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仲間 プラスティ―とパック

ドコダ山へ


フウ!

疲れた!


山まで何キロあるって言うんだ!

前は山。

横はうっそうとした緑色。

後ろを振り返っても追放された町が小さくあるだけ。


ああもう嫌だ!

疲れた!


どうも。


初めての遭遇。

どうやらあの忌々しいシティーに行くのだろう。


すいません。この辺で神々の森について知っている方は……


そそくさと行ってしまう。


以降、すれ違った者全員が慌てて離れていく。

よそ者に言う事もはばかられるのだろう。

頭で理解していても納得が行かない。


もう!


おばさんが話しかけてきた。


若いねえ。年はいくつだい?

十八になります。

そうかいそれはそれは。


実際よりも上に言う癖がついている。

宿でも同様の受け答えをした。


俺は十八だ!

えらいんだぞ!


あの、おばさん。神々の森について何か知りませんか。

さあねえ。

はぐらかされる。


そんな事よりこの辺りでは追いはぎや強盗、山賊が出るとさ。

気を付けな。もう陽が落ちる。待ち伏せされたらどうにもならないよ!


有難い忠告を受け取る。


そうかもうそんな時刻か。

歩き出す。


陽が急に陰りだした。

もう一時間もすればこの辺りも真っ暗になるだろう。

早く宿を探さなくては。


異変。

きゃあ!

女の叫び声がする。


前方から聞こえた気がした。

慎重に前を伺う。


少女?

同い年ぐらいの女の子が大柄な男に襲われている。


これはマズい!

関わってはダメだ。

無視だ。無視を決め込もう。


左隅で争っている二人を横目に右端を抜ける。

気づかれないように。気づかれないように。


大丈夫。まったくこちらに目を向けていない。


ラッキー!

通り過ぎる。


仕方がないのだ俺は非力なのだから。

もうすぐにでも通りかかった人に助けてもらうといいさ。

俺は関係ない。俺は……

まあ、助けが来なかったらアンラッキー。


急ぎ足になる。


ちょっと!

ちょっと待ちなさいよ!

助けなさいよ!


少女が不満そうにこちらを睨む。


俺? 違うよね?

目で返す。


あんた!

あんたしかいないでしょう!


二人とも仲が良くて……


馬鹿言ってないで助けなさいよ!

早く! この男を何とかしなさい!


へーい。


男は睨みつけた。


ははは。お邪魔でしたか? すぐにでも立ち去ります。

情けないわね! 早く助けなさい!


少女の求めを無視するのは間違っている。

しかしあいつを何とかするのは不可能ではないか。


イラつき始めた男。

おい! 俺に何か用か!

いえ、滅相もございません!

ならすぐに立ち去れ! 消えろ!

しかし……


俺はこいつから金になりそうな物を頂くのさ。お前も同じ目に遭いたいか?


くそ!

心の中で毒ずく。


ちょっと! 助けなさいよ!


御免よ。幼気な少女。元気でな。

下を向き歩みを速める。


ちょっと! 待って!


少女の必死の訴えに耳を貸すわけにいかない。

俺まで同じ目に遭うのは御免だ。


ああん!

男が向かってきた。

いつまで居やがる! 見世物じゃないぞ! 戦う気か?


少女は開放された。


後はこの子を連れて走るだけだ。

どうやら奴はそこまで頭が回らない。

血が上って考えるの放棄している。

隙をついて逃げよう。


解放された少女は俺の後ろに回った。


どうした? かかって来いよ!

男が挑発する。


あなたこの方をご存じないの? ある有名な方のご子息なのよ。

もし怪我でもさせたらどうなるか分かるでしょう。


うるさい! 嘘を言うな!


今初めて会った少女が俺の何かを知っている?


まさか?


まさか?

男も引っかかる。単純な奴だ。


ほら証拠を見せてあげなさい。特別だと言う証拠をね。


無茶を言いやがる。証拠と言われてもこの紙ぐらいしかない。


お前は何者だ?

いや、だからその子の……

ハッタリとは口が裂けても言えない。


もうこの手しか我々が生き残る望みが無い。


早く証拠を出せ!

男が怒り狂う。


証拠って言ったってそのこれぐらい。

紙を渡す。


これは……

男が固まる。


兄貴たちがよくいくヤバイ所。お前がこの名刺を持っていると言う事は相当な位の方のご子息。

ほら言ったでしょう。謝りなさい!

へへい! お許しください!


これが何か?

俺も行った事がねい。格が違いますぜ兄貴。


いつの間にか謎の展開で危機を脱した。


少女が駆け寄ってくる。


あなた通り過ぎようとしたでしょう?

ははは。まさか。目の錯覚だよ。


まあいいわ。私はプラスティーよ。十六歳の女の子。助けてくれてありがとう。


俺はカン。ドコダ山に行くところさ。


俺はパック。兄貴についていきます。


ちょっとふざけないでよ!

まあまあ。強い奴は役に立つ。連れていくにはもってこいだ。

まったくどうなっても知らないわよ。私もついていく。


二人が仲間に加わった。

            

                      続く


登場人物

カン この物語の主人公 


プラスティ― 襲われていた少女 十六歳

       村一番の美少女

       シャーマンの姫

       ちょっぴり嫉妬深い

       

パック 怪力の持ち主

    仲間とはぐれて山賊になる

    食う事と寝る事以外興味なし


三人とも追放経験あり



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