壊とカナ
カナ「志乃様、お下がりください。もう、志乃様を巻き込む訳には行かないので。」
壊「カナちゃん、俺らが志乃のせいで何されたのか忘れたの?」
志乃「あたしのせいでって…」
カナ「志乃様は関係ない!」
壊「まぁ、いいよ。なぁ、カナちゃん?最後だ。こっち側にこない?」
カナ「あたしは、そっちに行かない!」
壊「わかった。なら…」
壊は刀を抜き、カナに斬りかかる。カナも刀を抜き、壊の刀を止める。
カナ「壊ちゃん、目が死んでるよ?」
カナは、笑うように頬を引きつらせ言う。
壊「俺らは、もともと歩く死人だ。ここに、居てはならない人間だ。」
カナ「あたしらは、まだ死んでない!」
壊「死んでんだよ!」
壊はカナから離れた。
カナ「壊ちゃん。あたしらは、まだ死んでない。」
カナは、そう言い自分の頬を軽く斬った。そこからは血が湧き出る。
カナ「あたしらには、みんなのと同じ血が流れてる。みんなが生きているように、あたしらも生きてる!」
壊「みんなが生きているように?俺らは、『みんなが』じゃない。『俺や私』なんだ。俺らは、選ばれたんだ。カナちゃんは、その自覚があるの?」
カナは、頬の血を袖で拭く。そして、笑う。
カナ「選ばれた自覚?ふっ、誰に?(笑)不平等な世界にか?」
カナの表情が一変した。
壊「なんだ、可愛らしさがなくなったよ?」
カナ「可愛さ?ぅんなの、ガキの頃に捨てたさ。あのクソみたいな時にな。」
壊「なんだ、昔みたいになってるよ?」
カナ「昔?」
壊「そう。俺と出会った時。親に捨てられた時さ。親に捨てられ、孤児院に預けられ、殺し合いの生活。」
カナ「捨てられた?違うなぁ。殺したんだよ。捨てられる親もいねぇ〜よ。」
壊「だから?恨みがないわけ?俺はこの不平等な世界が嫌いで嫌いでしょうがねーんだよ。カナちゃん、一緒に壊そう。この世界を。」
カナは、壊の差し出した手に手を伸ばそうとした。
志乃「カナ!!」
カナは、はっとしたかのように手を止めた。カナは、志乃に微笑みかけた。カナは、壊に刀を振った。
カナ「言っただろ?あたしは、あんたとは組まないんだよ。」
壊は笑った。
壊「なんで?カナちゃんもこの世界に恨みを持っているはずだ!なのに!」
カナ「あんたのその恨み、あたしが全部もらってやるよ。」
壊は、カナにおもいっきり振りかかった。
カナは、刀2本で、その斬撃を止めた。
カナ「あんたは、これでいいんだ。」
そして、激しい斬撃戦が始まった。壊は、刀を大きく上へ振り上げ、カナはそれを軽々しくかわす。しかし、壊のもう1本の刀はカナの首目掛け、振られる。カナは、その刀を止めた。そして、もう一方の刀で、カナは首を斬ろうとする右手の肘から下を切り落とす。
壊「いって…だがなぁ、腕の1本、くれてやるよぉ〜!」
壊は、左の刀で、カナの首を斬った。はずだった。グチュ。カナの刀が壊の心臓を貫く。カナはニヤリと笑う。
カナ「勝負ありだなぁ。」
しかし、壊はまだ立っていた。
カナ「侍は、常に冷静でなければ、まともに戦えないんだよ。」
壊は、その場に膝をつき、血を吐く。
壊「ゴポッ。なんで…」
カナ「ごめんね。壊ちゃん。気付いてあげれなくて。あとでいくから。」
そして、壊の息は途絶えた。
志乃「壊…」
カナ「志乃様、お願いがひとつありまして。よろしいでしょうか?」