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【4】

「やあ久しぶりだな空の王、遊びに来たぞ」

「封印以来であるな陸の王」

 旧友である古き陸の魔王ベヒモスが遊びに来た。


    *    *    *


「相変わらず元気そうであるな」

「貴様は随分磯臭くなった」

「日々の戦いの結果よ。変わりはないか」

「貴様の封印後に流れ着いてきた『まさかの横からダチョウキック部隊』もすっかりうちになじんでいるぞ」

「そうかー馴染んじゃっておるかー戻って来そうにはないなあ」

「というか今日はそやつらに乗ってここまで来た」

「そうかー古巣に戻って旧雇い主に出くわす可能性を躊躇しないレベルであるかー」

 古き陸の王ベヒモスはかつての戦友だ。気心も知れている。だいぶ無沙汰をしたが。


    *    *    *


「しかし急な来訪であるな。茶菓子も用意できておらんぞ」

「茶菓子なら先ほど城の者に土産を渡したが」

「ほう、気が利くな」

「ペンギンどもが大急ぎで奥に運んでいったから遠慮なく使ってくれ」

「ベヒモス、茶菓子はない」

「え」

「茶菓子はなくなった」


    *    *    *


「この城もしばらく見ぬうちに随分と様変わりしたものだな」

「フフフ、様変わりしたのはここしばらくで突貫工事なのであるがな」

「ところでこの変わり果てた大ホールから先はどうやって先に進むのだ」

「変わり果てたとか言うな……それは濡れても良い服であるか?」

「いや濡れることは想定していないが」

「ならば観覧席を通っての道になるな。少々遠回りになるぞ」

「この城もしばらく見ぬうちに随分と様変わりしたものだ」


    *    *    *


「しかしなんで急に来る気になったのだ」

「うむ、新装開館したので来てくれというチラシがうちの城に入っていた」

「チラシが入っておったか―」

「ところで先ほど入館料を払う時にこのチラシの割引クーポンを使うのを忘れていた。今からでも一部返金してもらえるだろうか」

「……今チューダを呼ぶ。我もいくつか聞きたいことができたわ」


    *    *    *


「13時より配下のペンギンどもがショーをしたいと申しております」

「ショーか。面白い」

「チューダ、そんなもの練習してると我は聞いておらんが」

「軍事演習と申請しておりましたゆえ」

「堂々と虚偽ではないか」

「ペンギンは我が城の戦略物資にございます。これも外貨獲得の作戦でありましょう」

「いい部下を持ったな空の王」

「今の我にはそれが慰めか皮肉なのか本心の言葉なのかわからぬ」


    *    *    *


「思ったより見ごたえがあったぞ」

「楽しんでいただけたなら何よりであるな」

「次は家族もつれてくるとする」

「フフフご家族で楽しめる魔城になってしまったか……」

「ところでフリーパスの料金設定がちと高すぎる気がするぞ」

「そんなに頻繁に来たがる施設であるかなあ?」

「次は俺の城にも来てくれ。楽しい見世物がなくて恐縮だが」

「それが魔城の正しい姿であろうよ」


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