隣の部屋のあの人
中途半端で終わってます……ほんとにすみません。
「異常なんて有るわけねぇだろ、隣人さん。」
そう言いながら入ってきたのは背の高い二十代くらいの細身の男性だった。病院着と点滴の棒に重心をかけながら立つ姿はどことなくぼんやりとした、印象に残りづらい雰囲気だ。行きなり入ってきたその人に対応が遅れる。
「舞神島から天下に轟く大企業押見コーポレーションの治療だ。あいつがそんなにやわなのするわけない。おっと、紹介が遅れたが、俺は隣の病室の国村弥太郎と言うんだ。この階でずっと一人だったんだが隣に入ったって聞いて興味湧いてな、つい来てしまった。どうも暇でな。確かこうざきかねめとか言ったっけ。」
「こうざき かなめです、国村さん。よろしくお願いしますですかね?」
「おう、何でもここ暫くで能力者になったそうじゃないか、不安だろ、お前。にしても担衣は相変わらずスカート似合わないのな。で、明日押見本邸で話し合い、だっけか。お前さんも大変だなぁ。」
淡々と聞いているはずがない事を述べる国村に緊張感を強くする。先程まで担衣と話していた時は二人っきりで、ドアのそばにもどこにも気配は感じなかったのだ。国村は何故知っているのか。カマをかけてみることを思い付く。
「へぇ、おかしいですね、その話は担衣と僕意外知らない筈なんですがね。」
話す毎に空気が重くなっていくのを感じる。重たい空気をはねのけながらまた一言言おうとしたとき、国村は背後にてを回し・・・・・・チェス盤を取り出した。要が大好きなゲームの一つ、チェスを。
「これが、好きなんだろう?」
国村は首から下げた鎖時計を見せるように出す。金色のそれはかなり年期が入っているものの、綺麗に磨きあげられていた。その金時計が何かの能力を持った遺物であることは要にもわかった。