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二度目の追放 ドコダシティー脱出

現実逃避を終え

冷静になる。


逃避行再開。


裏道を抜けシティーの正門に出る。

昨日トラブルとなった門番が構えていた。

まあ簡単には通過させてくれないだろう。


うん? 何か騒いでいる。

ここからではまったく聞こえない。


人が集まってきた。

しかしすぐにいなくなり静かに。


昨日の二人は確認するように向き合い合図する。

すると急にどこかへ行ってしまった。


チャンス!

門番が離れた。

一気に外へ!


その時だった。

後ろ腕を掴まれる。

追手?


早く!こちらです。

昨日の副市長さん。


ハアハア。

ふうう。


カンさんでしたね。なぜ昨日……

すいません。あの後迷ってしまいまして……

だからってまさか追いかけられるなんて!

あれは……


いいですか。私はあなたが信用の置ける人物と思い家にまで招待したのにこの町でトラブルを起こすとは本当に情けない。


副市長は小言を続ける。

まさか盗んだり悪さをしたんじゃありませんよね?

私はあなたを助けるべきか迷ったんです。

でもお困りのようだったからつい……


ありがとうございます。決して悪い事はしていません。

ただ嵌められただけなんです。


嵌められた?

店の人に聞いてください。アゲハさんが証言してくれます。

まさかあなた? そんな店に行ったんですか?

ええ、寝床を確保するのが冒険者の務め!


困りましたね。追手の正体が分かりました。そうですか。

副市長が勝手に納得する。


はい?


まあいいでしょう。こちらです。


正門は確実に追手に読まれている。

そうあの時もし正門を突破しようしたら確実に捕まっていました。奴らもバカではありません。

ああしかし逃がしたのを彼らに知られたら私の立場が危うい。


副市長でも?

ええもちろん。仕返しがあるかもしれない。

まさか……

いいですか。大人しくしてください。誰にも気づかれないように。


急ぎ足の副市長についていく。


見えてきました。

裏門に辿りつく。


裏門は閉ざされておりその存在は一部の者にしか知られていない。

副市長は手早く繁みによってカモフラージュされた裏門を復活させる。


さあ開きましたよ。行きましょう。

外に人の気配が無いのを確認して出る。


脱出成功。


ありがとうございます。

ああ、緊張したなまったくもう。

副市長……

もうこれで大丈夫です。追手は来ません。


安堵する。


では私はこれで。

ちょっと待ってください!

まだ何か?


教えてください! 俺はこの後どうすれば!

故郷に帰るのではないのですか?

追い出されました。

それはお気の毒に。


この町で何か情報を得ようとしたんですが……

うーん。私の知っている事なら教えて差し上げますが。

ではお言葉に甘えまして。


チート神についてご存知ありませんか?


さあ聞いた事ありませんね。

即答する。


チートと言うのは……

いえ説明は結構です。興味がありませんので。


お願いします! 何か一つ情報を!

そうですね。ではこれはどうでしょう。


ちょうどこの道を突き進むと山があります。名前をドコダ山と言って小さな山なんです。

ドコダ山?

ええ、その山を越えると温泉郷があります。

いえ、温泉にのんびりしてなどいられない!


まあ最後まで。


温泉郷を抜けると森があります。

ほうほう。

深い深い森を行くといつの間にか道に迷い、戻ってこられなくなるとか何とか。

それは恐ろしい。


我々も年に一回温泉に行くんですが決してその森には近づきません。

危ないから?

ええもちろんそれもあります。ただ村の者が言うには聖域で近づいてはならないとのこと。


彼らはこの森をこう呼びます。


神々の森。


伝説か何かですか?

ええ、村の言い伝えですね。でも目的のものズバリではないですか。

ああそうか! 神々の森。確かに。

行ってみてはいかがですか? 何か手掛かりぐらいあるかもしれませんよ。

うん! 神々の森からチート神。あり得るかもしれない!


では私はこれで。

ちょっと待ってください! 

何ですか? 


一言お礼を。

 

お世話になりました。

頑張ってください。


それで頼みたいことが……

頼み?


急いで手紙を書く。


これをポストにお願いします。

まったく人使いが荒い。いいですよ。


そう言って去って行った。


いい人。

本当にいい人。

副市長の助けが無かったらどうなっていたか。

町にも立派な人がいるものだ。


感謝の気持ちを胸にドコダ山へ。


手紙。


拝啓アル―様。

ドコダシティーはどこも新鮮で見飽きません。

親切な方の勧めで宿に一泊しました。

どういうわけかお姉さんが付いて何でもしてくれました。

初めてで興奮しましたがすぐに眠れました。

そうそうお姉さんって添い寝までしてくれるんですね。

驚いちゃいました。

ただ朝方トラブルが発生しました。

なぜか親切だった方の裏切りに遭いました。

彼らの代金を払わされる羽目になりました。

でも当然お金は足りず逃げてきたところです。

ちっとも後悔はしてませんがお姉さんに悪いなと思いました。

出来ましたらお払いしていただければと思い名前を書き止めました。

アゲハさんにお渡しください。

以上。

逃走中のカンより。

追伸 いい夢を見ました。気持ちよかったです。頑張ります。


手紙 走り書き。


危うく捕まるところでした。

副市長さんの助けで危機を乗り越えました。

感謝しても感謝しきれません。

その副市長さんから有益な情報をもらいました。

ドコダ山を超え神々の森を目指します。

何かありましたら近くの温泉郷までお送りください。

カンより。

追伸 ドコダシティーを追い出されました。

サウスドコダに続き二度目の追放です。

故郷を追われるよりはまだ冷静でいられます。

次が無いように気を付けます。


                       続く


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