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12.母の祖国

「エルドリアから留学ですか?

 あと3か月で卒業するこの時期にですか?」


隣国エルドリアから留学生がくると言われ驚いた。

もうほとんど授業も終わりの時期に留学して来ても、得るものは少ないだろう。

お父様に呼び出され、何かと思えば留学生の世話をしろだなんて。


「目的はお前だ。」


「え?私ですか?」


目的が私とはどういうことだろう。

エルドリアは亡くなったお母様の祖国ではあるが、私は一度も行ったことが無い。

今回来る留学生は、従兄弟でもある第二王子だった。

もちろん王子たちとも会ったことはない。

それなのに目的が私とはどういうことだろう。


エルドリア国は、お母様の兄ジャガンダ様が国王になっている。

第二王子はそのジャガンダ様の側妃の子だったはず。

先に生まれた第一王子が正妃の子なので、

王太子はそちらではないかと噂されている。

ただ、ジャガンダ様は誰を後継にするか決めかねているらしい。

王子二人が成人しているというのに、王太子の指名は行われていない。


「お前を正妃として欲しいということだ。」


「え?」


「今までお前は女王になると思われていただろう。

 エルドリアからも、どちらかの王子を王配にどうかという話は来たが断っていた。

 結婚相手は娘に選ばせるつもりだとな。


 だが、王命で王弟と婚約させたという話が伝わったのだろう。

 女王にならないのであればエルドリアで王太子妃になってほしい、そういうことだ。」


「そなことを言われても、私はもう婚約していますよね?」


「そうだ。だが、娘に選ばせると言ってたのだから、

 娘の気が変わればいいと考えているはずだ。

 お前の気を変えさせるために、わざわざこの時期に留学してくる。

 同盟国の王子の留学を断ることはできないからな。

 そうなったら同じ学園にいるお前を会わせないわけにもいかないだろう。


 国に連れて帰ろうと、どんな手を使って来るかはわからない。

 もちろん、護衛も侍女も増やして警戒はするが…

 お前自身も気を付けるんだ。油断するなよ?」


「…わかりました。」


どんな手を使ってくるかわからない?

同盟国の王女相手に、そんなことをするのだろうか?

エルドリアの話は王女教育で習ったことしか知らない。

同盟国ではあるが、気を許してはいけないということ?


そういえば、先日まで戦争していたリガーレ国は同盟国だったところだ。

お父様のお母様、先代王妃の祖国でもあったはず。

…そういうことか。

お父様にとってのリガーレ国が、私にとってのエルドリア国なんだ。

油断してはいけない、だけど、敵にまわしてもいけない。


ジルと結婚したら、私が王妃になる。

他国からの影響は少ない方がいい。

今後エルドリアからの干渉が無いとは限らない。

第二王子が来る前に、エルドリアについて調べ直しておこうと決めた。

戦争が終わっても、他国との付き合いは終わらないのだから。




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