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異世界転生、担当はハワイ帰りの神様

気が付くと、俺は野原の真ん中に立っていた。

夜空には星がびっしり。数えるどころか、五個数えた時点で「もう無理」って諦めるレベル。


「ここ……どこだ?」


辺りを見回す。誰もいない。静かだ。

――いや、一人いた。


アロハシャツを着て、鼻歌まじりで空中にぷかぷか浮かんでるおっさんが。


空中に。


「なんで空中?」


「なんでって、神様だから?」


いやなんで疑問形なんだよ。


「ていうか、アロハシャツ着た神様とか、存在してほしくないんだけど」


「しょうがないだろう。さっきまでハワイ旅行楽しんでたんだから」


神様のバカンス事情は知らん。


「で、信じる? 俺が神様ってこと」


「うーん……飛んでるし、信じざるを得ないというか。詐欺にしてはスケールでかいし」


「ふーん」


自分で話振っといて「ふーん」ってなんだ。せめて「おお!」とか言えよ。


「じゃ、本題いこっか。君を呼んだ理由は――」


あ、この流れはまさか……


「異世界に転生させようと思う」


「……………………………………………………まじっすか」


「反応薄っ! なんだその無駄に長い沈黙」


いや普通こんなもんだろ。

ていうか「まじっすか」以外の返しが思いつかなかったんだよ!


「ってことは、俺……死んだの?」


「そうだよ。ドアの角に小指ぶつけて、転んで、後頭部強打して、そのままポックリ」


「やめろ! 俺の最期をそんな三段落ちコントみたいに語るな!」


「いやぁ、可哀想だったから転生させてあげるんだよ。死因に感謝しな」


「死因に感謝するやついるか!?」


なんなんだこの神。テンションだけハワイ仕様か。


「で、転生先はやっぱり剣と魔法のファンタジー?」


「うん、まぁそんな感じだね」


「それで、チートくれるんでしょ!?」


「うん……そのつもりだけど」


「チート無双キタァァァァァァァ!!」


星空に俺の歓声が響き渡った。いいじゃん、叫ぶよ! チートだぞ! 無双だぞ!


「転生宣告より反応でかいんだけど」


「いや当然だろ!? 人生二週目とかよりチートの方が重要!」


神様は苦笑してから、急に真顔になった。


「ひとつ注意。君の“魂の器”に入る分しか能力は与えられないんだよ」


「器オーバーしたら?」


「魂ごと爆散するか、運良く爆散しなくても暴走して、僕ら神様にデリートされる」


「おい! リスクでかすぎだろ!!」


「大丈夫大丈夫。ちゃんと調整するから。絶対に失敗しないよ」


「フラグっぽい言い方やめろ!?」


「まぁ、どんなチートかは向こうに行ってのお楽しみってことで」


「いやそこ大事だろ! 情報公開はよ!」


「はいはい。じゃ、そろそろ飛ばすね」


「ちょ、まだ心の準備が――」


「君の第二の人生(人じゃないかもしれないけど)が幸多いことを祈ってるよ」


「人じゃないかもってどういう意味だァァァァァ!?」


「バイバーイ!」


陽気に手を振るアロハシャツ。

その瞬間、俺の体は光に包まれ、異世界へと強制送還された。


こうして俺のチート職業人生(?)が幕を開ける。

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