第10章 旅へ
第10章
旅へ
翌朝、真次の上には洋子が乗ったままだ。
真次は、起き上がれなかったが男の朝の現象はおきている。
洋子も目覚めた。真次の上で・・・。
真次の顔を見てキスをしたが、真次の異変に気づいた。
洋子:「もうー、このスケベ」
洋子は、真次の胸に顔を伏せて、そのまま体を下の方へ・・・・・・・
まだ、二人がベットでじゃれあってる時、店の扉を叩く音がした。
2階の窓から下を覗き込むと、寺井とさっちゃんだった。二人は手を繋いでドアの前に立っていた。
真次と洋子はスッ裸だったので、2階の窓から声だけかけた。
急いで、服を着だしたが、店のドアを開けたのは10分後だった。
真次が開けた。洋子はシャワー浴びに行った。
寺井:「遅いやないか。真次、泊まったやろ」
真次:「まぁ、えーやないか」笑ってごまかした。
さっちゃん:「洋子は?」
真次:「今、シャワー。」
さっちゃん:「真次くん・・・・、まだみたいね。」
「一緒に入って来たら、店見といてあげるし」
寺井にも後押しされ、真次は洋子と一緒にシャワーを浴びにいった。
洋子:「なんで来るの、狭いのに」
真次:「さっちゃんが、行けってゆーし」
真次は洋子にけられた。
真次と洋子が店に戻った時、さっちゃんはアイスコーヒーを作って、寺井は掃除をしていた。
真次:「寺井ー! ご苦労」
寺井:「真次ー! お前の仕事さすなよー」
真次:「俺はもうクビやねん。 さっちゃんが来るしな」
洋子:「来月から沙智に来てもらうし。 それまで真次、暇やろ手伝ってな!」
寺井:「ほらみろ、まだ真次の仕事やんかー」
4人は談笑しながらアイスコーヒーを飲んでいた。
洋子:「真次!今のうちに旅行行こう」
真次:「何処へ?」
洋子:「うーん・・・・、海か山!」
真次:「漠然としすぎてるなー」
洋子:「なあ、沙智も寺井くんも一緒行こう!」
さっちゃん:「あたし・・・、店閉めるし、片付けあるしやめとく」
寺井:「じゃー、俺もやめる。 二人で行って来いな」
真次:「こいつと二人だけかー!」
洋子:「何!文句あるの!」
真次:「はい!お供いたします。」 「キッー」と睨まれた洋子にはかなわない。
その後、夜には真次と寺井は久々に飲み行った。
洋子とさっちゃんは「早よ!帰って来いや!」 口をそろえて言った。
よく行く、ShotBar『バラン』そこに、バーボンウィスキーがキープしてある。
二人ともロックで、ちびちび飲むのが好みだ。
寺井:「洋子ちゃんが一緒のほうがよかったか」
真次:「あほいえ、ほんまに洋子は、やるか、しばかれるかやで」
寺井:「おまえ、ほんまにモテルしな」
真次:「相手にしたないのが多いねん」
寺井:「バレンタインの時に、真次のとこでチョコレート食わされたしな」
真次:「おまえが食べたいって言うしやないか」
寺井:「まだ、真次に気があるのって、恭子やろ、裕子やろ、律子やろ、恵美やろ、満代やろ、幸子に・・・・・
あと誰がいた?」
真次:「おまえ、よう覚えてるなー、サーキットコースはなかなか覚えへんくせに。 幸子って誰?」
寺井:「覚えてへんの?俺から奪っといて」
真次:「お前の女って、誰かいたか?」
寺井:「中学の時、幸子が俺の事がいいって、言ってたけどすぐお前の事が好きって言った女や」
真次:「えーーーーー! そんなん知らんでー!」
寺井:「覚えてへんのか?」
真次:「奪ったって、そんな事か? それが奪った?」
寺井:「そうや!」堂々と言った。
真次:「ハッハッハハ! 寺井そんなん入れたらもっと居るで」
寺井:「えっ!そーなんか?」
真次:「そんなんどーでも、えーやんけ! それより、さっちゃん大事にしな俺に気が変わるで」
寺井:「あっ!あかん。それだけは止めて。洋子ちゃん居るやろ」
真次:「俺は、いっつも奪うような事してへんやろ。向こうの気が変わるだけやで。」
「そやけど、どっちにしろそんなんあったら洋子にほんまに殺されるし、お前がしっかりしてくれな
あかんねんで」
寺井:「わかった。真次絶対手だすなよ。洋子ちゃんにお前の過去ばらすぞ」
真次:「全部知ってるで。前に首絞められて、吐かされたし」苦笑い。
寺井:「頼むし、沙智はやめてくれー」寺井が潰れかかってきたので帰ることにした。
翌日、真次は旅行会社からパンフレットを持ってきた。
真次:「沖縄、北海道、ハワイ、韓国、西海岸、有馬温泉、和倉温泉・・・・・」旅行会社から片っ端からパンフレットを持って帰ってきた。
洋子が観て、「却下、却下、却下、却下、・・・・・最後にこれは?」
そこにあるのは、ロッジやバンガロー、コテージばかり載ったパンフだった。
洋子:「ここが、いい! 絶対ここ!」
そこは、ここから3時間ほど、断崖絶壁に造られたロッジ。そこからは海が正面に見え、お風呂も露天になっている。値段は少々高めだが・・・・
洋子:「真次!ここ!・・・にしよ! 近くに砂浜があり泳げますって!」
真次:「泳げるって?こんなとこで?」パンフ見てるかぎりでは想像つかないほど断崖絶壁に建てられていた。
真次は、旅行会社に行き予約があるか聞いてみた。・・・・・・「空いていた。」
真次は、温泉に行きたかったけど洋子に言うと『おっさんか!』って言われると思って言ってない。
とりあえず、3日間予約を入れた。ロッジの鍵は前日に受け取る事になっている。
当日、真次と洋子はそれぞれバイクに乗って、朝から出発した。
高速道路を通らず、ワイディングの続く国道を選んで走る。
ロッジに着くまで、3度ほどの休憩を入れながら真次と洋子は走った。
風が気持ちいい。夏も終りかけていて山の中の道では、Tシャツだけでは寒いぐらいだった。
真次は、ワイディングでは飛ばす。ミラーで洋子が確認出来なかったら、アクセルを緩めて洋子を待つ。
その繰り返しをしていると、洋子は苛立ってくる。必死で真次に追いつこうとするが、追いつかない。
長い直線に出た。真次はアクセルを緩め、洋子を待った。
洋子が近づいて来る。真次はいつものように左手を洋子の方へ差し出した。
洋子は必死で近づき、右手を差し出す。・・・・・・離れて行く。アクセルを離すからだ。
休憩の時、真次は「右手離したらあかんやん。あほやろ」
洋子:「真次が、左手出したら右手出してしまうねん。今度は右手にして」
休憩を終え、走り出した。
真次は今度は右手を洋子に差し出した。コーナーリングの途中で。
洋子は、一旦左手を出したがコーナーリング中に手を離すのが怖くて、手を引いた。
真次と洋子はこんなふうにコミュニケーションを取りながらツーリングを楽しんだ。
アップダウンを繰り返すワイディングロードを抜けて行くと、海が見えてきた。
そこを下りぎみに、真次は後ろの洋子を気遣いながら下って行く。
看板を見つけ、そこの左へ反れる道を下った。ロッジが見えた。
午後2時を過ぎたころ、到着。
自分らの荷物を置き3日分の食料を買いに洋子のバイクでタンデムして、
買い出しにいった。近くのスーパーぽい?ところ。
真次も洋子もTシャツにショートパンツ、スニーカーで。
洋子は、肉、野菜、魚介類、お菓子、酒などを買いこんで、リュックに詰めた。
ロッジのテラスからは、すばらしい絶景だった。海がきらきら輝いてる。
テラスの横には1坪程度の露天風呂。真次は風呂に湯を張った。近くの温泉地から温泉が引かれてるらしい。
テラスの下の崖に、下へと下りる階段があったので二人で下りてみた。
かなり急な階段になっていて、洋子は真次に捕まってないと足を踏み外しそうだった。
階段を下りたところは入り江になっていて、小さな砂浜があった。
真次:「とりあえずはパンフどうりやな」
洋子:「プライベートビーチみたい!」洋子ははしゃいだ。
真次:「盆過ぎてるし、くらげいるで。岩場やし」
洋子:「シュノーケル持ってきたやん。明日潜ろな!」
真次と洋子は浜を確認したのでロッジへ戻った。
真次:「洋子!風呂入ってるで。風呂入ろうや、風呂!」
洋子:「えー!まだ明るいもーん。誰かにみられたら・・・。」
真次:「この場所、海からしか覗くとこないで。」
洋子:「でもー・・・、明るいし恥ずかしい。」
真次:「先に入るで。」真次はリビングで、さっさと服を脱いで風呂へいった。
真次:「あ~~~~、う~~。」
洋子:「もう、おっさんみたいな声ださんといて」
真次:「気持ちえーでー」
洋子:「ほんまに、覗かれてへん?」バスタオルを巻いて洋子も来た。
真次:「大丈夫や。」
洋子:「あ~~~~、気持ちいいー」
真次:「お前も、おっさんやんけ」
洋子:「出てしまうねんな。 口からおっさんが」(笑)
真次は熱かった、湯船の淵に腰をかける。丁度、膝から下が湯に浸かってるかたちだ。
洋子:「なあ、真次! 3日間何する?」洋子は真次の膝の上に肘を乗せて、指で真次の股間を弾いた。
真次:「その場で決めよう。その時したい事したらえーやん」洋子は何度も弾いて遊んでる。
「こら~!遊ぶな~!」
洋子:「あはっはっはー。 楽しい~!」
「ザブーン!」真次は洋子を沈めた。「ブクッ!ブックッ!ボコボコッ!ザブーン」
洋子:「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ! もう、お湯飲んでしもたやん! あほー」
「仕返し!」 こんどは洋子が真次を沈めた。
洋子は、湯船の中で真次に馬乗りになった。
真次:「・・・・・・・・・ボコ!」 洋子の足を叩いてギブアップを則した。
洋子は、馬乗りから解放した。「ザブーン! うーーー。」
真次:「お前は殺す気か!」
洋子:「真次が、さっき『その場で決めよう』って言ったやん。そやし。」
真次は洋子を抱きあげ、ロッジのリビングを抜け玄関へ向ってる。
洋子:「キャー!キャー! 何処いくの?」
真次:「外。」 洋子は真次の頭、顔を叩きまくるが、真次は下ろさない。
真次が扉を開けようとして、止めた。もう洋子は叩こうとせず、真次にしがみ付いてる。
真次:「んふっふっ、仕返し!」洋子を下ろした。
洋子:「もう!」平手を一発。
洋子が、風呂に向って背を向けて歩き出した時、真次はそっと扉を開け外を覗いた。
ロッジの前の道に、めったに通らないだろう思っていたが、そこに1台地元の人と思われる軽自動車が
通りすぎていった。真次は「ほっとした」
洋子:「真次!ご飯作るし手伝って!」
真次:「うん。何?作る?」
洋子:「今日は、バーベキュー!とお昼用のカレー作るねん」
二人で材料を用意しだした。真次はカレーを担当する。
洋子:「真次!」大声で言った。 「先に服着て。」
真次:「おっ!そうか。 洋子と居る時、裸が多いしな」(笑)
洋子:「えーよ、やけどしても知らんしな」
服を着た真次は、カレールーを作り出した。洋子は串にバーベキュー用に具を刺して、余った肉や魚介類を
カレーの具にした。
薄暗くなったテラスに、真次がランプに火を灯し、テーブルに備え付いているバーベキューコンロに炭を
入れ火を起こした。
洋子が材料を運んできた「うわー!綺麗!夕日が沈むとこやん」
二人でしばらく日が沈みきるまで見ていた。 日が沈んでも、しばらく明るく、眺めもいいので二人向い合わせにはならず、海に向って横に並んで座った。
洋子:「真次、もう焼けてる。食べてみて!」
真次:「・・・熱っ! んっ、うまい」
洋子:「ほんま? 熱っ、 ほんま!おいしい」洋子は真次の皿から肉を一切れ取った。
真次:「自分で、串とれよ」
洋子:「猫舌やし、ちょっと冷めたのがいいの」
真次:「わがままやな~。」真次は別の串から具を洋子の皿に入れた。
真次:「こうしていったら食べられるやろ」
洋子:「うん、どんどんいれて!」
真次は魚介類だけの串を自分の皿に引き上げた。
洋子:「あー。えびー、あたしの~!」えびだけ取られた。・・・・しばらくそんな調子が続いた。
洋子:「あー。お腹いっぱーい。」
真次:「カレーの分、炙っとく?」
洋子:「うん、やっといてー」 後は真次が片付けもした。
洋子:「真次、このロッジってテレビないみたい」
真次:「あっ、そーいえば、そーやな。別になかってもえーやん」
洋子:「真次、あの海の方に光ってるの何?」
真次:「あれは、漁り火や」
洋子:「いさびり?って?」
真次:「イカ漁したはるねん。あーやって明かりを点けるとイカが寄って来るらしいで」
洋子:「へー。そこの海でも寄って来るかなー?」
真次:「懐中電灯ぐらいではあかんやろ」
洋子:「行ってみよ!」
真次:「もう~、しゃーないなー。」真次はロッジの備え付きの懐中電灯とテラスのランプを持って外へ出た。
洋子:「真次、先行って~。」
真次:「こんな時だけ~、ほな、これ持って」真次はランプを渡した。
洋子:「真次~!手繋いどいてー。」真次が後ろを振り向くとランプを岩に当てて割れそうだったので、懐中電灯と取り替えた。
真次:「ゆっくり行くし、足元照らしてな」
先程より下りるのに倍ほど時間がかかった。
洋子:「うわー、真っ暗。」
岩場の浜は不気味なほどだ。ただ、月明かりが薄っすらと照らす。
浜から明かりを照らす。・・・・・小魚がわずかに見える。
真次:「もっと岩場のほう行ってみよ」 真次は一人歩きだした。
洋子:「あん!待って!」小走りで真次の手を掴む。
あまり、沖側の岩場までは行けないが、途中まで行って海を照らす。
真次:「なんか、光ってへん?」
洋子:「・・・・・あっ! 光ってる!イカ?」
真次:「なんやろ? 網、持ってきたらよかったな。 食べるもん買わんでよかったかも!」(笑)
洋子:「槍持って、狩りも行く。」(笑)
真次:「洋子のほうが狩りうまそうやな」(笑)
洋子:「帰ろ!真次」
二人、浜に戻った時雲が晴れたんだろうか、明るかった。
洋子:「真次、見て。ほら。」入り江に月が写っていた。真次は思わずランプを消した。
洋子も懐中電灯を消した。 二人はしばらく入り江を黙って見つめていた
その幻想的な景色に吸い込まれそうに。
洋子:「怖い。 でも、綺麗」洋子は、真次にしがみ付いた。真次も洋子を抱き寄せた。
それは、偶然だったのか?運命だったのか?しばらくして、その幻想は消えた。雲にでも隠れたのか?
しばらく待ったが、もう現れなかった。
しかたなく、二人はロッジへ戻った。
真次は、洋子ともう一度風呂に入って、先程の幻想的な事を語ってた。
洋子:「知ってたん?」
真次:「いや!聞かされてもいてへんで」
洋子:「でも、よかった。 綺麗やったもん」
洋子は真次の肩に頬を寄せてうっとりしてた。
真次は、こういう表情を見せる洋子を始めて見た。
真次は、思わず洋子に唇を重ねた。洋子もそれに応えた。
真次は、洋子を風呂の淵に抱きあげ、全身を愛撫した。
洋子は空を見上げ、月を見ながら真次を迎え入れた。