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ドコダシティー

ドコダシティー


ドコダシティーと巨大な看板が掲げられている。

お洒落な洗礼された町の雰囲気が伝わってくる。


村を出たのは何度もあるが隣村ぐらいまででそれも親方や村の者の後をついていっただけ。ただでさえドキドキすると言うのにプレッシャーが半端ない。


田舎者だと馬鹿にされないだろうか?

笑われないだろうか?

マイナスの感情が支配する。


おい!

おい!


腹減ったな……

お前だよ! お前! 聞こえてるんだろ?


ブツブツ……

おい! こら!


はい? 呼びましたか?

ここはドコダシティー。

ええ、看板にでかでかと書いてありますからね。字ぐらい読めますよ。


こいつ! 勝手に入っていいと思ってんのか?

うん? さあ……


これだから田舎者は困る! どこから来た?

サウスドコダから。

まあその身なりではあの外れの村ぐらいしかないな。ははは!


まだ若いと見える門番。

もう一人の弱々しいのと一緒に馬鹿にしだした。


お前の来るところじゃない! 立ち去れ!


おい! こら何をやっている! お客様に失礼だろ!


ああバイス様。申し訳ありません。

もういい。私がこの方を案内する。


すいませーん。

平謝りの門番。

いい気味である。


許してくれるかい?

ええ、もちろんです。ああ君達。俺はカンだ。これからは気を付けるんだよ。

たぶん年上だろう生意気な奴らを黙らせる。


バイスの後についてシティー内を回る。


本当にすいません。彼らには後できつく言っておきますので。


門番ですか?


はい、大変言いにくいのですが最近この辺りは治安があまりよろしくありません。

他所から渡ってくるものが多く、ここが丁度貿易の中間地点で人々が集まってくるのです。ほら港が見えるでしょう。


別に興味は無いのでハイハイと流す。


バイスはこのシティーの副市長で精力的に動き回っている。


お客さん。聞いてますか?


マーケットを案内。


このリンゴはすごく甘いんだ。

このジュースは今流行でね。どう一杯?


飲み食いしながら小腹を満たす。


どこからか鐘の音がする。


あのー今晩泊まれるところはありますか?


泊まるのかい。そうだな宿屋ならここから三キロもあれば見えてくるよ。

案内しようか?


お願いします。


そうだ。もしよかったらうちに泊まっていかないかい。君の故郷の話も聞きたいしね。そうだそれがいい!


勝手に進める副市長。


いい人であるのは間違いない。しかし……


よし今から……


ゴーン ゴーン


おっと忘れていた。会食があったんだった。一時間後に戻ってくるからそれまでこの辺で買い物をしているといいよ。


そう言い残し足早に視界から消えた。


一時間か。うーんどうしよう。


当てもなく歩き回る。


腹も減ってきたことだ食事にでもするか。


いらっしゃい。

都会風のおばちゃんが店を切り盛りする。


シーフードがどうのこうのと進めるので従う。


観光客が数人。

地元の人がふんぞり返っている。

おばちゃんたちの集団。


人も増え、だんだんうるさくなってきた。

急いで平らげる。


お客さん。お釣りお釣り!

恥ずかしさを堪えて頭を掻く。


毎度!


アル―から貰った資金が減っていく。


流石はシティー。

金がいくらあっても足りない。


少しの後悔を胸に歩き出す。


そうだ!


副市長が迎えに来るまで暇なので手紙を書く。


拝啓 アル―様

世知辛い世の中ですね。

どんどんお金が無くなっていきます。

私はどうしたらいいでしょうか?

お金を送ってくれるとありがたいです。

そうそう。ドコダシティーに無事着きました。

ちょっとしたトラブルもありましたが上手くやっています。

ここの副市長がよくしてくれました。

都会の人も悪い人ばかりではありませんね。

当分の間ここに滞在する予定です。

何かありましたらお手紙などお送りください。

直接来るのもいいかもしれません。

待ってます。

カンより。

追伸 お金送ってね。


待てど待てど来ない。

副市長はどうしたのだろうか。

まさか忘れたのだろうか?

嫌な予感しかない。


あと三十分。

あと十分。

そうしてついに二時間以上が経った。


マーケットに寄る。


昼間に寄った店を探すが似ている店は見つかるものの同じではない。

どうやらここは昼間のマーケットとは違うのだろう。


すいません。

何? 買わないんだったらそこに立たない! こっちも忙しいんだ!


一番安い菓子を買う。

おお! 何を聞きたいの?

態度がえらく変わった。信用できない奴。


マーケットはここ以外にありますか?

ああ、ほらそこを右に行って直進。斜め右を進むと第一マーケット。ここはちなみに第二マーケット。よく間違える観光客がいるね。お客さんもその口かい。


まずい! 間違えた!


副市長が来ないのではなく俺が間違えたのだ。


急いで戻るが約束の場所には副市長の姿が見当たらない。


あーあ。


近くの店の主人に宿屋を教えてもらう。


方向音痴の自分でたどり着けるだろうか。

不安がよぎる。


案の定迷子になってしまう。


誰か?

辺りは暗くなり始めた。


まずい! 急がなくては!

おーい! おーい!

誰か?

人の気配も感じられない。


走り出す。


誰か? 宿を?

一泊したいんです!


まあ一泊ぐらいなら払えるだろう。最悪また空き家に泊まればいいさ。


心を落ち着かせ再スタート。


                        続く


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