたからだ。
「……長かった」
「はい、長かったですね。我が主よ」
溜め息をつくデュアルに、ユアンは恭しく頭を垂れた。
いったい何が起こったのか、勇者達には全然理解できなかった。
するとそんな彼らに、デュアルは改めて説明をした。
「かつて私は、神だった。そしてこのユアンは、私を信仰する宗教の巫女だった」
この世界の根幹を揺るがす、説明を。
「しかしある日、この世の神として転生した存在が摂理に干渉し、ステータス画面というワケ分からん物が存在する世界になり、私は大魔王に、ユアンは魔族にされてしまった。そしてそれを元に戻すべく、私はステータス表記に干渉し、ユアンの種族を人間に、職業を聖女に見えるよう偽装し、こうして元に戻したのだ。異界の神から魔力供給を受ける……勇者共の力を利用してな」
しかし元大魔王と元聖女の戦いはまだ始まったばかり。
異界より神として転生した存在を討伐しない限り……一人と一柱の戦いは終わらないッ!!
新たなる神なる概念を持ち込まれると、それまでの土着の神が悪魔の類に変えられてしまうのはどこの世界でも同じだという事です。簡単に言えば(ォィ