奏の罠
壊「ね?奏だっけ?」
カナ「あたし達は、まだ弱いよ?あの子に比べたらね?」
奏「あのとは?そんな情報は入ってない。」
壊「そりゃ、そーだ。」
カナ「だって、その子、あんたらが今、刀で止めてんじゃない?」
奏「刀…まさか!」
壊「そーゆこと」
壊とカナは、奏の刀を振り払った。
奏の刀は、奏から離れた木に振り払われた。
奏「あなた方の刀は、もともと人だったって事ですか…。禁術『輪廻転生』を使ったのですね。」
壊「そう。大事な人なんだ…俺らにとって…」カナ「先代の、先代を真似て作ったんだ。あたし達を助けてくれた。あたし達の憧れだから。」
奏「先代ってことは、菊松 楓[キクマツ カエデ]と、菊松 蓮[キクマツ レン]ですね。」
壊「俺たちは助けられたんだ。救われたんだ。だから、今度は俺たちが先代を守る!もう、泣かなくて済むように!」
カナ「だからさ?奏、ここで死んでくんない?あたし達、そんな本気で殺らないからさ。」
奏は、刀の飛ばされた木に瞬時に移動し、刀を持って、元の場所に戻ってきた。
奏「1つ、不快な発言があります。本気で殺らないとは、ウチの侵害なる言葉。撤回していただけますか?」
壊「俺たちが本気になったら、あんたらのどころか、世界が終わるんだぜ?」
カナ「あたし達だって、生まれ、名をもらった時から刀握ってんだよ?撤回なんて、しないよ?」
奏「では、力尽くでも撤回していただきましょう。」
そう言うと、奏は壊とカナの下で既に構えていた。
奏「では、始めましょう。」
カナ「へー、面白いね〜」
奏は、しゃべているにも関わらず、刀を2本振り上げた。壊とカナはその場を離れず、かわした。
カナ「壊ちゃん、これをみてどう思う?」
壊「俺の始め方と同じだね〜。全く全部。相手は、コピーをするんだね〜。」
カナ「そ〜考えたら、前の落魔も奏と同じところから来てるね。」
壊「なんだ、見てたんだ。」
カナ「知ってたくせに。ポケットに、鬼灯入れてあげたじゃん。」
壊「まぁーね」
奏「これだけで、これぐらいは分かる脳はお持ちで良かった。ですが、世間話は閻魔様の前で行い下さい。」
奏は、次の攻撃を仕掛けて来た。
壊「さっきのが、俺なら次は…」
奏「残念ながら…」
壊「いや、こうかな?」
壊は、微笑んだ。壊は背中に手を回し刀の平地で、奏の刃先を止めた。
壊「へー、あんたって、苦しみながら死んで欲しいタイプなんだ。でも、残念!」
奏「何故、この一撃でそのようなことが?」
壊「だって、肺刺そうとしたじゃん?」
奏「頭が切れますね。私はあなたの言うような人間です。」
壊「そ〜だと思った。で、今から、俺の後とろうとしてるだろ?」
奏「そのようなこと」
壊「残念!外しちゃった系?まぁ、もう遅いけどね?」
奏「何が?」
カナ「あんたが考えてたこと。」
カナが言った。奏には、全く分からなかった。壊との戦いに夢中になっていて、カナがついさっきまでいなかったことに気づかなかった。
奏「どういうことですか?」
カナ「あんたは、1人じゃないんだね?」
奏は、さっきまでの人を見下すような目を、大きく開いた。
壊「あんたは、1人で奏じゃない。2人で奏だろ?」奏「何故わかったんです?」
奏は、大きく開いたその目で壊とカナを睨んだ。
カナ「さっき、あたしに言ったじゃない?〈あんただけが水で、刀は本物〉って聞いたら、〈どちらも実物〉だって、答えたろ?」
奏「そうゆうことですか…つまり、私の言葉の中に矛盾が起きているということですか。大きな失態をしたものです。で、奏[カナデ]は?」
カナ「さっき、殺したよ。」
奏「そうですか…」
壊「なぁ、あんたに聞きたいことがあるんだ。」
奏「何でしょう…」
壊「俺の記憶を消した奴は誰で、あんたらの目的は?」
奏「どちらも、お答えできません。と言いましても、私共も何も知らないのです。私共は、単なる駒でしかないのですから。でも、1つ。先代の侍、菊松なら何かわかるかもしれません。」
カナ「菊松さんたちが…」
奏「私を、殺して下さい。奏のいない世界に居ても意味がありません。」
壊「俺らを殺さないの?」
奏「私1人じゃ無理です。奏がいないと。結局、帰っても殺されますし。」
奏は、大きな頭を下げた。
カナ「あんたは、死ななくてもいいさ、帰らなくても。」
そう言うと、カナは鬼灯を奏に渡した。
奏「鬼灯?」
カナ「奏のところへ行き、顔の近くで潰しな。生き返るから。」
奏「ありがとうございます!」
カナ「いえいえ。」
奏「あっ、1つ言い忘れてました。菊松 志乃の家には、私以外の者が行っております。」
そう言うと奏は、笑った。
壊「志乃が危ない!」