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平成侍  作者: Aki
9/11

壊とカナ

カナ「志乃様、お下がりください。もう、志乃様を巻き込む訳には行かないので。」

壊「カナちゃん、俺らが志乃のせいで何されたのか忘れたの?」

志乃「あたしのせいでって…」

カナ「志乃様は関係ない!」

壊「まぁ、いいよ。なぁ、カナちゃん?最後だ。こっち側にこない?」

カナ「あたしは、そっちに行かない!」

壊「わかった。なら…」

壊は刀を抜き、カナに斬りかかる。カナも刀を抜き、壊の刀を止める。

カナ「壊ちゃん、目が死んでるよ?」

カナは、笑うように頬を引きつらせ言う。

壊「俺らは、もともと歩く死人だ。ここに、居てはならない人間だ。」

カナ「あたしらは、まだ死んでない!」

壊「死んでんだよ!」

壊はカナから離れた。

カナ「壊ちゃん。あたしらは、まだ死んでない。」

カナは、そう言い自分の頬を軽く斬った。そこからは血が湧き出る。

カナ「あたしらには、みんなのと同じ血が流れてる。みんなが生きているように、あたしらも生きてる!」

壊「みんなが生きているように?俺らは、『みんなが』じゃない。『俺や私』なんだ。俺らは、選ばれたんだ。カナちゃんは、その自覚があるの?」

カナは、頬の血を袖で拭く。そして、笑う。

カナ「選ばれた自覚?ふっ、誰に?(笑)不平等な世界にか?」

カナの表情が一変した。

壊「なんだ、可愛らしさがなくなったよ?」

カナ「可愛さ?ぅんなの、ガキの頃に捨てたさ。あのクソみたいな時にな。」

壊「なんだ、昔みたいになってるよ?」

カナ「昔?」

壊「そう。俺と出会った時。親に捨てられた時さ。親に捨てられ、孤児院に預けられ、殺し合いの生活。」

カナ「捨てられた?違うなぁ。殺したんだよ。捨てられる親もいねぇ〜よ。」

壊「だから?恨みがないわけ?俺はこの不平等な世界が嫌いで嫌いでしょうがねーんだよ。カナちゃん、一緒に壊そう。この世界を。」

カナは、壊の差し出した手に手を伸ばそうとした。

志乃「カナ!!」

カナは、はっとしたかのように手を止めた。カナは、志乃に微笑みかけた。カナは、壊に刀を振った。

カナ「言っただろ?あたしは、あんたとは組まないんだよ。」

壊は笑った。

壊「なんで?カナちゃんもこの世界に恨みを持っているはずだ!なのに!」

カナ「あんたのその恨み、あたしが全部もらってやるよ。」

壊は、カナにおもいっきり振りかかった。

カナは、刀2本で、その斬撃を止めた。

カナ「あんたは、これでいいんだ。」

そして、激しい斬撃戦が始まった。壊は、刀を大きく上へ振り上げ、カナはそれを軽々しくかわす。しかし、壊のもう1本の刀はカナの首目掛け、振られる。カナは、その刀を止めた。そして、もう一方の刀で、カナは首を斬ろうとする右手の肘から下を切り落とす。

壊「いって…だがなぁ、腕の1本、くれてやるよぉ〜!」

壊は、左の刀で、カナの首を斬った。はずだった。グチュ。カナの刀が壊の心臓を貫く。カナはニヤリと笑う。

カナ「勝負ありだなぁ。」

しかし、壊はまだ立っていた。

カナ「侍は、常に冷静でなければ、まともに戦えないんだよ。」

壊は、その場に膝をつき、血を吐く。

壊「ゴポッ。なんで…」

カナ「ごめんね。壊ちゃん。気付いてあげれなくて。あとでいくから。」

そして、壊の息は途絶えた。

志乃「壊…」

カナ「志乃様、お願いがひとつありまして。よろしいでしょうか?」

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