新たな侍見習い
志乃「てかさ、あんたの事教えてよ。契約者なんだし。」
壊「え〜、秘密♡」
壊は、体をくねくねさせている。
志乃「キモいから」
壊「ヒドイなぁ〜、いいよ!俺の事でしょ?」志乃「そ、話せるところまででいいから。」
壊「フッ(´ω`)気遣ってくれてんの?そりゃ、ありゃがと。なら、そーさせてもらうよ。俺はね、3年前の4月9日にビルの屋上で、死んだんだ。で、その時は10歳だった。今の志乃ちゃんと同い歳。で、男の子。ただ、それだけの悪魔さ。」
志乃「それだけって…どうゆうこと?」
壊「そのままさ、それ以外は分からないんだ。記憶がないんだ。」
志乃「へー」
壊「へー、だけ?」
志乃「いや、あんた悪魔でしょ?悪魔になる奴は、何かやらかした奴なんだよ。」
壊は、志乃を睨んだ。
壊「なんだ、なんか知ってる奴の言い草だねー。」
志乃「あんたの事、知りたくなっちゃった。」壊からは、殺気が漂っていた。
壊「まぁ、俺も知りたいしね。あと、1つだけ。危ないと思ったら、検索はしない方がいい。この名前も地獄から貰ったものだからな。本名すら、知らない。知らないって、怖いな。」
壊は、薄く透明な手を見ながら言った。
志乃「ねー、一緒に取り戻そうよ。記憶。あんたの事、面白そうだし。」
壊「ほんと?ありがとう」
壊は、志乃に頭を下げた。
志乃「でも!!1つ条件がある。」
壊「なんでも、言って。」
志乃「あたしにさ、剣術を教えて欲しいんだ!!」壊「剣術?なんで剣術なんて?」
志乃「あたし、侍になりたいんだ!平成の侍に。」
志乃の目は、本気だった。
壊「僕に出来るか分からないけど、やれることはさせてもらうよ。」
志乃は、部屋クローゼットを勢いよく開いた。そして、中のタンスから、細長い風呂敷を出し、壊に投げ渡す。
壊「これって、紅葉[もみじ]…」
壊は、その風呂敷を触った瞬間、何かを感じ取ったかのように言った。
志乃「壊、よく知ってるねー。それね、3年前、2人の平成侍が使っていたんだって。まぁ、2人とも二刀流で、4本あるはずなんだけど、1本しか見つからなくて。」
壊は、[紅葉]をずっと眺めている。
壊「この刀の事、教えてよ…」
そー、眺めながら言った。
志乃が、違和感を感じるほどの眼力で壊は見てた。
志乃「いいけど。その4本には、1つずつ名前があって、枝垂桜·鬼灯·紅葉·椿。最後の平成侍の使っていた刀。その2人が好きだった花の名を刀につけた。確か、紅葉の花言葉は…大切な思い出」壊「大切な…思い出…」
その時、壊の頭の中で女の子がこちらを見て微笑んでいる映像が流れた。
太陽の光で、顔はあまり見えなかったが、
彼女は言っていた。
女の子「大切な思い出…いい言葉ね。きっと、この子も喜ぶわ。」
そこで、映像が途絶えた。
その時、女の子と話していたのは自分だろうと壊は確信した。
しかし、その女の子が誰で、その時何の話をしていたのかも分からなかった。
志乃「どうしたの?」
壊「いや、なんでもない。」
壊は、さっきの女の子の事は黙っとく事にした。
壊「で、なんで[紅葉]を俺に?」
志乃「使いたいのは、やまやまなんだけど、鞘から抜けなくてね。あんたなら、使えるかなぁーって。力強そーだし。」
壊「ふーん、なら使ってみよっかな。」
壊は、風呂敷から[紅葉]取り出し、鞘から抜く準備をした。
志乃は、見ていることしか出来なかった。
壊「いくよ!頼む、抜けてくれ![紅葉]!!!!」