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私、女王にならなくてもいいの?  作者: gacchi(がっち)


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40/42

40.告白

ジルの話は、どこか違う国の話を聞かされているようだった。

心を持たないもの、そんな話は聞いたことが無かった。


だけど、気が付いてしまった。

私は、この国の王族の話を聞かされていない。

お父様の話ですら、聞いたことが無かった。

王妃になることが決まり、祈りの塔の真実を知って、

初めてお母様とお祖母様のことを知った。

歴代の王たちの話を知らないことに、疑問すら持っていなかった。

おそらく周りの人間は、王族に関する話を避けていたんだろう。

それがジルの話に関わってしまうことを知っていたから。


閨教育に嫉妬してしまっていたのは、

ジルが私にするように女官たちを愛したのかと思っていたから。

まさか、そんな一方的に暴力を受けるようなものだとは知らなかった。


さっきからジルの目が私を見ようとしない。

そのことが、ひどく悲しかった。


「ごめんなさい。知らなかったからって、言っていいことじゃなかった。」


「そうじゃないよ。言ってくれて良かった。

 このまま誤解されて、ルヴィを暗い気持ちにさせたままにする方が嫌だ。」


「…でも、話すの嫌だったでしょう?」


もうジルが私を見てくれなくなったらどうしよう。

こっちを向いてほしいけど、もしジルに軽蔑されるような目で見られたら。

こんな我がままで、嫌なことを思い出させるようなことをしてしまった。


「…この話をして、俺が汚れているって、汚いって、

 ルヴィに思われるんじゃないかと思ってた。」


「そんな。」


「ルヴィがもし、あの時の俺のような気持ちだとしたら、もうしない。

 初夜の儀だって必要じゃない。無理にしなくたっていい。」


そうじゃない!そうじゃないのに。

思わす伸ばした手がジルの頬にふれる。

びくっとジルが反応したのを見て、手を引っ込めてしまう。

怯えている?

怖がらせたのは、私?


「…ジル。私がさわるのは嫌?」


「そうじゃない。だけと、俺にさわるとルヴィまで汚れてしまうんじゃ…」


ジルが言い終わる前に抱き着いた。

初めて、自分からジルにくちづけて、顔を抱えるよう手を伸ばした。

驚いているジルをきつく抱きしめて、離せないように何度もくちづけた。


「ジルが好き。大好き。

 ジルが私をさわるのも、くちづけるのも、全部好き。

 つまらない嫉妬で、嫌なことを思い出させてしまってごめんなさい。

 …ジルは綺麗よ?」


「ルヴィ…俺、ふれてもいいのか?」


「うん。ふれてほしい。

 私以外はさわらないって約束してくれるなら、私には何してもいい。」


「約束する。ルヴィだけいればいいんだ。

 俺にはルヴィしかいないから。」


やっと目を見てくれた。

泣きそうなジルを見て、どうしようもなく愛しいと感じる。


「私もジルだけ。私も約束するから。」



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