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69話 亜神『マク・ンバル』

 



『お兄さん、今の状況は?』

「……ん? 剛くんか」


 いつ繋がったのかも分からない通信を無視して、敵を観察する。

 特に動きはない。と言うか全く動かない。大きな翼は微動だにせず攻撃の意思も感じられない。


 違和感があった。ほんの小さなものだけれど、確かに感じ取っていた。


 何だろう、これ。


『おい、聞いてんのかよ!』


 思考を遮る怒声。なんだっけ?


「ん? ああ、まだ繋がってたのか」


 剛くんと通話中であることを忘れてた。


『はあ⁉︎ 状況を知らせてくれ! ゴッドレスに帰還できるか?』

「無理だなぁ。今ボスと戦闘中だし」

『……マジかよ』

「うん、マジ」


 無限ポップは止めたよと伝えれば、再び『マジかよ』と返される。信用ないなぁ。


『そういう意味じゃねぇけど……ボスを発見しなきゃ無限に湧き続けるのか?』

「おそらくね。他の方角は分からないけど」

『オーケー。タチミツさんに伝える。倒せそうか? つーか倒す必要あんの?』

「それだけど、倒さないと俺達はゴッドレスに帰れない」

『は?』

「不可視の壁に囲まれてる。触れれば即死のおまけ付き。ボスを倒さなきゃ消えない」

『……有りそうな設定だな』

「ちなみにボスは神様らしい。亜神属だけどね」

『それ、勝てんの?』

「勝つさ」


 こっちは何とかするから、そっちは頼んだよ。そんなありきたりな言葉を吐けば。


『……任せろ』


 剛くんは笑いながら、しかし力強く言った。頼もしいね。

 ゴッドレスには他にも頼りになるプレイヤーが何人もいる。ルナさん、へーエルピス、十二戦士。北と西の弱いモンスターなら何とかなるだろう。問題は東だ。


「まずはきみを倒さなきゃね」


 言いながら彼女に近づく。肌を突き刺すほどの存在感に反して相変わらず動きは見せず、ただ突っ立っているという印象だ。なので俺も武器を抜かずただ歩く。


「おい、ヘラ!」

「隊長さん!」


 クリッツさんと少女ちゃんの呼びかけを無視してさらに接近。やはりゆっくりと。


「皆さんはそのままでお願いします」


 調査隊の生き残りは二十人。彼等はヒリついた空気の中で油断なく武器を構えている。決して前のめりにはならず防御姿勢を維持、或いは退避行動への準備を整えている。

 鉄火場に慣れているな。俺なんかの指示に従ってよく我慢してくれたものだ。


「やあ、こんにちは」


 異形の天使に挨拶をしつつ、南門の状況を聞き忘れたなと。獅子丸くんと辰辰さんが何とかしてくれる事を願いましょう。


「失礼だが、触れさせて頂きます」


 念のために断りを入れて彼女の頬に触れる。右手にだけ魔力を乗せ、そっと、撫でるように、両手で包み込むように。目を縫い付けられていても美しさ溢れるその顔に。


 そんな俺の挨拶に対する返答は予想通りのものだった。


「――いっ、たいなぁ」


 バチリ、と。優しく触れた右の掌が強烈に弾かれた。肉をごっそりと失い、指は全て折れ曲がっている。対して左は全くの無傷。


「ヘラ!」

「大丈夫です。このまま色々と試すので、皆さんは待機を」

「隊長さん、回復します!」

「要らない。そのまま待機と言ったはずだ」


 様々に試していく。引き抜いた草を彼女の頭や翼に置いてみたり、小石を投げてみたり。それぞれに魔力を乗せたり、そのままだったり。

 考えつく限りの検証を終えた頃には瀕死の傷を負わされていた。


 回復を施し、不可視の壁を観察する。彼女を中心に半径二十五メートルの円形かつドーム型。散らばったままの隊員の死体に気をつけながら、位置を伝えるために地面の草を刈り取り、さて、試すべきはあと幾つかのみ。


「生き残れるかな? 竜人特化、薄刃伸刀」


 右にだけ魔力の刃を乗せ両方を振るう。全力でだ。


「――うわぁ」


 壁に触れた瞬間、二刀は砕け散ってしまった。生身じゃひとたまりもないだろう。


「じゃあ、次はきみ」


 宣言して天使へと疾走。予備の二刀を握りやはり全力で、右に“薄刃伸刀”を施して。


 サクリ。そんな音が聴こえた。俺の腹からだ。背骨近くまで裂かれている。


「ぐ、ブッ!」


 ポーションをがぶ飲みし、ヒールをかけ、“竜咆”にスタミナを喰わせる。危うく死ぬところだった。


「も、一つ!」


 左には何も乗せず、ただし全力で。

 刀身がたわみながら弾かれ、しかし俺は無傷だった。


「どなたか、棍やハンマーをお持ちの方はいらっしゃいませんか? できれば買い取らせて頂きたい」


 大きなハンマーを受け取り、それを彼女へと全力で振るい、弾かれたことを確認。


 うん。検証は終わりだ。


「……ヘラ……そろそろ教えてくんねーか?」

「隊長さん、これって?」

「ああ、すみません。色々と試していました。彼女と壁の性質について」


 彼女の名前はマク・ンバル。古代語で記されており、翻訳すると様々な意味に取れる曖昧さがある。その中で現状を踏まえれば『堅牢な檻』、若しくは『無限の密室』と読むことができる。

 なるほど。まさしく堅牢な檻である。壁は全てを破壊し、彼女はあらゆる攻撃を防ぎ、跳ね返す。唯一の救いは攻撃をして来ないこと。

 しかしプレイヤーは死に戻りが封じられている。死んだ隊員の死体は炎に焼かれず残ったままだ。まさしく無限の密室だ。


「自殺を許されねぇって……俺達はこっから出られねえってことか?」


 クリッツさんの疑問は最もである。


「彼女を殺せば壁は消えますよ」

「言い切るじゃねーか」

「まあ、スキルがそう言っていますし」


 断言できるくらいには“空間掌握”を信頼している。


「でも殺せませんよね? 隊長さんの攻撃でも弾かれるし。カウンターも発動するし」

「大丈夫だよ、少女ちゃん。殺す方法はある」

「あるんですか? あ、えと、千聖と申します。千に聖で“ちひろ”です」


 こんな時になんですけど、と控えめにお辞儀をする少女ちゃん。いや、千聖ちゃんか。

 明らかに年齢制限ギリギリの若さだ。小さな体格も相まって娘を思い出してしまう。


「……あの、隊長さん? 対策って?」


 おっといけない。まじまじと見つめすぎた。


「対策、と言うか殺す方法だね」


 単純な理屈だ。物理による圧倒的な一撃。鉄壁と言える彼女の防御を貫くほどの。必要なのはそれだけだ。

 彼女は魔力を悉く跳ね返す。しかも数倍の威力にして必ず発動者へと向けて来る。いや、跳ね返すという表現は適切じゃあない。それは彼女にとって唯一にして絶対の攻撃手段なのだ。


「跳ね返してるんじゃないんですか?」

「そうだね。魔力に関する攻撃を吸収して射出する、という表現が正しいかな」


 跳ね返す、打ち返す。どちらも正しくない。魔力を込めた小石を頭頂部に投げても岩となって真正面から射出されるのだから。


「つまり、なんだ、何が言いてえんだ?」

「えっと……隊長さん?」


 困惑するクリッツさんと千聖ちゃん、そして隊員たち。そんな彼等彼女等に、魔力を使った攻撃は厳禁だと伝える。俺が駄目だった時のために、本当はカウンターの実態を知って欲しかったけれど。


「それを踏まえた上で最初の答えに戻ります。彼女を殺すには物理的な方法を取るしかありません」

「通るんですか? すごく硬そうですけど」

「普通じゃ無理だねぇ。俺の全力ですら僅かにも効かなかったし、大きなハンマーの打撃でもダメージ無しだったし」

「ダメじゃないですか」

「俺の全力よりも強い攻撃を叩き込めば良い」

「……それこそムリですよ。そんな人いません」


 問題はそれになる。俺はこれでいて攻撃力じゃトップだろう。“竜人特化”の世界では攻撃に関するあらゆる法則が有利に働いているのだから。

 それを超える攻撃力を持つプレイヤー、か。思い付かないし、聞いたこともない。彼等彼女等は平均を遥かに上回る強者ではあるが、場当たり的に組まれたこの部隊に俺より強いプレイヤーがいる筈もない。


「まあ、いないよねぇ」

「やっぱりダメじゃないですか」

「駄目だよねぇ」


 とは言え何もしないという選択肢はなくって。


「一応、皆さんも攻撃してみてください。繰り返しになりますが、魔力の使用は厳禁です」


 隊員たちは意気揚々と攻撃を開始した。血気盛んで気性も荒い。誰もがそんな性格らしい。

 斬撃だったり、打撃だったり、打突だったり。個々の動きを観察しながら、やはり全員が強いなと。俺が知らないだけでまだまだ強プレイヤーはいるらしい。


 けれど、天使の防御は破れない。そして、俺より攻撃力がある人もいない。


 やるしかないね。


「とりあえず、やれるだけやってみるよ」


 やれる事は多くないけれど。


「さあ、根比べといこうぜ」


 などと大層なことを言ったが、やる事は実に泥臭い。ひたすらに斬撃を繰り出すだけである。

 全力ではあるが“竜人特化”を温存しつつ、二時間、三時間と刀を振るう。二刀は既に4セットも折っていて、間もなく最後の二刀も折れようかと言ったところだ。


「――んっ!」


 刀身が大きくひび割れ、砕け散ってしまえば、いよいよ攻撃の手段を失ってしまった。

 けどまあ、素手でもいけるかな?


「おい、ヘラ……ヘラッ!」

「なんです、クリッツさん」

「もう良い。ガムシャラに攻撃しても無意味だって事は分かったからよ。もう、やめろ」


 痛々しいものを見るようにクリッツさんは言った。他の隊員達も同じような視線を向けて来て。皆んなの瞳には諦観が色濃く乗せられていて。


「お前の努力はこの目に焼き付けた。どうにもなんねーもんは仕方ねぇ」


 努力? 仕方ない? 全くもって心外である。


「がむしゃらに攻撃してるわけじゃありません」


 俺だって考えてる。少しくらいは、だけれど。


「つーかよ、お前の刀って等級いくつだ?」

「5ですね」

「低すぎんだろ!」

「手に馴染むんですよね、コレ」


 だからこそ目的を達成できそうなのですが。


「何か狙いがあるんですね?」


 千聖ちゃんが瞳をキラキラさせながら言う。期待、というやつだろうか。


「うん。スキルを取得できないかなって」

「スキル?」

「この場に即した、または必要なスキルだよ。身体能力向上とか、物理攻撃力を高めるだとか、そんなやつ」


 俺はそうやって切り抜けて来た。ずっとそうして戦ってきた。つまりはいつも瀬戸際なのだけれど。


「まさか、取得できそうなんですか⁉︎」

「いや、全然」

「……ダメじゃないですか」

「駄目ですねぇ」


 まあ、簡単じゃないよな。


「だが無意味でもない」


 そう言ったのは隊員の一人で、正直に言うと彼が生き残っていることに驚いている。何せゴッドレスを出てすぐに息切れを起こし、疾走中は倒れそうなほどフラつき、ここまでに一体のモンスターすら倒せていない。


「ジークさん、どういうことですか?」


 千聖ちゃんの質問に、ジーク、と呼ばれた彼は硬い表情である点を指し示す。向けられた先は天使の首であった。そこには薄っすらと線が入っている。これが二刀を5セットも折り、数時間も攻撃し続けた結果である。


「隊長殿は常に同じ場所を斬っていた。全くの誤差もなく、あれだけの斬撃を高速で、かつ数時間もの間ずっと」


 驚愕に値する。そう言って、やはり硬い表情で握手を求めてくるジークさん。なんだかやりにくい人である。


「ジークフリードだ」

「ヘラです。どうぞ宜しくお願いします」


 歳の頃は二十代後半。種族は人間で覚醒はしていないらしい。黒目黒髪の、いかにも日本人という顔である。その名の通りに大剣を背中に担ぎ、それが似合うだけの体格を持っている。

 装備は騎士然としているが、硬い表情や立ち居振る舞いから受ける印象は武士という不思議な人である。一重の鋭い目が問い掛けてくる。何か策があるのだろう、と。


「盛り上がってるとこ申し訳ねーけどよ」


 クリッツさんが獅子のたてがみを思わせる髪を掻きむしって言う。


「あれだけの猛撃で線一本じゃあ、あと何日かかるか分かんねーぞ? またボケッと眺めなきゃいけねーのかよ」

「大丈夫ですよ。もう二刀の予備はありませんから」

「駄目じゃねーか!」

「駄目ですねぇ」


 イベントに参加できないのか、とか。

 ゲームクリアまでここに閉じ込められたりしないよな、とか。

 そんな、隊員達の不安と落胆を感じるのと同時、脳内に電子音が響き渡った。メールだ。相手はオチョキンさんで、内容はアイテムの送付と武器の能力説明。


「良いタイミングだぜ」


 送られてきた武器を取り出す。ずしりとした重さが今は妙に頼もしい。



──────


竜断ち・試作/等級12

攻撃205/重量68/耐久2400

特殊:竜属への斬性アップ

特殊:一定値以上の筋力で重撃判定が入る


“煉獄の香炉”によって鍛えられた、竜を殺すために生み出された大太刀の試作モデル。

該当するスキルレベル、または技術が足りない者が使用すると全ての攻撃が打撃判定になる。

様々な試行を考慮して耐久性を高めてある。


──────



「隊長さん、それって……」

「うん。新しい武器、の試作モデル」


 それは抜き身の大太刀であった。白色の分厚い刀身は90センチを越えており、岩から削り出したかのように凹凸がある。無骨な印象だが、刃の部分だけは異様にギラついていた。

 素晴らしい武器だ。現状では最高の性能であり、これ以上は求められないだろう。単純に今の刀と比べて七倍の攻撃力がある。


「さあ、斬ろうか」


 こいつをぶち込むために二刀を5セットも駄目にしたのだ。僅かでも勝率を上げるために何時間も足掻き続けたのだ。


「隊長さん」


 不安げな千聖ちゃんに呼び止められる。

 やはり二人の娘を連想してしまう。どちらにも無礼だと理解していながらも止められない。相変わらずフードの奥は見えないが、庇護欲を掻き立てられてしまうのだ。


「倒せますよね?」

「ああ、必ず」

「本当、ですか?」

「約束だ」


 さらなる宣言をし、さて、もう一手打とうかなと。

 アイテムボックスから取り出したのは紫色の小さな球体。“巨神の蜜薬”である。使い切りのアイテムで、その効果は数秒間だけ身体能力を超強化するというもの。

 勿体ない、だろうか。一度しか使えない以上、頼るべきシチュエーションはもっと先な気もする。例えば、怪異を殺す時だとか。


 もしかしたら大太刀だけで斬れるのではないか。そんな無意味かつ何の保証もない事を考えるくらいには、このアイテムは貴重かつ有用だ。


「隊長さん……」


 千聖ちゃん、不安そうだな。当然か。このまま此処に取り残されるだなんて嫌だよな。


「大丈夫だよ。俺はこれでいて、約束を必ず守るんだ」


 ああ、全く、勿体なくなんてないな。この少女を笑顔にする為なら何だって差し出せる。


「行くぜ、天使さん」


 そう言ってみれば、彼女は薄く微笑んだ、ように思う。

 何を想う、今この時に。本当のお前はどんな奴だ。


 感傷ではない。ただ、彼女の本質を知りたいだけだ。


「行け、ヘラ」

「お願いします、隊長さん!」

「頼んだ、隊長殿」


 背中に皆んなの想いが突き刺さる。それが熱となって全身に広がり心に火を灯す。

 大太刀を構え、“巨神の蜜薬”を握りつぶせば筋繊維がミキミキと異様にねじくれていく。膨大な質量を押し込めんと皮膚がミチミチと鳴く。


 さあ、“迅雷”を発動して、前へ。


「――竜人特化」


 ドロリと遅くなる世界。その中で今さらながらに考える。俺って大太刀なんか振れるのか? 一本を両手で振るったことなんてあったっけ?


 ――振れるさ。ずっとペンタを思い描いて来ただろう。


 ああ、そうだな。


 刃神。いざ、その域に挑まん。


 踏み込みは鋭くも流麗に。大地の力を借り、余さず刃へと伝える。

 狙うべきは天使の首。そこにある一筋の線。外さず、誤差なく、全く同じ箇所へと――叩き込めっ!


「うおおっ!」


 バシンと響く硬質な音。刀身が、ひび割れた。


 ――構うものか!


 崩れ行く大太刀を振り上げ、さあ、もう一度攻撃を!


 激突。“斬る”という動作にも関わらず、大太刀が、砕け散る。


「……見事」


 そんな声が聴こえた。女性の、透き通るような美しい声だった。

 同時に“竜人特化”が強制解除される。時間はまだあったはずで、しかし疑問を感じるよりも先に視線が動いていた。


「……さあ、どうだ」


 視線を向けた先で、異形の天使は変わらずに突っ立っている。手応えはあった。しかし首にある線に変化はなく、また、その表情も変わらぬまま。


「隊長殿」


 ジークフリードさんに肩を掴まれても視線を動かすことはできなかった。吸い寄せられるように首筋を注視していた。或いは、斬れていて欲しいという願望がそうさせるのか。


「隊長殿。実に見事な一撃であった」


 彼が言い終わるのと同時だった。

 傷とも呼べない一筋の線に、ぷくり、と赤い液体が浮き出てくる。それは次第に大きくなり、滴となって流れ、そうして、華が咲き乱れるように吹き出した。


 あ! と誰かが声を上げる。まるでその声を待っていたかのように、首に切れ目が広がり、硝子が割れるようにして胴体から離れていった。不可視の壁も、やはり硝子が砕け散るようにして破壊される。


「……褒め言葉、ありがたく受け取っておくよ」


 地面に転がった顔は無感情で、しかしどこか満足そうでもある。彼女への興味は尽きないが、今はやるべき事を優先させるべきだろう。


「千聖ちゃん」

「はい」

「約束、果たしたよ」

「――はいっ!」


 フードの奥から覗く表情はやはり幼く、そして呼吸を忘れるほどに美しい笑顔だった。

 これが見たかったのだ。この子の年相応の笑顔が。


 元気、貰っちゃったな。


「さて、皆さん。ゴッドレスに早く戻りましょう」


 そう言ってみれば、誰もが闘志溢れる目つきで頷きを返して来る。

 良い人達だ。その強さに至るだけの意思力がある。即席の部隊とは言え別れ惜しいな。


 柄にもなくそんな事を考えた。



『おめでとうございます! マク・ンバルの討伐が確認されました!』


『討伐者、並びに戦闘参加者に報酬が与えられます! 報酬はイベント攻略達成後に配布されます!』


『イベントが進行します』


『全プレイヤーの転移能力を剥奪。――顕現を開始します』




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