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日々奔走  作者: 政宗
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におい

 マスクをするようになって、4年が経つ。

 2024年の酷暑には、流石にマスクを着用したままでは息苦しくなって、久しぶりにマスクを外して会社から家までの帰路を歩いた。

 ふと、この街はこんな匂いだったのかと思った。

 漫画や小説でたまに耳にする"街の匂い"は、雰囲気や性質、そこに住まう人々の気質など、何かのメタファーだと思っていたので、まさか本当に存在するとは思っていなかったのだが、はっきりと、自分の鼻腔はそれを捉えた。

 初めて嗅いだはずの街の匂いは、なんだかやけに懐かしい匂いがした。

 人間の嗅覚が麻痺しやすいというのは有名な話だが、恐らくコロナ禍より以前の自分達は、この街の匂いを日常的に嗅いでいた事に気付いていなかっただけだったのだろう。

 常にそこにあった街の匂いを、4年もかけてマスクで遮断していたお陰で、ようやくその輪郭を掴めるようになったのかもしれないと思うと、少しだけ得をした気分になった。




 これは完全に余談だが、鼻の奥が痒くて痒くてたまらなくなり耳鼻科へ行ったら蓄膿になっていたことが判明した。

 一瞬ただの鼻炎だと診断されかけたが、恥を忍んで先生に「最近痒いだけじゃなくて……その、鼻くその量もすごくて」と話すと、渋々レントゲンを撮られ、数分後に蓄膿だと診断された。

 あの時私が感じた"街の匂い"はもしかすると蓄膿症の症状だったのではないかとも思い始めた。

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