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復讐を願う魂と拒絶されし者  作者: 聖天騎士
第一章 伸ばしたこの手を握ってくれるまで
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第二話 新たなる出会い

今回は主人公の語りだけではなくて、新キャラの語りもあるので長いです。

「誰か居ませんか・・・?」


 そうやって弱弱しく書庫の扉を開けたのは、僕と同じ位の少女だった。

 その幼くて弱り切った顔に似合わない綺麗な銀髪に水色を主張した中世の西洋風のドレスを着ていることから僕は、少女がどこかの貴族であることが分かった。

 僕は、少女に見つかることを恐れ隠れようとするも少女が必死に人を探していたためにすぐに見つかってしまい、


「よ、ようやく人に会えました。よかったです。」


 そう言いながら僕の元まで走ってそのままの勢いで抱き着いてきて、僕に笑顔を向けてきた。その少女は僕の体に顔を擦り付けながら笑っていて、なかなか進みそうになかったため僕の方から質問をした。


「ところで、僕に何か御用でしょうか?」


 そう質問すると少女はようやく我に返り僕から一歩下がり挨拶をするのだった。


「こ、これは失礼しました。私、フロリシア家の次女のイリス・フロリシアといいます。」


 そう言って頭を下げてきたので僕も挨拶をする。


「僕は、シルゼ・シャインゼルと申します。」


 そう挨拶をするが、僕はイリスの『フロリシア』という家名の方に意識を集中していた。

 何故ならフロリシア家はシャインゼル家と同じで六大貴族の一つであると聞いていたからだ。そんな六大貴族を相手に下手な手を打つと面倒なことになると僕は知っていたので、問題を起こさないように注意しながら話さなければならなくなったのだと思っていると少女の方から語りだした。


「実は、あることをお頼みしたくて人を探していました。」


 どうやらイリスは、僕が六大貴族であることに気づいていない様だが、油断だけはしないでおこうと思い答える。


「僕にできることなら喜んで致しましょう。イリス様」


 そう言ってなるべく明るい笑顔を作って答えると。


「そう言ってくれると有難いです。」


 そう返してきてイリスも少し頬を赤くして笑顔を見せるのだった。


「実は、この屋敷で今日、パーティーが開かれておりその場所まで向かわなければならないのですが、この屋敷を見て回っているうちにお父様とお母様とはぐれてしまって、此処が何処だか分らないのです・・。ですので私をパーティーの場所まで案内して欲しいのです。」


 そうやってイリスは事情を説明していくうちに目に涙を溜めながら泣くのを我慢していた。

 結論から言うと僕は、イリスを会場に連れていけるかわからない。何故なら僕はパーティー会場を知ってはいるがその会場に入れないので最後までイリスを連れていけないのだ。イリスを会場の近くまで連れていき一人で行かせることはできるが、会場が見える位置までイリスを連れていけるのか分からないからだ。

 しかし、此処にイリスを置いていくという選択肢も既に無いのだ。何故なら僕は厄介者とはいえシャインゼル家の一人なので迷子の客をほおっておくと家のメンツがつぶれるのだ。迷子の相手が六大貴族ならなおさらだが。

 そう考えているうちに僕は読んでいた本を本棚へ戻して優しくイリスの手を取り


「途中までなら案内致しますのでついて来て下さい。」


 そう言って僕は、イリスを連れて僕は書庫を出た。

 内心で自分の家族に会いませんようにと願いながら。




 ~イリスsaid~

 私の名前はイリス・フロリシアと申します。

 私は今、ある屋敷の中で迷子になっています。

 なぜ迷子になったのたというと、この屋敷に飾ってあるものに目を奪われてお父様とお母様と離れていることに気づかなくて気が付いたら誰もいないところにいたので急いで誰かを探しましたがなかなか見つからずにいましたが、最後の最後で本がいっぱいある部屋に入っていき、そこで奇跡は起こりました。


「誰か居ませんか・・・?」


 そう尋ねてみても誰の返事もないので諦めかけたその時に私は見つけました。黒髪の人が私から隠れようとしている所を。


「よ、ようやく人に会えました。よかったです。」


 そう言いながら私は私と同じ位の男の子に抱き着き、顔を擦り付けた人の温もりを感じている時に


「ところで、僕に何か御用でしょうか?」


 そう尋ねてくる男の子に気付き私は慌てて一歩下がり頭を下げて挨拶をすると男の子も自己紹介をしてくれた。


「僕はシルゼ・シャインゼルと申します。」


 シルゼと名乗った男の子は感情がない人形のような顔に整った黒髪、そして同じ位の男の子に比べては少し整った黒服を着ている姿がまるで生まれる前から着ていたような雰囲気を出していましたが、そんな事より私は今この状況をどうにかすることで頭がいっぱいで気にしていませんでした。ですので私は本題を語るために話しかけるのだった。


「実は、お頼みしたいことがあって人を探していました。」


 そう言って頼みごとをする前に


「僕にできるとなら喜んで致しましょう。イリス様」


 そう言って明るい笑顔を向けてくる男の子に戸惑ってしまう。


(なぜいきなりあんな笑顔をして来るのですか!?それよりもどうやったらそんな人形のような顔から笑顔を出せるんですか!?)


「そう言っていただけると有難いです。」


 心の中で思っていることは抑えて、笑顔を向けながら感謝を述べる。

 頬が赤くなっていることには気付かずに。

 そうして私は何故こんな所にいるのか、如何してこうなったのか、如何して欲しいのかを、目に涙を溜めながらお母様に教えられたとおりに語っていき男の子の反応を待った。そして男の子は読んでいた本を本がいっぱい置いてある所へ置き。


「途中までなら案内いたしますのでついて来て下さい。」


 そう言って私の手を優しく取って貰い、一緒について行きました。

 顔が赤くなっていることと胸がドキドキしていることを気付かれないようにと祈りながら。




 ~シゼルsaid~

 イリスと手を繋いで会場付近の道までを歩いて行き、子供でも直ぐにわかる道まで連れてくることに成功したことを伝えるために振り返ってみると


「イリス様。この先が会場ですが、大丈夫でしょうか?」


 そうやってイリスに尋ねてみた。何故ならイリスはずっと俯いたままで何も喋ろうとしなかったのが気になり体調でも崩したのかと思い聞いてみたところようやく反応し


「へぇ?え、ええ。大丈夫です。それよりもこの先が会場ですか?」


「ええ、そうです。あの大きな建物が会場になります。」


 そう言って指さした方向はまだ誰もいないシャインゼル家の本敷の庭だった。


「そこで今日、パーティーが開かれるので、待ったいればきっとイリス様のご家族が来てくれますよ。」


「そうですね。この先で待っていればきっと来ますよね。・・・」


「本当に大丈夫でしょうか?イリス様。」


「いえ、本当に大丈夫です。ただ、少しだけさみしいだけです。」


 そうやって少し寂しそうに笑うイリスにシゼルは、少し不安を募らせるが、本人が大丈夫と言っているし、それにこれ以上はイリスのご家族に任せようと思い気にしなくなりそして、


「では、イリス様。僕はこれで・・・」


「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」


 「失礼します」と言おうとすると突如として雄叫びのような声に気を取られてしまい、そこに向かって振り向くと


「イイイイィィィィ!リリリリィィィィ!ススススゥゥゥゥ!チャァァァァン!!!」


 そうやって雄たけびを上げながら走ってくるのは、見た目からしてドワーフ族を彷彿とさせる筋肉と獣のように睨み付けながら迫って来る一人の男性だった。


「うおおおおぉぉぉぉぉ!!よかったよぉぉぉ!!イリスちゃんが無事でよかったよぉぉぉ!!」


「もう!お父様ったら。はしたないですし、五月蠅いですよ。少しは静かにしてください。」


「そんな冷たいことを言わないでくれよ!!我が娘よ!」


 どうやらイリスに抱き着いているこの人はイリスの父親みたいだった。


「もう!お父様ったら、今は人前ですから辞めてください。」


「今は我とイリスしか見えんわい!!!」


「ちょっと!失礼ですよ。もう一人の方は迷っていた私を此処へ案内してくれた人なんですから。」


「なぬぅ!ならばしっかりと挨拶をしなければならないな。」


 そう言ってイリスを開放し立ち上がった人の筋肉はすぐに元に戻っていき、人間族に見えるようになったあたりではそこに一人の凛々しい貴族がそこに立っていた。


「我の名はヴェレス・フロリシア。イリス・フロリシアの父で六大貴族の一人だよ。よろしくな。」


 そう言って自己紹介をしたヴェレス様には先程の一人の父としてではなく、一人の六大貴族としての挨拶だった。


「僕の名はシゼルです。よろしくお願いします。ヴェレス様。」


「うむ。しっかりとした挨拶だな。小さいのにやるではないか。」


「お褒めに預かり光栄です。ヴェレス様。」


「よい。しかし、そなたの家名は何という?この屋敷にいるのだ貴様も貴族なのだろう?」


 僕はこの質問に答えられなかった。いや、答えてしまってはいけないのだ。

 なぜなら、僕はシャインゼル家の正妻の子ではないためシャインゼル家の弱点になる。そんな弱点を他に知られるわけにはいかないのだ。だから僕はこの質問に無言で答えるしかないのだ。

 しかし、無言でやり切れるほど六大貴族は甘くはなかった。


「なるほど。答えられない理由があるわけか。まあ、無理に聞くほど私も恩知らずではないのでねこの事については黙っておきますよ。アレイスター殿。」


 そう言ってさっきヴェレス様が走ってきた方向に向きを変えるとそこには我が父アレイスター・シャインゼルとその正妻のクリシア・シャインゼルと自分達の子供の三人を連れていたのだった。


「寛大な好意痛みいるよ。ヴェレス殿。この件はくれぐれも内密にしていただけると助かるよ。」


「なあに!貴殿の息子が我が娘イリスを此処まで案内してくれたのだ。そのくらいのことはお安い御用さ。お互い知らない仲でもないしね。」


 そう言って父と握手を交わしたヴェレス様は僕の方に来て


「坊主もありがとな!イリスを助けてくれてよう。」


 そう言いながら僕の頭を撫でてきたヴェレス様は父親としての顔で笑い、今度は僕の隣にいたイリスのほうを向いて


「ほらイリスも。こんな時なんて言えばいいのかちゃんと分ってんだろう。」


「うん・・・。」


そう言い、みんなの前に立ち、


「みなさん。ご心配をおかけして申し訳ありません。そしてイリスのことを探していただき有難う御座いました。」


 イリスは今にも泣きそうな涙を耐えてシャインゼル家のみんなに向かって頭を下げ感謝の言葉を述べた。そうして今度は僕のほうを向き


「そしてシゼル君、ここまで・・ヒグゥ・・案内してくれて・・ありが・・とう・・・。」


「よく頑張ったぞイリスはえらいな!」


 とうとう堪え切れなくなったのかイリスは泣きながらにして感謝の言葉を述べて泣き、父親に抱かれて泣いてしまった。

 しかしそれは仕方がないことだ、むしろ今までよく耐えたほうだと僕は思った。何故ならイリスは今日、この屋敷でシャインゼル家の大人を困らせた罪悪感と迷子になった不安でいっぱいだったのだ。

 だから今イリスは泣いていいと思う。手を差し伸べてくれる父親がいる限り。

 そして僕はそれが羨ましと思っている。僕が死んでも手に入らなかったものがそこにはあるから。




「すみませんが我らは帰ります。」


 イリスが父親の下でしばらく泣いたせいで疲れてしまったのかそのまま寝てしまいヴェレス様はイリスを連れて帰るようだ。


「致し方あるまい。我が息子の結果はまた来た時にでも教えよう。」


「そうしてもらえると有難いです。では、妻を拾って帰ります。」


 そう言って言うが早いか颯爽とその場から姿を消したヴェレス様を見送った後、次の標的がヴェレス様から僕に変わった父が僕を睨んでいた。


「さて、言い訳を聞こうか?」

今回は前回までの文字数よりだいぶ多く書いてしまったがために疲れたよ、しかーしこんな調子でも聖天騎士は頑張っていきます。いつものように感想もどんどん待ってまーす

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