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神々の森の手がかりを求めて 運命の糸が繋がる

翌朝。


カン!

プラスティ―!


一晩経って冷静になったのか昨夜の重苦しい雰囲気も解消。


どうしたんすか二人とも?


パックが事情を聞こうとするが答えない。

と言うよりも答えられない。


とりあえずの危機は脱した。


にゃあ!

ボトルは気まぐれにじゃれついてくる。

どうやらプラスティ―の話し相手をしてくれたようだ。


ボトル行くわよ!


飯を食って捜査開始。


いいみんな。急がないと間に合わなくなるの。

お告げではもう時間が無いそうよ。

さあ今日中に手がかりを見つけてサクサク行きましょう。


何を見つけるんだっけ兄貴?

忘れたのか? 神々の森。


ああ、そういやあそうでしたね。てっきり食い物かと。

パックは寝ることと食うこと以外興味が無いようだ。


しっかりしてパック!

はっはは。面目ねい!


とにかく集落の者から話を聞く。


お早う!

見知らぬ爺さんが話しかけてきた。

ちょうどいい。


ええ? 神々の森かい。うーん。聞いたことないなあ。

本当ですか?

ここに住んで三十年。一度もそんな話を聞かない。


噂ではこの辺りにあるそうで……


ああ噂ね。それなら聞いたことある。でも噂は噂に過ぎないよ。どうせ他所の村で得た情報だろ。当てにならないさ。


完全否定される。


他の者にも当たるといいよ。どれだけいい加減か分かるから。


その後も神々の森について有意義な情報は得られない。


ああ、もうやってれないよ!

ちょっとカン。諦めないで! あなただって神からチートを授かろうとしてたじゃない!


神々の森は噂に過ぎない。騙された?

自分も何だか存在しない気がしてきたっす。


パック! カンも! 諦めたらダメよ! そんなに簡単に見つかる方がどうかしているわ。もう少し続けましょう。


会う人会う人に尋ねるが誰も取り合ってくれない。

そもそもの計画が破綻してしまう。

少なくても神々の森の存在を肯定する者が現れねば一歩も進んでいかない。


腹減ったっすね。

しょうがない。情報収集がてらご飯にしよう。


いらっしゃい。


同い年ぐらいの少女が切り盛りする食堂。

昼時とはいえ、えらく繁盛している。


目的は皆同じか。


ねえこっちにおいでよ。

一緒に食べよう。


いえ、忙しいので失礼します。

もう糸ちゃん。固いんだから。


若い男どもが昼間っから狂ったように追いかける。


嫌がらせ?

好意によるものか?


店内は一人では無いものの接客するのはほぼ彼女のみ。


とりあえず何人かに話を聞いてみる。


はあ? 神々の森。知るかよそんなこと!

邪魔! 糸ちゃんが見えないだろ。

紙? トイレは奥だ!


やはり誰も取り合ってくれない。


おすすめ料理を食べ終え、店が空くのを待つ。


一時間近く粘ると店内には人の影が無くなり、落ち着く。


すいませーん。

ご注文?


いえ、少しお話を聞かせてください。

プラスティ―が立ち上がる。


はっははは。お客さんたちは騙されてるんですよ。よくここにも定期的に観光客がそう言ってくるんですよ。


笑みを浮かべた。

愛らしいその笑顔にドキッとする。

パックもいつになく笑っている。照れているようだ。


プラスティ―はその様子を苦々しく見守る。


糸さんはいくつなんすか?

私…… これでも十八よ。


幼顔からは想像もつかない年上の彼女。


もしかして結婚……

ううん。まだ……

良かったす。


プラスティ―が話を遮る。

あなたのことは良いの。どうでも良いの。それよりも手がかりは無いかしら。

お客さん。ただの噂ですよ。あるわけないじゃないですか。


ここの者はすべてそうだ。誰も知っていながらはぐらかす。


ねえ、ここで一番偉いのは誰?

私よ。

違う! この集落での話。

ああそうか。


またしてもはぐらかす?


神代のお爺さん。

誰それ?

神社の神主さん。


神社ねえ。どこにあるの?


ええと。外れにある神社。

一度行ってみるといいですよ。何か手掛かりが見つかるかも。


それでは。

糸は関心なさそうに仕事に戻る。


ようやく一歩前進。


店を出る。


おい、君達!

ちょっといい?


ずいぶん身なりのしっかりした紳士風の男が話しかけてきた。


糸ちゃんは何だって?

あんたなんか知らない! 覚えてない! って言ってたわ。


そんなあ。冗談だろ。俺は俺は……

肩を落とし去って行った。


糸ちゃん人気は留まるところを知らない。


うん?

手招く者一名。


もう何なのよ!

取引しないか。

取引?


そうだ。お前らは神々の森を知りたいんだろ?

まさか知ってるの?


バカ! 落ち着け! 俺は知らない。でもなこの集落の老人は知っているはずだ。特に神代の爺さんなら知らない訳が無い!


本当? 本当ね?

ああ、間違いない。


それで私たちにどうしろと?

この手紙を糸ちゃんに渡してほしい。それで返事も聞いてきてほしいんだ。


明らかに振られであろう情けない面の若者。

一体どこにそんな自信が過剰にあるのか不思議だ。


あなたには悪いけど振られるのがオチよ。諦めなさい!


ちょっとプラスティ―。マズいよ。ずばり言い当てるなんてさ。彼にだって可能性はある。俺は信じているよ。


甘いわね。彼女には複数の相手がいるに違いない! 騙されるのがオチよ。大人しく引き下がるのね。私も女だから分かる。


嫉妬?

アドバイス?


いいから渡してきてくれ!


先に教えなさい!


いいでしょう。俺の知っているのは神々の森が存在するということだ。それはここの者はみんな知っている。だがなよそ者を警戒するあまり隠そうとするのさ。


どうすればいいの?


それは簡単だ。神々の森の入り口には薬草が生えている。あれは何にでも効く薬で万能薬と言われている。どこまで本当か分からないが集落の者は信じて疑わない。

観光客の中にも薬草を摘みに来るのもいる。たくさんあるので構わないが……

しかし神々の森は別だ! 決してよそ者には教えてはならないとされている。

だから安易に教えようというものはいない。


そうだったの…… 私たちはどうすれば?

だから薬草の場所を教えてもらえばいい。そこが神々の森の入り口。


まあ詳しい場所を知っているのは神代の爺さんぐらいなものだ。


ありがとう。神主さんに会ってみる。もちろん言われたとおりに振る舞うわ。


男と別れる。

再び店内へ。

糸へ確認を取る。


ごめんなさい。無理です。

糸は迷惑そうに拒絶する。


やっぱり……


男に伝えるのは忍びないがありのままを伝える。

そうか…… 残念。


意気消沈している男になんて声をかけてやればいいのだろうか?


気分を新たに歩き出す。


外れにある神社へ。


                         続く


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