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登山開始 落石注意

翌朝。

おはようございます兄貴! 昨晩はお楽しみだったようで……

気持ち悪い笑いを浮かべるパック。


いや、ベ…… 別に!


行くわよ二人とも!

プラスティ―は頬を染めつつ無視をする。


元気に登山開始。


一人二人……

どうしたのプラスティ―?


登り始めてから一時間。その間出会ったのは二人だけなんて……

何だ。そんなこと心配してるんだ。


あちらからやってくる人は居ないのかしら?


この山は険しいからなあ。ほとんど使ってないぞ!

パック情報。


でも話では小さな山だって言ってたけどな。


小さくても危険な山なんすよ。道に迷って大変な目に遭ったなんて話も。

それに今はシーズンオフらしいっす。


寂しいわね。

そうだね。三人取り残された感じがして嫌になってくる。


何言ってるんすか兄貴! 自分なんか毎日そんな感じっすよ。

大変ね。

慣れ。慣れっすよ!


ねえ。プラスティ―はシャーマンなんだろ。だったらこの後のことも教えてもらえばいいじゃないか?

簡単に言わないで! お告げは受動なのよ。それに最近気配を感じなくなってる。


どういうこと?

分からない。神の力が弱っているのか。この地にいないのか。

どこかに行ったとでもいうのかい?

それは……


そんなはずないっすよ。守り神なんすから。動かないって!


パックの指摘はもっともだが何かあるのか。


登りが急になってきた。


あと一歩の辛抱。


はあはあ。

休憩にしましょう。


生い茂る木々をかき分け、朽ちた丸太に腰を下ろす。


どうやら登山者用に作られたものらしい。

地元の者の優しさに触れる。


私ね思うの…… もしかしたら…… うげ!


パックが採ってきた木の実とキノコとゲテモノを並べる。


頂きます。


ちょっとこれは何!

毒は無いさ。綺麗なキノコ。


そっちじゃない! これは何?

カエル。


即答するんじゃないわよ!


焼けば何でもおいしいって。


二人で食べてよね。

でもプラスティ―もたんぱく質を取らなくちゃ。


うるさい! 私は木の実だけで結構!

後は水!


仕方なく二人で残りを分ける。


もぐもぐ。


それでどうなのプラスティ―?


そう言えば去年の今頃も神のお告げが途絶えたの。

でもそのうち。そう翌年には復活した。


どういうこと?

さあ。どういうことかしらね。


お告げはプラスティ―の村の話?


いえ違う! ドコダ地域全体の問題。

たぶん私の村が襲われたらあなたの村もやられるでしょうね。


そんな……


自分のとこも?

ええ、間違いなく。でもあなたの村に人はもういないんでしょう?

爺のみ。まあ大丈夫か。


カンはどうしたい?

まあ仕方ないさ。運命だと思って諦めるよ。

馬鹿! 村の人全員やられちゃうのよ。


あいつらは俺に逆らったりロクな奴等じゃない!

それは村が平和だから。


そんな事ない!

ある! よく考えて!

プラスティ―?


まさか嫌な奴だけがいなくなると思ってないでしょうね?

だって…… そうか養父母。それに親方。アル―だって……


青くなる。


アル―って誰よ!

俺の恋人かな……

居たんすか兄貴。手が早い。

まあね。ハハハ……


違うでしょうカン! 恋人じゃなくて!

えっとガールフレンドかな。

もう一つ。

幼馴染。


そうあちらは何とも思ってないわ。

決めつけは良くないっす!


そうだよ。見送りに来たしさ。

それはあなたが可哀想に思えたから。

そうかなあ?


目を覚ましてカン!

恋人は私だけ。私だけでいいじゃない!


無理矢理っす。兄貴騙されちゃいけない!

まあいいや。さあ行こう。


三人は再び歩き出す。


誰もいない。

誰も……


代わり映えのしない生い茂る草木。

辺りを見渡しても緑一色。

同じような草花と雑草が足元に広がる。


違いがあるのかもしれない。

でも大して変わらない。

見分けなどつかない。

植物の専門家でもないし村を出たのはつい最近。


ただ緑が広がる。

もういい加減嫌になってくる。

プラスティ―じゃないけど人が恋しくなる。


疲れたのか誰も言葉を発さない。


虚しさを感じながらも頂上を目指す。


今は何時だろうか?

村の皆は元気にしているだろうか?


アル―。

会いたいよ!


ブツブツ。

ブツブツ。


兄貴大丈夫っすか?

えっ?

さっきからぶつぶつ。気持ち悪いっす。


若干一名何とも思っていない奴がいた。


タフだね。

これくらい何って事ないっす。


うるさいわよ二人とも!

今は登山に集中しなさい!

今日中に山を越えないとならないんだから。


落石注意。

まっすぐ進むと看板が見えてきた。


どうする。迂回路があるみたいだけど?

慎重に進もうだから……

ヘッチャラヘッチャラ。


俺の言う事を無視して頂上に最短で向かおうとする。


おいパック!

大丈夫。雨でも降らなければ落石なんか起きないさ。

だけど念には念を……

何をビビってるんすか兄貴。らしくない。


度胸があると言うよりも何も考えていないようだ。


仕方ないわね。パック先に進んで。


仮に落石が起きてもパックが盾になってくれる。

そう軽く考え直進を選択したプラスティ―。


おい! まったく!


危険な順路を辿った。


落石注意。

看板が増えた。


はっはは。


笑いながら駆けるパックの後を続くのはキツイ。

今にもダウンしそうだ。


再び看板。


これはマズいかもしれない。

引き返すべきだろう。


おい! パック!

何っすか兄貴?


ちょっと危ない!


パックが振り返った瞬間、小石が落ちてきた。


                      続く


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