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勇者ですが何か?  作者: マイケヌ・ハクション
序章ー旅立ちー
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勇者ですが何か?(1)平和ですが?

その場のノリで書いております。ご了承くださいませ。

ーーー俺は勇者だ。


…唐突すぎるかもしれないが勇者になるべくして生まれた。空には燦々と輝く太陽があるのにもかかわらず豪雨と雷が鳴り響き、どこかの火山は噴火してどこかの海は二つに割れそして大洪水をもたらした。天変地異が起きたその時、俺は生まれた。そして預言者は言ったのだ。


「おお、神よ、この子は勇者ですか?」


 返事は風に乗ってきた。


ーーーウォォォォ…


「そうですか、勇者でしたか。……喜ばれよ、この子は勇者だ!!!」


そして俺は高らかと泣いたという…。



 それから俺は15を迎えた、多少の剣技と魔法を教わり、勇者とはなんぞやってことを教わった。伝説の鍛冶士『レジェンド・オブ・ブラックスミス』のタケゾウから伝説の勇者の剣を作ってもらった。ラクダヨ王国国王ラクダーヨ王3世からも激励の言葉をもらった。

 

 そして、王国の門の外に一歩踏み出したんだ。


「よし、家に帰ろう!」


ー勇者ですが何か?ー(1)


<トキヨー大陸、ラクダヨ王国の少し西に行った所にある村、勇者の村>


「ただいま〜」


 一人の少年が気だるげに扉を開け家に入っていく。黒に金のラインの入ったジャージを着て金髪で短髪オールバックのこの少年…勇者である。


「あらあら?もう帰ってきたの?王様から激励はちゃんと受けたの?」


 奥の台所からスリムで顔も整った女性が出てくる、勇者の母である。


「うーい、受けた受けた」


 勇者は背中に背負っていた何でも入る魔法のバックをリビングのソファーに投げて、自室へと入っていく。


「ふふふ、それはよかったわ、…さて、今日はご馳走よ!何て言ったって、勇者であるタロウの旅立ち前夜なんだからぁ!」



 タロウは自室のベッドで寝転がり考えていた。自分のこれからのことについて…


「…行きたくねぇなぁ」


………この言葉は、寂しさや、これからの過酷な旅を考えての言葉ではなかった。なぜなら…


「はぁ…いや、魔王いねぇのに勇者って何すんだよ?」


ーーーそう、魔王はいないのである。



 昔、それもはるか昔、世界には魔王とその配下の魔人たちが存在していた。世界を脅かしていた魔王に、世界に住む人々は絶望していた。しかし一人の少年がとある村から立ち上がったのだ。少年は世界を旅し、数々の魔人を倒し、人々に希望を与えた。旅の途中、少年の思いに感銘を受けた者たちも旅に加わり、魔王との激しい戦いを繰り広げた、そして魔王を打ち倒したのである。


 世界はその少年を勇者と称えた。そしてその少年の生まれた村を勇者の村と名付けた。勇者はその当時の王様にこう言葉を残した。


「いつの日か、魔王はまた現れるでしょう、その時がいつかは分かりませんが、きっと勇者の力は必要になるはずです」


 その言葉は受け継がれ、タロウが生まれるとき、預言者の言葉により勇者は再び誕生した。

 だが、魔王の存在は現れなかった。残党の魔人や、野にはびこる魔獣はいたが、魔王復活という話は全くなかったのである。そして残党たちによる被害はあれど、衛兵などで対処できる程度で、世界が再び絶望してるかと言われるとそんなことはなかった。



「…ゲームしてぇ、明日発売のファースト・ファンタズィー遊びてぇ…、勇者ぶっちゃけ今の時代に必要ねぇんだし、もう行かなくてよくね?」


 うんうんと一人で頷き納得する。


「よし!決めた、俺行かねぇ!!」


 そう決めてタロウは飛び起き部屋を飛び出す。


「母ちゃーーー」


 ズドンと音をたてタロウの頬を普通の包丁と比べると一回りも大きな包丁がかすめ、壁に刺さっていた。


「あらら、ごめんね〜タロウ、手が滑っちゃって〜、大丈夫だった?お母さん、タロウのために美味しいステーキ作るからねぇ、お母さん」


 笑顔で話しているがその目は笑ってなどいない。怒る理由は分かっていた。

「ハイ…ダイジョウブデシタ…お母様」


 タロウの母は『母ちゃん』と言うのを嫌う。理由は田舎者っぽく、勇者っぽくないからである。


「もうお母様なんて〜、お母さん、で良いわよ、照れるでしょう」


「ガキに包丁投げる親がそんなので照れるなよ!」



 夕日が赤く照らす頃、タロウの家のテーブルには家族が揃っていた。テーブルの上には大きなステーキが並び、サラダとタロウの好きなジュース『コリャ・ソウダ』が並べられていた。

テーブルの形は長方形で、父親であるシブサブロウ、母のチヨコ、その反対側に弟のツクシに妹のモミジが座り、タロウはいわゆる王様席ポジションに座った。

 そんなタロウにチヨコは三角帽子を無理やりくっつける。


「なにすんだよ!」


「お祝いなんだから、これくらいはしないとねぇ、フフ」


「そうだぞ!似合ってるぞ!」


「親父は黙ってろ!」


「あらあら、言葉遣いがよろしくないわよ?タロウ…」


「すみませんお母様」


「どうでも良いから飯食べたいんだけど…」


 深いため息を吐き、妹のモミジは扱っていたピンクのデコレーションがぎっしりのテルテルフォンを置きシブサブロウとタロウを睨む。


「…なんで睨むんだよ…」


「そうね、ならいただきましょうか。タロウ、一言」


「えぇ!?…うーん分かったよ……」


(正直、行きたくないです!とか言ったら、勇者としての活躍を期待してる母ちゃんにぶっ殺されちまいそうだし…無難なことをしゃべるか…)


「あー、生まれた時に預言者に勇者って言われて、正直何も分からなかった俺ですが、いろんな人に支えられ、勇者とはなんなのかって事を学び成長し、ついに明日旅立つ日がやってきました…」


(あぁ恥ずかしい、なんだこれ、なーに言ってんだか)


「…いろんな人たちに支えられてきましたが、やっぱり一番支えになったのは…家族のみんなであります…えーと」


「超長いんだけど…まじダル」


「本当にみんなにはって、おい、テメェ!今なんて言ったぁ!」


「長いって言ったの、いただきまぁす」


「おいこら!ふざけんな!あっ!てめ、乾杯してねーのにコリャ・ソウダ飲んでんじゃねぇよ!」


「タロウ!!口が悪いわよっ!!!」


「おいおい、チヨコそんなに怒らーー」


「空気は黙ってな!!」


「ヒィ!ごめんなさいぃぃぃ!!!」


「…はぁ、みんな落ち着いてよ」


 ただ一人黙っていた弟のツクシも小さくため息。


 怒鳴るタロウとチヨコにビビるシブサブロウ、食べるモミジに、ため息一つのツクシ。タロウの旅立ち前夜というのに、そんなことも忘れられ1日が過ぎていく。いつもと変わらぬ1日が…。




勇者ですが何か?講座


ーテルテルフォン(通称テルフォン)ー

現代科学と現代魔法のハイブリッドな高性能アイテム。

遠くの人との通信や通話ができたり、世界のニュースが見れたりゲームができたりと、大人から子供までもが持ち歩く。これを持ってない人はほとんどいない。タロウの妹、モミジは最近話題のSNS『グリッター・ブック』にどハマりしている。


ーーー良いですかみなさん。最近はみんなテル、フォン!テル、フォン!…とテル、フォン!依存の傾向があります。このままだとダメになりますよ。この間だって、歩きテル、フォン!にぶつかーーー

(ニュースLLS 3月放送時のハイテクアイテム廃絶したいの会会長、ガラン・パゴス氏の言葉)

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