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復讐を願う魂と拒絶されし者  作者: 聖天騎士
第一章 伸ばしたこの手を握ってくれるまで
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プロローグ

                      プロローグ


 僕は高校でイジメを受けていた。その高校で僕は一人だった。ただイジメを受けているからという理由だけで一人だった。なぜ苛められるようになったのかも知らないのに、僕の周りには誰一人として僕の味方はいなかった。高校の先生でも、家族ですら僕の味方をしてくれはしなかった。だから僕は一人で存在するのだ。この世界での生にそして、この世界の悪意という悪魔の感情にいつか復讐すると誓って。

 そんなある日、僕は一人で学校の屋上を使って小説を読んでいた。

 何時もの様に休み時間を使って小説を読み、休み時間が終われば教室で授業を受けて、授業が終われば家に帰ってまた一人になる。ただそれだけの日々を繰り返すただそれだけだったはずなのに。

 その日だけは違ったのだ・・・


「よう、屑野木。今日もまた一で本を読んでんのかよ?」


 そう言いながら屋上の扉を開けて僕の空間に近づいてくるのは、僕をイジメている主犯格の一人、一年B組の吉村 翔馬とその仲間の二人が僕に近づいてきた。

 ちなみに僕は一年C組の樟 刹那であって屑野木という名前ではない。


「テメェはいつも一人でいて何が楽しいんだよ!なんでこの学校に来てんだよ!目障りなんだよ!とっとと消えて居なくなれよ!そこら辺のゴミ屑のように消えちまえよ!」


 そう言って僕が読んでいた本を蹴り飛ばし、髪の毛をつかんで投げ飛ばし僕の顔や体を三人で殴ったり蹴ったりしてきた。

 だが、そんなことをされても僕は反撃に出ることもなく、抵抗することもなく、ただただ三人の暴力に何も示さないその反応を見て吉村たちはさらに激怒し。


「なんでテメェみたいなのがのうのうと生きてんだよ!テメェみたいなのがなんで生きてるんだよ!なんで死なないんだよ!この世界にはテメェの味方なんて一人もいないのによう!敵しかいないこの世界でなんか生きている理由があるもかよ!ねえよな!テメェみてえな虫けらのゴミ屑に生きている理由なんて何もないよな!」


そう言いながら僕を手すりの所まで飛ばし、無理やり立たせさらに殴る蹴るの暴行を三人で続ける。


「こうやって何時も殴られていて何が楽しい!何時もボコボコにされて何が楽しい!なんで何時もそんなに無抵抗でいられるんだよ!なんで平気でいられるんだよ!正直うぜぇんだよ!なんで死なないんだよ!死ねよ!!」


 そう言って最後の仕上げとばかりの様に僕の足から持ち上げて手すりの向こう側へと落としてきた。屋上から落とせば確実に死ぬだろうという事を吉村たちは分かっててやっているのだ。今の行為も今までのように樟なら抵抗しないだろうと思っていたからだ。

 しかし現実は違った。僕は手すりに摑まり生きていたのだ。

 これを見た三人はマズいと思った。何故なら今まだ自分たちの暴行を抵抗しないで受けていたから今回も抵抗しないだろうと安直に考えおり、たとえ死んでもこれは自殺だったと言い通せばいいと考えていたからだ。しかし現実は抵抗され、さらに下では騒ぎになっており自分たちの姿が完全にみられてしまいどうやっても言い逃れできない状況になってしまったのだ。


「おい!どうするんだよ!このままじゃ俺たち殺人犯になっちまうぞ!」


「俺が知るかよ!それよりもなんで今回に限ってこの屑は抵抗するんだよ!とっとと死んじまえよ!」


「そんなこと言ってる場合かよ!早くこの状況をどうにかしないと俺たち全員どうなるか判んねえんだぞ。」


「うるせぇ!そんな事言われなくても判ってんだよ。」


 そうやってこんな状況化の中で言い争いをはじめ冷静な判断ができなくなり、ついに吉村がある行動に出た。


「こうなったらもう如何なってもいい!こいつをこのまま落として殺す!どうせこいつは誰の味方のいない屑なんだ。死んだところで誰も悲しまねぇし、誰も泣きやしねぇ。たとえ俺たちが疑われても無理にでも自殺だって通せばいいんだ!」


「そ、そうだな。どうせこんなやつのこと誰も心配しねぇもんな。」


「だな。」


 そうやって僕を殺す決意を固めた三人を見て僕はこの理不尽な自分の生と悪意という悪魔の感情を呪った。


(ふざけるなよ!なんで何もしていない僕がイジメを受けないといけないんだよ!なんで僕の周りには味方が誰一人としていないんだよ!なんで先生はこんなことになっても助けにも来ないし止めにも来ないんだよ!なんで家族ですら僕に手を差し伸べてくれないんだよ!理不尽だろ!僕が何か間違ったことでもしたのかよ!なんで生きることを否定されなければならないんだ!なんで死ななければならないんだよ!)


 そう僕が思っているうちに三人は手すりに摑まっている僕の手を外していき


「あばよ。このゴミ屑!」


 全ての指から手すりを外しそう言われて僕は落ちていく。学校の屋上から地上までの短くて長い距離を落ちていく。そして僕は叫んだ。


「絶対に復讐してやる!僕を見捨てたやつを!僕に手を差し伸べてくれなっかった家族を!僕を殺してくれたお前たちを!そして、悪意しかないこの腐った世界を!!絶対に復讐してやる!!!!」


 そうして僕はこの短い生に終わりを告げた。そしてその隣には蹴り飛ばされていた一冊の本が落ちていた。

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