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私、女王にならなくてもいいの?  作者: gacchi(がっち)


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32/42

32.二人の関係


「女官を召すのを我慢してるわけじゃない。もともといらないんだ。

 義務じゃなかったら最初からいらないと言っただろう。

 欲しくないものは、我慢するとは言わないだろう?

 まぁ、別の意味で我慢していることはあるけど。」


「別の意味?」


私の手を握っていたジルの両手が離れた。

右手が私の頬にふれたと思ったら、左手は私の頭の後ろを支えている。

どうしたの?そう言いかけて、止まる。

近づいてくるジルの顔を見つめていたら、そのままくちびるがふれた。


ジルが私にキスしてる?頬じゃなく、くちびるに。

少し硬いような柔らかいようなジルのくちびるが気持ち良くて、

されるままになっていると、頬にふれていた指が動いてくちびるを軽く開かされた。

開いた口の中にジルの舌が入ってくる。熱くて、からみついてくるのが気持ち良くて、

身体に力がはいらなくなっていく。


「ルヴィ、大丈夫?」


くったりしている私に気が付いて、くちびるが離れた。

離れてほしくなかったけど、

そのままだとどうしていいのか、わからなくなりそうだった。


そのまま抱き寄せられ、頭や背をゆっくりとなでられる。

耳元でささやくようなジルの声が優しく響いていく。


「我慢って、こういうことだよ。

 ルヴィが可愛くて、こういうことをしたくて。

 でも、怖がらせたくなくて…ずっと我慢していた。

 ルヴィは、俺が女官としている方が良かった?」


それは私の代わりに女官を抱くってことだよね。

ラミサージャ王女が一瞬頭に浮かんで、すごく嫌な気持ちになった。


「…やだ。」


「何が嫌?」


一度口出してしまったら、もう止めることは出来なかった。


「ジルが他の人に優しくするのも、さわるのも、こういうことするのも嫌。

 本当は閨教育受けたのも、その後に女官を召したのも嫌。

 …その女官たち、まだ王宮にいる?」


「…いないよ。どうなったか、聞く?」


「うん、聞きたい。」


「殺されたよ、すべて。毒殺されていた。

 俺の子どもができていたらまずかったんだろう。」


女官と言っても、ジルの相手になるのならそれなりの家柄の女性ばかりだ。

召す前に身体検査を行うのはもちろん、

もしお子ができていれば、愛妾になると決まっている。

だから召した後も身ごもっているかわかるまで、王宮に留められていたはず。

それが毒殺されていた?


「…全員?」


「うん、全員だった。そのことは俺も後から知ったんだけど。

 リガーレ国の血を引いているのは兄上だけだ。

 俺には一切他国の血を引いていない。

 だから、この国を乗っ取ろうと思っている者にとっては、

 俺の子どもが生まれるのは脅威なんだ。

 兄上の子どもはルヴィだけだった。そこに俺の子どもが王子だったら?

 そう思ったんだろう。」


ずっと命を狙われていた。ジルだけじゃなく、ジルの子どもまで。


「あの黒髪の女官がお相手だと思って、逃げたの。

 私が邪魔をしているんだと思って。

 邪魔だってジルに思われていたら、どうしようって思って。」


噛みつかれるようにくちびるをふさがれて、また舌をからめあう。

息もできないような激しいくちづけに、身体の中に熱がこもり始める。

胸?お腹?中からきゅうって引っ張られるみたいに、気持ち良さを感じる。


「ルヴィ、好きだ。最初から、ずっと俺にはルヴィしかいない。

 女官のことで誤解されていたのは辛いけど、

 そんな風に俺のことを思ってくれていたのがうれしい。

 ずっと俺だけが異性として意識してるんだと思ってた。

 ルヴィに避けられて、気持ち悪いって思われたんだと絶望しかけた。

 あきらめなくて良かった。

 ねぇ、ルヴィ。結婚式が終わるまでは最後までしないよ。

 だけど、こういうことはしてもいい?」


気持ち良さでまだ身体に力が入らなくて、頷くことしかできない。

頷いた後に、すごくうれしそうなジルの笑顔を見て、また恥ずかしくなる。

毎日ここで一緒に眠るのに、これからどうなるんだろう。




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