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飛鳥編
-序-
「俺は死ぬのか」
緑風が吹く中で、若者がか細い呟きを発する
「皇子、何を弱気な事を申されるのか」
皇子と呼ばれる若者は、力無き目を初老の男に向け
「諸国、俺の生とは・・・」
呼吸は乱れ、言葉を続ける事が出来ない
皇子の意識は深き冥府に沈みつつある
「皇子、お気を強くもちなされ!」
これ以上は保たぬと考えた諸国は室外に控える青年を呼び寄せて
「真人よ、至急太子の下に参じ皇子の危急をお伝えせよ」
夜を徹し皇子の看病にあたっていた真人は赤く充血した目を上げ
「承知仕りました」
と言い走り出して行った
もちろん諸国もまともな睡眠は取れていない
「皇子よ、貴方様の生はまだまだ続くのですぞ。」
皇子は答えなかった