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CoCoa  作者: 王様の文庫本
2/2

tea spoon 1

月めくりのカレンダーが、残り一枚となる季節。

ラスト二枚目をめくるとき、「今年ももうすぐ終わりか」なんてつぶやきそうになるかもしれない・・・人によって様々な思惑が飛び交う月である。

そして、小さな青年井出卓也がため息をついたのは、邪念がもっともあふれるころだった。

わかりやすく簡潔に言えば「クリスマス」という行事の一週間前である。

街にはぞろぞろとお散歩中の牛さんが通るかのように、ゆっくりとだが確実に赤・白・緑の三色ムードが漂い活気づいていた。

そんな迷惑な雰囲気が晩年より明らかににぎやかなのは、ここのところ降り続いている真っ白なロマンスの塊のおかげである。

ホワイトクリスマスなんて言ったりするが、働く皆さんにとっては賛否両論ある厄介者だろう、うん。

だが営業という仕事は、そんなことはお構いなしに舞い込んでくる。入社一年目の去年は辛かった。

今年ほどではないが雪が降り続き、ほっカイロが必需品であったことを昨日のように覚えている。

カイロをこすりながら横目で、すれ違うカップルたちに皮肉を言いたくなるのは、冴えない男の心情だ・・・と思いたい。

かわいいわが子に貯金をおろすサンタや、かわいい恋人にブランドのバッグをせがまれるサンタもぞくぞくと増え、冴えない男は惨めな男へと昇格する。

そんな中、たまに看板を持ってティッシュをくれるサンタを見るたび、自分のことのように思えてくるのはなぜなんだろうか・・・

とにかく今はそんな、身にも心にも寒い季節である。


目の前の女の子は、「ぐぅ」と鼻を鳴らしながら寝ている。

どうにも平和そうで、ここが本当に自分の部屋なのか疑問に思うほどいびきが5畳間にこだまする。

後ろを振り返ると見慣れたキッチンが、かかわりを持ちたくないと言うかの様に黙りこんでいた。

リビングに目を戻す。キッチンに続く引き戸の反対側にある壁、つまり卓也の正面にはベランダに通じるガラス戸があるが、今はカーテンが閉められていて見えない。

その左側の隅には、小さめの台に乗った15インチほどの今は懐かしきビデオデッキ付きのテレビが部屋を見渡すように置かれている。

テレビの上には申し訳程度に、黒く質素な時計がPM11:00を指して居座っている。

またその左側を見ると、どこで買ってきたのか壁を覆いつくすほど大きいコルクボード

が掛けられており、昔の写真やメモ、カレンダーなどが貼ってある。

下には、洗濯物が綺麗に折りたたまれて積まれている。卓也はここから服を取っているので棚はない。

反対側の壁を見ると、ハンガーが掛けられるようにでっぱりが取り付けられており、ハンガーには黒のスーツが一着、埃をかぶっている。

その下には、この部屋を支配するかのようにシングルベッドが鎮座している。

そして部屋の真ん中には、一年を通してこたつが置いてあり、その上には小さなかごが置かれていて、爪切りやらはんこがごちゃごちゃと詰め込まれていた。

どれを見ても自分の部屋だ。

だんだんとこの部屋に血が通ったように活き活きと見えてきた。

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