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神様の異世界放浪記(仮)  作者: senkou
第一章 赤龍編
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盗賊

月明かりが明るいと言っても、暗く道が悪い森は少し歩いただけでも、汗が出てくる。

体がだるい。

長いこと寝ていたせいか、体がなまっているのかもしれない。


「はぁはぁ、くそ!

民家の一つもないぞ」


愚痴が口からこぼれだす。


下り坂になる気分を落ち着けるために、近くの手頃な岩に休憩を兼ねて座った。


本来であれば森の中で遭難した場合、連絡を取り救助を待つべきなのだが、あの場所にカプセル医療器があることを知っている人間がいるのであれば、俺をあのままにしているわけがないはずだ。

知っている人間がいない可能性が非常に高いのと、あの部屋に年単位で人がないっていなかった事実もある。

ただ、座して待つだけではダメだと思った。


「地図も道も何もない。

どーすればいいんだよ......」


現実は厳しいのである。


じっと地面を見ながら、世界の厳しさを恨んでいたのだが、ふと目線を上げてみると前方に煙が上がっているのを見ることができた。

500mぐらい先だ。

山火事などではなく、狼煙のような細い煙だ。

焚き火でもしているのだろうか?


人がいる!?


疲れている体が嘘のように煙が立つ場所に向かって走り出した。

ようやく見つけた手がかりを逃さないために。


そして、そこには三人の男がいた。

一人は背が低く小柄、一人は背が高い痩せている男、最後の一人は太っているががっちりとし体の男だ。

全員フード付きのマントをきている。

三人は焚き木を取り囲んで酒を飲んでいたのだった。


俺はそれを見て、

「なぁ、あんたたちここで何しているんだ?

俺はヤマト、道に迷っているんだけど助けてくれないか」

と、声をかけた。


三人の男はこちらを見ると、警戒心をむき出しに叫んできた。


「ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「ーーーーーーーーー?」

「ーーーーーーーー!!!

ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


英語でも日本語でもない。

聞いたこともない言葉だ。


この世界が異世界であろうが別の星であろうが、言葉が通じない可能性を全く考慮していなかった。


いきなり知らない言葉で話しかけられたら、警戒するのは当たり前だろう。


俺は両手を上げ相手に手のひらを見せながら近づいていった。

争うつもりはないと伝えるために。


しかし、それを見た三人に反応は激化した。

警戒から敵意にシフトしたのだった。


諦めずに声をかける。


「待ってくれ!

話がしたいだけなんだ!」

「ーーーーーーーーー!!!」

「ーーー」

「ーーーーーー!!!!

ーーーーー!?

ーーーーーーーーーーー!」


三人の怒号が返ってくるだけだった。


敵意を感じてジリジリと下がる。

三人はバラバラになり、俺を包囲するかのように移動してくる。


その瞬間とんでもない頭痛に襲われた。

時間はわからないが意識が飛んでいた可能性すらある。

例えるなら、頭蓋骨を万力で締め付けるような痛みだ

耐えられるわけがなかった。

頭を抱えうずくまる。


俺の様子がおかしいことに驚いた三人は

「なんだてめえ!

怪しってもんじゃねーぞ!!」

「殺すぞ」

「呪文でも失敗しやがったのか?

俺らに喧嘩売る割には間抜けな魔法使いだなぁ!!!」


と、俺に向け敵意を発したのであった。


言葉がわかる!!?

なぜだ?

相手が日本語を使ってくれたのか?


まだ痛みの余韻が残る頭を振り絞り、思考を巡らす。

今なら、こっちの言葉も伝わるのではないか?


「怪しい者じゃない!

道を教えてほしかっただけなんだ!」


おれは再度両手を上げて、三人に語りかけた。


「てめぇ、喧嘩売ってんのか!!

わけのわからない言葉を使っておれらに挑発までしやがって」

「まだやる気なのか?

バカなのか?」

「冥土の土産に教えてやるよ、よそ者!

ここいらじゃ、手のひらを相手に突きつけるのはお前を殺してやるという意味があるんだよぅ」


ガタイのいい男は怒りの顔をニヤリと歪ませ、おれが行った間違いを指摘した。


「知らなかったんだ。

別に敵意があるわけじゃない!

ただ助けてほしかっただけなんだ!!」


必死に弁明する。

それを見てガタイのいい男は大声で笑う。

それにつられ二人の男も笑う。


許してくれたのかと安心すると、ガタイのいい男は

「知らなかったんだ仕方ないよな!

でもよぅ、盗賊に喧嘩を売ったら殺されるこんなことはどこの世界でもおなじだよなぁ?」


最高の笑顔で言うのであった。


次の瞬間、小柄な盗賊がナイフを取り出すと俺に向かって襲いかかってきた。


意識もせず反射で全力で横に飛び出す。

汚れることや怪我をすることなんか二の次。

生存本能だけが俺の体を動かしたのだった。


そして、そのまま全力で逃げ出した。


「逃がさないぜぇ!!?」


命をかけた鬼ごっこが始まったのであった。

プロローグへ続く

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